40 真鍋大度(メディアアーティスト)×大野茉莉(サウンドアーティスト)

真鍋大度(メディアアーティスト)×大野茉莉(サウンドアーティスト)

2月16日に、東京ミッドタウンのアトリウムで開催された「Midtown Design & Art Live」。その中で行われた今回の公開インタビューには、Perfumeのウェブサイトのディレクションなどでも知られるメディアアーティストの真鍋大度さんと、インスタレーションや音響作品などサウンドアートの分野で活躍する大野茉莉さんが登場。まずは、それぞれの作品を観ながら、インタビューはスタートしました。

update_2014.3.19 / photo_tsukao / text_kentaro inoue

モチーフは近いけれどアウトプットが違う、2つの作品。

electric stimulus to face

electric stimulus to face
2008年に制作され、YouTubeで公開された映像作品。電気信号で自身の表情を操作するという実験的な試みがネット上で話題を呼び、真鍋氏が注目されるきっかけともなった。現在、世界中で175万回以上も再生されている。

真鍋大度(以下、真鍋)これは「electric stimulus to face」という作品で、電気パルスを流して顔の筋肉を動かすテストをしている映像です。手には筋電センサーという筋肉が収縮したときに流れる微弱な電流を検知するセンサーを付けて、その値を変換して顔に流すことで、右手を動かすと左目の筋肉が、左手を動かすと右目の筋肉が動くようにしています。

大野茉莉(以下、大野)そういう仕組みなんですね。

真鍋当時は時間があったので、夜な夜な毎日こんなことをやってました(笑)。もともと、コンテンポラリーダンサーにセンサーを付けて動くと音に変換されるような作品をつくっていたんです。それを自分でもやってみようと思って、ダンサーじゃない僕が筋肉を使うなら顔かなと。

bio effector

bio effector
Tokyo Sonic Art Awardでグランプリを受賞した、大野氏と永田康祐氏による作品。展示空間に吊った膜を鑑賞者の血流の音で弦のように振動させ、膜の張力を変えて音を奏でる。2013年に東京都現代美術館で展示された。

大野私の「bio effector」という作品もセンサーを使っています。手をかざすと血流の音が検出されて、膜に振動となって現れる。膜の振動はモーターで制御されていて、張力を変えることで音質が変わります。体の内側でしか知覚できないものを裏返して、自分の体の中に入ったような感じを表現したくて。

真鍋大野さんの作品も生体だったり低周波を使ったりしているし、空間的、建築的なところがありますよね。モチーフは近いけれど作品としてのアウトプットが違うところが興味深いです。

大野前に真鍋さんのイベントの設営のお手伝いをさせていただいたことがあるんです。本当に最下層の関わり方だったのですが(笑)、いろいろと勉強させていただきました。

誰からも頼まれていないことに時間をつぎ込む。

真鍋僕、作品を思いつくのはシャワーを浴びているときが多いんです。

大野私も思いつくために何かをすることはなくて、ただ興味があって気になるものを、ひたすらやっているだけ。ちなみに作品づくりのきっかけは何ですか?

真鍋頼まれることもあれば、自主プロジェクトもあるし、まあ両方ですね。依頼がなくてもふだんからいろいろ試してネタを溜め込むというか。それなら失敗もできるし、自分で目標設定もできる。たとえば、さっきの顔の装置は仕事でもないし、発表の機会もない中でやっていました。そうしたら、YouTubeのおかげでオファーがくるようになって。

大野私は今、何の役にも立たないかもしれないことにひたすら時間をつぎ込んでいます。自分の興味を満たすためだけでなく、これを人の役に立つものにしていきたいと思っているんですけど......。

真鍋忙しくなってくると、だんだんそういうことができなくなるので、いかに時間をとるかっていうのが大事。たとえば僕の場合、ヨーロッパとか海外に滞在してノイズをシャットアウトして制作するような方法も取っています。そういう意味では自主プロジェクトは大変だと思いますね。

大野まず気になったものはとりあえず実験してみる。ふだんから、これをやったらどうなるんだろうって考えているんです。暇なので(笑)。やりたいけど予算や場所の関係で難しいものが、今も100個くらいあって。