この夏一押しのアートイベント越後妻有トリエンナーレレポートも3回目です。今日は、訪問初日の後半戦をまとめてご案内します。(1回目、2回目もあわせてご覧ください)
お昼ご飯をすませた後は、松代エリアへ移動です。まずは駅からすぐの場所にある「まつだい『農舞台』」へ。
会場に着く前に車中から目に飛び込んでくるのは、自然の風景の中にとけ込んでいるアート作品。このブルーとイエローの作品は、トリエンナーレの最初の年(2000年)にできあがった恒久作品イリヤ&エミリア・カバコフというロシアの作家の「棚田」という作品です。
そして圧倒的な存在感を放っているのは、草間彌生の「花咲ける妻有」。六本木アートナイトで都市で発表された「ヤヨイちゃん」や「りんりん」もインパクト大でしたが自然の中で見る彫刻も力強く咲き誇っていました。
それではさっそく「農舞台」の中へ。入り口の部分にあったアートに、リアルすぎてプチ恐怖感を抱きながら前へ進みます。※無数のトカゲのオブジェが壁に張り付いています。今思い出しても、やっぱりリアル過ぎて作品と思えません。同時にジョセップ・マリア・マルティンの「まつだい住民博物館」も楽しめます。色とりどりの板に松代の全世帯の屋号が書かれています。天井からは所々から地元の方の語り口調で、「よく来たね」というメッセージで迎え入れてくれます。
「農舞台」の中へ入ると、「里山アート動物園」の一部が目にとまります。
ジャン=リュック=ヴェルムートの「カフェ・ルフレ」もとても印象的。目の前には美しい棚田が広がります。この眺望を一望できるレストランです。
なんだか変な気持ちになったのはこの部屋。河口龍夫による「関係−黒板の教室」。全部が黒板になっている教室です。黒板はもちろんのこと、椅子も机も床もすべてが黒板です。どこにでもチョークで書くことができるのです。夢にでてきそうな変な感じでした。すべてがアナログに見えるのですが、机をぱかっと開くとデジタルコンテンツがあったり。こどもたちも思い思いにメッセージを残します。
ここのミュージアムショップは面積も広く、多種多様なグッズが集まっていました。キナーレのミュージアムショップでは取り扱いがないものも多数あったので、もし立ち寄る機会があったら、別の場所で買おうと思わずに、ここで買ったほうがいいかも知れません。トラフの「空気の器」もありました。
このあたりで、松代エリアを出て、川西エリアに移動です。楽しみにしていたジェームズ・タレルの「光の館」(2000年)。人気の作品で、混雑している時期だと、中に入れないこともあるのだとか。直島の地中美術館や南禅寺などでも作品を展開しているので、既にご存知の方も多い作家ですね。越後妻有の伝統的な日本家屋が舞台となって、空を見上げました。雨雲も広がっていたのですが、この時はすっぽり晴れた空が見えました。みんなで輪になって寝そべります。角度をかえると曇り空。天井が絵の枠のようになって無数の絵画を生み出します。高台から見る景色も素晴らしかったです。
ここは宿泊することもできます。一泊20,000円+人数×3,000円(小学生は1,500円)。定員は12名だそうですので、人数が多ければ結構お得に宿泊ができますね。天候によっても体験できることがかわりそうですが、でも、ここには一度泊まってみたいなと思いました。ただ、会期中はすでに予約でいっぱいだそうです。
ここからもどんどんアート作品を見にいきます。今回のトリエンナーレから始まった「JR飯山線アートプロジェクト」の一環で十日町エリアの下条駅へ。
みかんぐみ+神奈川大学曽我部研究室「下条茅葺きの塔」(写真上右)。やぐらの中には地元の人から収集した農工具や箪笥を展示しています。
それ以外にも大小のアートがありました。この哀愁だたよう背中も、その一つです。
そして途中ドミニク・ペローの「バタフライパビリオン」に立寄り、陶器の館、「うぶすなの家」へ。焼物作品が様々な形で展示されています。加藤亮太郎の「黒から生まれた、白い茶碗」の展示方法がおもしろかったです。ここでは、梅ジュースで小休憩。
この日最後に訪れたのは、芹川智一の「OUTLAND梵寺院-MOTHER-」。1997年から十日町に住み着いた作家が、こつこつとキャンプ場を建設。コテージやバーベキュー施設などが広がっています。実際にここでオートキャンプをすることも可能です。
この時点で17時前。時間内に本当にたくさんの自然とアート作品に触れることができました。ここからは、温泉宿に向かって2日目の視察のため、英気を養うことになるのです。。。
続きは明日。最後のレポートになりそうです。
編集部R