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2019年02月11日

【展覧会レポート】オオタファインアーツ「陽のあたる日常」

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現在オオタファインアーツでは、香港のアーティストであるクリス・ヒュン・シンカンの日本初個展「陽のあたる日常」を開催中です。ヒュン氏は自身の家族や身の回りの風景をモチーフに描き、「見る」行為を通して人がどのように物事を理解するのかということに焦点を当てています。

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大学で西洋画と水彩画の技法を学んだヒュン氏。その影響か、彼の作品は油画とは思えないほど色調の濃淡が繊細に表現されています。これは、絵具をテレビン油と呼ばれる精油で溶くことで油絵具の粘度を抑え、薄く伸ばしているのためなのだとか。

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絵画に登場するのは妻、息子、3匹の愛犬といった自身の身の回りの風景。ですが、ヒュン氏は目の前にある情景をそのまま描くのではなく、自分の記憶を頼りに筆を走らせて作品を制作します。

そのため、記憶がおぼろげな部分は輪郭があいまいで、色味が抑えられています。これにより、絵を通してヒュン氏の頭の中にどんな情景が鮮明に残っていたのか、どのように外の世界を捉えているのかを知ることができます。

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本展の作品の特色は、1つのキャンバスの中が様々な円や線で区切られ、区切られた空間ごとに明度が異なっていること。中でもこちらの作品は、中心から外に向かうにつれてどんどんと暗くなっていっています。ヒュン氏は明るい部分と暗い部分、異なる色彩で描くことで時間の移ろいなどを表現しているのかもしれません。

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本展では、今回の作品はもちろん、過去作品も掲載されたカタログが販売されています。カタログをめくっていくと、過去の作品は本展のものよりももっと淡い色合いで描かれ、黒や茶色といったはっきりとした色味がほとんどないことに気付かされます。そういった視点で本展を見ると、より一層楽しめるのではないでしょうか。

誰にでも身近な日常を、描くという行為によって芸術へと昇華した本展。日常を描いていながらも、立体感のねじれや、時間の移ろいを表す光のコントラストなど、現実ではありえない構図に、どこか非日常的な雰囲気が感じられました。いつもの日常に少し変化を加えたい方に、ぜひ訪れていただきたい展覧会です。



編集部 髙橋





information
陽のあたる日常
会場:OTA FINE ARTS
会期:2018年1月26日(土)~2019年3月9日(土)
開館時間:11:00~19:00
休館日:日曜、月曜、祝日
入観料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.otafinearts.com/jp/

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