毎年恒例の「六本木アートナイト」が今年は5月25日(土)、5月26日(日)の週末に開催されます。2009年にスタートして、今回で10回目を数えます。テーマは「夜の旅、昼の夢」。アジアの現代アート界を代表するチェ・ジョンファ(崔正化)をメインアーティストに迎え、六本木の街を舞台に約80数点のアートがお目見え。
編集部が注目する作品を中心に、開催直前の六本木アートナイト2019の見どころをご紹介します。
「アートナイト、行こうと思っていたけど、気付いたら終わっていたんです」。そんな声におこたえするべく、アートナイト本番を待たずして街に登場するプレプログラムが。
これまで32都市で実現され、六本木アートナイトで日本初上陸となる《レッドボール・プロジェクト》は、アメリカ人アーティストのカート・パーシキー(Kurt Perschke)による周遊型パブリックアートです。ゴムボールで出来たこの巨大な赤玉は、ある場所から別の場所へと毎日移動を繰り返しながら、六本木の街なかを一週間にわたって巡回します。
固定、静止、永久性など、通常のパブリックアートの枠組みからユーモラスにはみ出す赤玉は、その絶え間ない動きで、街の地図を描き直します。5月20日(月)から毎日六本木のどこかに登場しますので、公式サイトでチェックしてみてください。
メインプログラムのアーティストはチェ・ジョンファ氏。カラフルなバルーン彫刻「フルーツ・ツリー」(六本木ヒルズ)や約一万個のくねくねバルーンが巨大な色彩の塊となって空間に向かって飛び出した「ライフ・ライフ」(東京ミッドタウン)、コミュニティベースのアートプロジェクト「みんなで集めよう」(国立新美術館)など、個性的な作品たちを手掛けます。ブルーボトルコーヒー六本木前にもワークショップでできあがった作品が展示されるので、ぜひご覧ください。
チェ氏との対談も控えているアートナイト実行委員長の森美術館館長 南條史生氏は「チェ氏はすでに2010年と2016年の六本木アートナイトに参加しており、六本木アートナイトについても、六本木の街もよく知っているので、ワークショップなどを通して、街と人々にさまざまな関わりをもたらしてくれるでしょう」と期待のコメントを寄せています。
六本木ヒルズ毛利庭園に登場するのは、2018年秋にパリ市庁舎前広場に突如あらわれたFUROSHIKI PARISの東京版。建築家 田根剛が手掛けたインスタレーションは現地でも大きな話題を呼びました。北野武や草間彌生ほか多くのアーティストがデザインした風呂敷をじっくりと眺めたり、自分自身が風呂敷にはいったような感覚を味わってみるのもいいかもしれません。
アートナイトの初日となる5月25日(土)にはオープニングアクトとして、スペイン・バスクの伝統打楽器"チャラパルタ"を演奏するグループ「オレカTx」による「巨人のオモチャ」をコンセプトにしたパフォーマンスが実施されます。場所は六本木ヒルズ、ヒルズアリーナ。17:30からのオープニングセレモニーの後、18:30から約30分のパフォーマンスが行われます。見逃してしまった人は、26日(日)のクロージングセレモニーにも登場しますので、ぜひチェックを。
クリエイターインタビューでも語られた和田永さんのパフォーマンスも。ブラウン管テレビ、バーコードリーダーなどの電化製品を"電磁民族楽器"へと転生させ、アンサンブルを繰り広げます。ブラウン管の静電気やレーザーのスキャンを通して「模様が音になる」という電気的な仕組みを応用した新作パフォーマンスをご堪能ください。
各美術館も、開館時間を延長します。
「六本木クロッシング」は森美術館が3年に一度、日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として2004年以来開催してきたシリーズ展です。第6回目の開催となる本展は、1970-80年代生まれを中心とした日本のアーティスト25組を紹介し、現代美術からファッション、AI、人工生命まで、今日の表現を通して見える「つながり」に注目します。展覧会レポートも掲載中ですので、チェックしてみてください。5月26日(日)の早朝6:00まで開館します!
21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2ではグラフィックデザインを通して長年人々を楽しませ続けてきた浅葉克己がディレクションを手がける「ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR」が25日(土)は23:30まで。ギャラリー3では「世界の三大喜劇王」の一人とされたバスター・キートンの傑作「キートンの探偵学入門 (SHERLOCK JR., 1924)」を、野沢雅子、羽佐間道夫という日本を代表する二人の声優による日本語ライブ上演で鑑賞する特別公演が開催されます(募集は終了しています)。
佐藤オオキ率いるデザインオフィスnendoが提案する、左脳的なアプローチ、右脳的な感じ方の双方で、日本の美術を堪能できる「nendo × Suntory Museum of Art information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美」はサントリー美術館で開催中。25日(土)は24:00まで開館。ミッドタウン・ガレリアB1F内にnendoショップも出現しますので、あわせてお楽しみください。
東京ミッドタウンでは六本木未来会議のアイデア実現プロジェクトも登場します。
2018年8月、大学医学部の一般入試で、女子受験者の得点を一律に減点し合格者数を抑えていたことが発覚し、大きなニュースになりました。この日本の女性差別の問題を背景に、"東京減点女子医大 - Tokyo Medical University for Rejected Women"という架空の大学を設立し、その学校の様子を作品として展示します。22日(水)に公開されるプロジェクトレポートと併せてお楽しみください。25日(土)21:30~はスプツニ子!、西澤智美本人が登場するパフォーマンスも。見逃せません。
六本木に6本のアートの木を植える「六本のアートの木」プロジェクト。1本目の木はクリエイター川村真司考案の「木の木」です。まだ実際に見たことがない、という人は要チェック。木という文字を体で表現して一緒に写真を撮ってみてはいかがでしょうか? 夜のライトアップ等はないので、明るいうちに! 東京ミッドタウン、ミッドタウン・ガーデン内にありますので、カメラやスマホを片手に見つけにいきましょう。
昨年多くの人が足をとめていた「挟まる人」を手掛けた志茂浩和の作品が今年も登場。六本木アートナイトの期間中、自動販売機で飲み物を購入するときにはご注意を。機械に閉じ込められ、足掻き苦しむ人々のゾッとする姿が、突然あなたの前に立ち現れることがあるかもしれません。無機質な経済活動を象徴する自販機に拘束された人々のイメージは、現代社会における人間のあり方を反映しているのでしょうか。
プログラムがたくさんありすぎて自分でどうまわっていいのやら...という方には、「六本木アートナイトをもっと楽しむガイドツアー」も。まずは街中で配布中の六本木アートナイト2019公式ガイドブックを手に入れて、オリジナルプランをたててみては?(こちらからもダウンロードできます)
年に一度だけ、街中がアートであふれる2日間。たのしんでみては?
編集部 高橋
「六本木アートナイト2019」
テーマ:夜の旅 昼の夢
開催場所:六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース
開催日時:2019年5月25日(土)10:00~26日(日)18:00
※開催に先駆けて展示・設置するアートプログラム「プレプログラム」も実施予定
<コアタイム>5月25日(土) 18:00~26日(日) 6:00
※コアタイムはメインとなるインスタレーションやイベントが集積する時間帯です。
入場料:無料(但し、一部のプログラムおよび美術館企画展は有料)
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.roppongiartnight.com/2019/