東京ミッドタウンでは11月3日(木・祝)まで、秋のデザインイベント「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2022」が開催されています。今年で15回目の開催となる本イベント。今回のテーマは「環るデザイン - Design for Sustainable Future -」で、持続可能な未来へのヒントを、デザインを通して探っていきます。
全部で8つのインスタレーションが展示され、本イベントのコンセプト"デザインを五感で楽しむ"を体感できます。特に、芝生広場に広がる約36m×12mの巨大なインスタレーション「うみのハンモック」は壮観です。
建築家・永山祐子氏が手掛けたこのハンモックの素材には、廃棄された漁網からアップサイクルした糸が使用されています。展示終了後、解体した後はもう一度アップサイクルされて、新しいプロダクトに生まれ変わる予定だそう。ハンモックに乗って楽しい時間を過ごせるだけでなく、海洋汚染や生態系への影響などについても考えさせられます。
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芝生広場からミッドタウン・ガーデンの方へ歩くと、新たな農業の可能性を探る実験的なインスタレーション「F.A.R.M. -Future Agricultural Rights for Mankind-」に出会います。
六本木未来会議のクリエイターインタビューにも登場したデザインユニット、ENERGY MEETの蘆田暢人氏とオオニシ・タクヤ氏が手掛けたこの展示。農業に必要な要素を太陽エネルギー、炭素、窒素、酵素などに分解し、栽培基盤やエネルギー供給装置などを収めたボックスを、ブロックのように積み上げています。
ボックスの役割は、土壌栽培、ハイドロポニックス(水耕栽培)、給水タンク、ソーラーパネルなどそれぞれ異なります。それらをまるでゲームの「マインクラフト」やレゴブロックのように組み合わせて自由に作れるところがポイントだと、蘆田氏は語りました。
ハイドロポニックスの水の中では、魚と植物が共存しています。その様子を眺めていると、これからの日本の農業に期待が高まりました。制作には高校生も関わっており、展示終了後は学校に持ち帰り、研究を続けるそうです。
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ミッドタウン・ガーデンには、約2,000個の花のようなオブジェ「as it is. -equilibrium flower-」があちこちに配置されています。独自に開発した「熱で硬くなる生地」が用いられており、自然の中で揺らめく様子がとても幻想的です。人工物を自然と切り離すのではなく、あえて風景に組み入れることで、調和が生み出されています。
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「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2022」の展示は、屋外だけではありません。東京ミッドタウンのガレリアでも、さまざまな作品と出会うことができます。
クリエイター集団CORNERによる「Life Beat」は、さまざまな動物の心拍リズムに合わせてオブジェが点滅。眺めていると、人間だけでなく、多様な生物の生命について考えさせられます。
このほか、「ミラノサローネ」で活躍する日本人デザイナーらを紹介するSalone in Roppongiが3年ぶりに帰ってきました。今回はデザインスタジオYOYによる、水たまりのような花器「PUDDLE」が登場。水自体を花器にするという発想によって作られており、風や人の動きによって水面が揺れるさまがとても美しい作品です。
「DESIGNART TOKYO 2022」からは、2組のクリエイターが参加。廃蛍光灯のリサイクルを用いたseries「sea」と、内装下地材LGS(軽量鉄骨)で再構築された家具「" FLOW "」が展示されています。
東京ミッドタウンのプラザB1では、「TOKYO MIDTOWN AWARD 2022」の受賞作品を11月6日(日)まで展示中。
デザインコンペとアートコンペの2部門から、グランプリを含む受賞・入選作品が全16点展示されています。期間中は「東京ミッドタウン・オーディエンス賞」と称して、来場者の一般人気投票をオンラインで実施。ぜひイチオシの作品に投票してみてください。
さまざまなイベントが同時開催中の東京ミッドタウン。ぜひ六本木で「芸術の秋」、「デザインの秋」を満喫してみませんか?
編集部 齊藤
Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2022
会期:2022年10月14日(金)~11月3日(木・祝)
時間:11:00~21:00 ※一部プログラムは時間が異なる。詳細はオフィシャルサイト参照
会場:東京ミッドタウン各所
料金:無料
主催:東京ミッドタウン
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designtouch/