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2016年07月01日

【展覧会レポート】21_21 DESIGN SIGHT企画展「土木展」

 

私たちの日常の些細な行動が、土木によって支えられているものだと実感したことはあるでしょうか? そのエキスパートたちによる企画チームと"土木専門外"の作家たちがそれぞれの視点で土木を捉えた展覧会、その名も「土木展」が21_21 DESIGN SIGHTで開催されています。見どころと気になる作品を、オープン前日に行われたプレスプレビューの模様を交えてご紹介します。

 

展覧会ディレクターを務めたのは、駅舎や橋梁の設計、景観やまちづくりのデザインを手掛ける建築家の西村浩さん。

「夏休み期間中に開催されるということもあり、子どもから大人まで幅広く楽しめる内容にしました。土木を専門としない作家さん達とのコラボレーションにより、土木を楽しく美しくヴィジュアライズしています」との言葉通り、ドローイング、プロジェクション、写真、映像、サウンドなど、多くの作品がさまざまなチャプターを通して展示されています。

 

西村さんを本展のディレクターに推薦し、企画協力した建築家の内藤廣さん。8月のクリエイターインタビューに登場予定です。あいさつでは「災害が起これば問題となり、社会から批判を浴びることも多い土木。これをデザインとアートの力で乗り越えようというのが展覧会の狙いです」と話していました。

 

会場でまず目にするのが、建築家の田中智之さんによる、渋谷、新宿、東京の3駅を俯瞰で見たドローイング。開発が続く駅周辺の入り組んだ様子が克明に描かれた作品で、企業や自治体もこのような全体図は所有していないのだとか。圧巻です。

 

「土木オーケストラ」ドローイングマニュアル(Photo: 木奥恵三)

見どころのひとつ、菱川勢一さん率いるドローイングアンドマニュアルによる「土木オーケストラ」は、日本の高度成長期から現代までの土木工事の歴史を映像と音で体感できるインスタレーション作品。工事現場でレコーディングした音をミックスした"土木のシンフォニー"が聴けるのは、世界中でここだけかも。

 

「土木オーケストラ」が流れるのと同じ空間に展示されているのが、ディレクターの西村さんが代表を務める建築設計事務所、ワークヴィジョンズが手掛けた「土木の道具」。現場で使う道具や素材が飾られています。工具が持つデザイン性の高さに魅せられますね。

 

「土木の行為 まもる: キミのためにボクがいる。」WOW

「まもる」「つむ」「はかる」などの行為に土木を分解して捉えたチャプター「土木の行為」には、体感しながら土木について学べる作品が並びます。

ビジュアルデザインスタジオ「WOW」は、海・川・山の災害から土木がどのようにして街を守っているのかを、キャッチーな映像作品「まもる:キミのためにボクがいる。」で表現しています。作家本人による作品解説の中で、登場するキャラクターを「どぼくん」と命名していました。

 

「土木の行為 つむ: ライト・アーチ・ボリューム」403architecture [dajiba]
(Photo: 木奥恵三)

こちらは、静岡県浜松市を拠点に活動する彌田徹さん、辻琢磨さん、橋本健史さんによる建築設計事務所403architecture [dajiba]による体感型作品「つむ:ライト・アーチ・ボリューム」。空気で膨らませたビニールのブロックを積み上げて橋をつくることで、アーチの構造を学ぶことができます。力を入れすぎるとブロックがバラバラに!

 

真鍋大度さん率いるライゾマティクスリサーチによる作品「はかる:Perfume Music Player Installation」には、スマートフォンアプリの位置情報を用いた、東京の交通網やユーザーの行動観察記録が映し出されています。

 

「現場で働く人達 開削。掘る。」株式会社感電社+菊池茂夫

「土木を愛する」のチャプターでは、雑誌、漫画、食などちょっとユニークな目線から土木を見つめた作品を展示。

土木系総合カルチャーマガジン『ブルーズマガジン』で、土木建築の現場で働く人々を撮影している写真家、菊池茂夫さんのポートレイト作品も出展されています。ちなみに『ブルーズマガジン』は土木愛に溢れた熱いフリーマガジンなので、まだ読んだことがないという人は要チェックです。

 

ライスを堰堤、カレールーを貯水湖に見立てた「ダムカレー」の食品サンプルを、ダムカレー開発者の宮島咲さんの映像とともに展示する「ダムとカレーと私」もユニークな作品です。全国のダム所在地周辺のレストランなどで提供されるご当地ダムカレーの数々が紹介されています。

 

ダムカレーを見るより食べたい! という人は、東京ミッドタウン内のカレー専門店「デリー」とダイニングバー「GRILL&WINE GENIE'S TOKYO」で、オリジナルのダムカレーが期間限定で提供されているのでこちらへどうぞ。熱心なマニアも存在するダムカレーを味わえるチャンスです(写真は「デリー」のダムカレー 税込¥1,200 ソフトドリンク付き)。

 

また、1階にあるショップでは、思わず目を引く黄色いストライプのモチーフが活かされた土木展オリジナルグッズをはじめ、出展作家や土木に関連したユニークな商品が販売されています。こちらは展覧会とは別に自由に出入りできるそうなので、お見逃しなく。

 

ここで紹介した作品は展覧会のほんの一部。見て・触って・聞いて、楽しみながら土木の世界に触れてみてはいかがでしょうか。生活の視点が少し変わるかもしれません。

編集部 五十嵐

 

information
「土木展」
会場:21_21 DESIGN SIGHT
会期:6月24日(金)~9月25日(日)
開館時間:10:00~19:00(入場は18:30まで)
※8月23日は10:00〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:火曜日(8月23日は特別開館)
入場料:一般 1,100円、大学生 800円、高校生 500円、中学生以下無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.2121designsight.jp/

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