六本木の街に点在するパブリックアート。中でも、実際に座れる「ストリートファニチャー」と呼ばれる作品の"座り心地"を確かめる企画も、ついに3回目を迎えました(写真は吉岡徳仁さんの作品「雨に消える椅子」)。
今回も、前回、前々回に引き続き、真面目にレポートしていきます!
絶妙な距離感が心地いい
ジャスパー・モリソン「パーク・ベンチ」
けやき坂を上りきる少し手前にあるこちらのベンチは、プロダクトデザイン界の巨匠、ジャスパー・モリソンによるもの。いたって普通の形状ながら、端から端までが長い!その距離8メートル以上!
せっかくならこの長さを生かした座り方をと、編集部スタッフ2名に座ってもらいました。すると、同じベンチなのに、こんなに離れて座ることができました。一緒にいたい、でもベッタリはしたくない、そんな微妙な関係の2人におすすめです。
距離を置いて座れる度:★★★★★
完璧な座り心地のアート作品
内田繁「愛だけを...」
ステンレスの赤い板をグニャグニャと曲げた、オブジェのようなこちら。ジャズの名曲と同じタイトルということで、動きのある波形がメロディーを感じさせる作品です。でも、椅子としてはどうだろう? と、疑いつつ座ってみると......
完全に体のラインにぴったり!まるであつらえたかのような座り心地に驚かされました。
こんなふうに端っこに座っても、妙にフィット。見た目からは想像できない快適な座り心地でした。
体にフィットする度:★★★★★
もしかしたら、他にもステキな座り心地のパブリックアートがあるんじゃないか? そう思い立ち、けやき坂を抜けて周辺を探してみることに。
こちらは、テレビ朝日のビル近くにある、マーティン・プーリエ「守護石」という作品。ちょっと巨大すぎて座れませんでした。
毛利庭園の池に佇む作品、ジャン=ミシェル・オトニエル「Kin no Kokoro」。池の中なので入れず......。
おなじみ、六本木ヒルズの入り口にあるルイーズ・ブルジョアの作品「ママン」。高さ10メートル以上、登って座ったらたぶん怒られます。
座れるパブリックアートって、なかなかないものだな......と思っていたら、ありました、東京ミッドタウンの地下に。
巨大な大理石にぬくもりを感じる
安田 侃「意心帰」
大理石の塊に、ちょうど人が入れるくらいの穴が開けられたこちらの作品。以前、六本木デザイン&アートツアー「六本木パブリックアート巡り」でも紹介しています。
石でできているのに、中に入ってみると不思議とぬくもりが感じられました。この包み込まれる安心感、下手なマッサージよりリラックス効果があるかもしれません......。
安心してくつろげる度:★★★★★
いろいろなストリートファニチャーの座り心地を試して、個人的にアートの楽しみ方が広がったような気がした今回の企画。六本木の街には、紹介した以外にも、パブリックアートはまだまだ存在します。みなさんも、ぜひ実際に座ってみてはいかがでしょう?
編集部 飯塚