世界的なデザイナーとして知られる三宅一生さんの世界観を紹介する展覧会「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」が国立新美術館で開催中です。同美術館開館以来、約10年がかりで実現したという、三宅さんのこれまでで最大規模の展覧会。その内覧会の様子をお届けします。
こちらは記者会見の様子。会場デザインを手がけた吉岡徳仁さん(左端)と佐藤卓さん(左から2番目)、三宅デザイン事務所代表取締役社長の北村みどりさん(右端)も登壇する中、三宅さんご本人(右から2番目)からごあいさつ。
三宅さんいわく、国立新美術館が開館した際に「ここで(展示を)やってみたいな」とつぶやいたことがプロジェクトのきっかけだったそう。北村さんとともに数万点のアーカイブの整理から始めて、途中で思い出話に浸ったりしながら、時間をかけて準備したと話していました。
展示構成は、大きく3つに分かれています。来場者を最初に迎えるのは、吉岡さんが空間デザインを手がけたSection A、三宅さんがデザイン事務所を立ち上げたばかりの1970年代の作品が並んでいます。
横尾忠則さんによるデザインを生地にプリントした「パラダイス(楽園)」は1976年秋冬コレクションで発表された作品。ちなみにトルソーは吉岡さんが今回の展覧会のためにデザインした「グリッド・ボディ」で、1枚板をレーザーでくり抜いたパーツを組み合わせたものだそうです。
続くSection Bの空間も吉岡さんによるもので、並んでいる衣服は1980年秋冬コレクションで発表した「プラスティック・ボディ」と、それに続く「ボディ」シリーズ。繊維強化プラスティックや合成樹脂などが取り入れられた作品です。
もっとも大きい展示空間が、このSection C。ISSEY MIYAKEの代名詞ともいえる「プリーツ」「A-POC」や照明器具のコレクション「陰翳 IN-EI ISSEY MIYAKE」など5つのテーマに分けて展示されています。会場デザインは佐藤さんによるもの。
ここでは、これまであまり公開されていなかったプリーツの制作の実演も行われていました。展示期間中は毎日、実際のプリーツの機械を使ったデモンストレーションが行われるそうです(11~12時、金曜は18~19時にも実施)。
1988年からスタートした、三宅さん独自のプリーツの技法による服づくりの軌跡は、「プリーツアイランド」と題して紹介されていました。
こちらは藤原大さんとともに開発、1998年に発表した「A-POC」の展示。コンピュータプログラミングで一体成型の服を生み出したシリーズです。編まれた生地をはさみで切り取ると、服や帽子、バッグになるというそれまでになかった服づくりのプロセスは、今見ても革新的。
「132 5. ISSEY MIYAKE」シリーズの展示も。畳めば幾何学的な模様が平面上に現れ、立体化させればドレスなどの服になるというこれまた革新的なデザインです。1/2サイズの服をトルソーに着せる体験ができるコーナーも用意されていました。
3つの部屋のあとには、「三宅一生さんのものづくり」をテーマにした、中村勇吾さん&コーネリアス(小山田圭吾さん)によるインスタレーション作品が。ちなみに、中村さんは今回の展覧会予告映像のひとつも手がけています。
「MIYAKE ISSEY EXHIBITION SHOP」では、「ISSEY MIYAKE」の服や小物が並び、もちろん購入することが可能。日本が誇るクリエイターの「作品」を身にまとえるのは服飾ならでは。実際に着ることができるという視点で観賞するのも、ひと味違った面白さを味わえそうです。
編集部 飯塚
information
「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」
会場:国立新美術館 企画展示室2E
会期:3月16日(水)~6月13日(月)※火曜休館(5月3日は開館)
開館時間:10:00~18:00 ※金曜日は20:00まで、入場は閉館の30分前まで
入場料:一般 1,300円、大学生 800円、高校生、18歳未満無料