六本木では毎春、夜通し朝までアートを楽しめる「六本木アートナイト」が開催されていますが、今週、新潟県越後妻有周辺の十日町などを含む広大なエリアで3年に1度行われる世界最大の国際芸術祭である、越後妻有(えちごつまり)トリエンナーレに行ってきました。2000年にスタートして今年で5回目となるそうですが、参加は初めて。「大地の芸術祭」とも呼ばれるこのイベントは、その名の通り自然とアートが溢れるものでした。
東京から新幹線で越後湯沢へ。冬のスキーやスノーボード以外の目的でこの駅にきたことがないな、と思いつつ、その駅からほくほく線で十日町にはいりました。ローカル線ですが、満員で新幹線からの乗り換えはホームがパンパンに。雪に覆われていない夏の越後は新鮮にうつりました。
目的地の十日町に到着です。ここからは車で移動。十日町は越後妻有トリエンナーレの入口ともいえるエリア。早速この夏リニューアルされてオープンした越後妻有里山現代美術館「キナーレ」へ。
主に6つのエリアにわかれて、約360のアート作品がおかれていますが、主要な場所では、入場料が発生します。ただ、どの場所でも、このパスポートがあれば入場料は別途必要ではないので、これを購入。大人は3,500円です(ケースは別売で200円)。
まずは、キナーレの中心に登場したフランスを代表する作家クリスチャン・ボルタンスキーによる「No Man's Land」。パリのGrand Palais美術館でも発表されている作品ですが、ここでは、9トン分の古着を集め、大きなクレーンがその山から古着を持ち上げては下に落とす、を繰り返します。吹き抜けで空を見ながら、たちこめる古着臭を鼻で感じ、作品の巨大さにアートのダイナミックさを見いだしました。
越後妻有トリエンナーレで出品される作品は越後妻有の風土、気候、歴史などにかかわるテーマやモチーフを用いる作品となっています。例えば、町のいたるところでかまぼこ型の倉庫を目にしますがキナーレでもそのかまぼこ倉庫をつかった作品が2つあったり、作品と土地の関連性を見いだしながらみてまわるのもこのトリエンナーレの一つの魅力となっています。
カールステン・ヘラー 「Rolling Cylinder, 2012」ぐるぐるまわる床屋さんサインに感覚が変化していくのを感じられます。
ゲルタ・シュナイター&ヨルク・レンツリンガー「ゴースト・サテライト」人気のスイスの作家。地元で集めたものや世界各地であつめたものなどでアート作品をつくりだし、天井から吊るし浮遊しているようなインスタレーションを展開している。下から寝そべってみたり、2階から見下ろしたりすると、同じ作品でも見え方がかわるのがおもしろいです。
山本浩二 「フロギストン」土地でみつけた植物などを炭化させて、彫刻作品をつくっています。土器みたいだな、と思っていると、公式ガイドブックに縄文時代の土器がこのあたりで発掘されていると書いてったので、これが越後妻有らしさをだしながら、につながるのだな、と納得しました。作品まわりには原生林の中を歩いているような気持ちになる林も一部となっています。
それ以外にも、おもしろい作品が多数。メディアアーティスト、クワクボリョウタによる「LOST#6」。暗闇の中で楽しむ作品で、かごなどの素材がおいてあり、それを取り巻くようにおもちゃのレールがしかれていて、そこを光をのせた小さな電車が走っていきます。その明かりが、壁に風景を描きだすのですが、この風景をぼーっとみているといろいろな物語があたまをよぎってきます。
今思うとすごく心に残っているのがこれです。新潟県あたりの土をサンプルとして、まるで無数のスパイスの陳列のように見える作品。一つの土地にこんなにバリエーションに富む土の色がある点に自然の不思議を感じました。東京にいると、土は茶色いものだと思ってしまうくらいビルの狭間に囲まれる生活をしているので、新鮮な気持ちでした。
ミュージアムショップも併設していて、カフェでお食事もできます。地元ラジオ局のスタジオらしきものも中にあります。
そしてなんといっても、市民の方が毎日利用できる、温泉も併設されていて、憩いの場にアートがありそれが地元の方の生活に普通に存在させている融合性に、まず気づかされた場所でした。ここから、まだまだトリエンナーレ見学は続くのですが、何回かにわけてご紹介していきたいと思います。続きは多分。。明日です。
編集部R