毎年恒例の「六本木アートナイト」が、今年は9月30日(土)と10月1日(日)の2日間に渡って行われました。メインプログラム・アーティストに写真家・映画監督として活躍する蜷川実花さんを迎え、「未来ノマツリ」をテーマに様々なアート作品で六本木の街が彩られました。
今回はその中から一部をピックアップし、前編・後編に分けてイベントの様子をお届けします。
【街なかインスタレーション】蜷川実花「NINAGAWA ALMOND」
六本木交差点に足を運ぶと、六本木の名物カフェである『アマンド六本木店』のウィンドウが見えます。しかし、いつもと違う様子...。なんと、ウィンドウが蜷川さんが撮影した花や鳥など色鮮やかなビジュアルで彩られていました。1960年に六本木の中心で開業された『アマンド六本木店』は、バブル景気が終わる頃まで待ち合わせ場所「アマンド前」として使われ、テレビ番組などでもよく取りあげられていたそうです。
一目見て蜷川さんとわかる極彩色のビジュアルに、前を通る人たちも目を奪われていました。
ナウィン・ラワンチャイクン「OKのまつり」
六本木交差点から歩いてすぐのところにある六本木西公園には、タイのアーティストのナウィン・ラワンチャイクンさんによる「OKのまつり」が実施されました。私は映像上映やパフォーマンスが行われる前のお昼に見に行ったのですが、普段それほど人通りの多くない路地にはすでにたくさんの人が集まっていて、まるでマツリのような賑わいが。こちらの作品の一つのテーマは、六本木に関わる人々に街のことについて聞き、その話から六本木という街のことを掘り下げるというもの。どこか六本木未来会議と通じるものも感じ、とても興味深い内容でした。
吉本直子 「日々の亡霊」 インスタレーション
続いて向かった国立新美術館に入るとすぐ、エントランスの高さを利用した、吉本直子さんのインスタレーション「日々の亡霊」がお出迎え。約300着の古着のシャツの連なりは、シャツとしての役割を終え、次の役割が始まるまでを静かに待つ輪廻転生をイメージしているのだそう。天井近くから吊るされた膨大な数のシャツは、細く切り取られていて、迫力とともに異様な雰囲気を放っていました。
蜷川実花「Tokyo Followers 1」
こちらの作品は国立新美術館のエントランス前に設置された、蜷川さんの世界観が存分に表現されたインスタレーション作品「Tokyo Followers 1」。大量の風車で作られた作品は、そのタイトルの通り、芝生に咲く花のように見えました。この作品の周りには、小さなお子様を連れた方も多く、親子で作品を楽しんでいました。
蜷川実花「Tokyo Followers 1」
東京ミッドタウンに移動すると、東京ミッドタウンの広場キャノピー・スクエアにも「Tokyo Followers 1」が展示されていました。こちらは蜷川さんの作品に多く登場する、色鮮やかな金魚が印象的なインスタレーション作品。フォトジェニックな作品に、写真を撮る人が絶えませんでした。
nor「dyebirth」
東京ミッドタウン プラザB1Fのメトロアベニューに向かうと、大きな人だかりが。新進気鋭アーティスト集団、norのインスタレーションです。
デジタルグラフィックのような複雑な模様は、全て、水や油、インク、化学物質などのケミカルリアクションを電子制御し、それによって映し出すアナログな機構で描かれているのだそう。また、色鮮やかな模様が、時間が経つにつれ他の色と混ざり合い黒くなる様子は、生命の終わりや命の多様性を表現しているとのこと。
意味を知った上で見るアート作品は、知らないで見るのとはまた違った捉え方ができて興味が深まります。
後編は、六本木ヒルズでのインスタレーション作品を中心に紹介していきますので、ぜひご覧ください。(後編はこちら)
information
「六本木アートナイト 2017」
会場:六本木各所
会期:9月30日(土)〜 10月1日(日)※終了しました
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.roppongiartnight.com