六本木未来会議に登場してくれたクリエイターのみなさまが推薦してくれた本を毎週紹介していきます(紹介する本の一部は2014年に開催した「森の学校」の図書室と、2015年に開催した「六本木ブックフェス」、2016年に開催した「六本木未来会議BOOKキャラバン」でも展示したものです)。
今回は、西野達さんが選んだ『日常生活の冒険』(著・大江健三郎/新潮社)。
西野さんのコメント
大江健三郎さんの本はよく読むけど、たくさんある作品の中でも『日常生活の冒険』は、ご本人が失敗作と言っている1冊なんだよね。でも、すごくおもしろくて、個人的には大好き。俺は文章を書く人間じゃないから、アートについて考えていることを文字で表現するとモヤモヤしちゃう。そのモヤモヤしたものが、そのままというくらい、この本で文章になっていて。もちろん、本自体はアートについて書かれているわけじゃないんだけど、この本の中で表現されている"小説とはこうあるべき"という考え方が、俺がふだん思っていることをモロ表してくれている感じで。不思議なんだけど、すごくわかるんだよね。
たぐい稀なモラリストにして、性の修験者である斎木犀吉は、18歳でナセル義勇軍に志願。それを手始めに、冒険の可能性のない現代をあくまで冒険的に生き、最後は見知らぬ遠い場所で不意の自殺を遂げるーー。20世紀後半を生きる青年にとって"冒険的である"とは、どういうことなのか。友人の若い小説家が物語る、パセティックな青春小説です。
西野達さんのインタビューもあわせてどうぞ。
クリエイターインタビュー #83
西野達さん(アーティスト)
http://6mirai.tokyo-midtown.com/interview/83_01/