47 高橋裕士 (WOW)×於保浩介 (WOW)

高橋裕士 (WOW)×於保浩介 (WOW)

NHK大河ドラマ「八重の桜」のタイトルバックや、ISSEY MIYAKEやWORLD ORDERのショー演出、さらにアプリ開発など。東京と仙台、ロンドンに拠点を置くビジュアルデザインスタジオ「WOW」を率いるのは、代表でエグゼクティブプロデューサーの高橋裕士さん(左)と、チーフクリエイティブディレクターの於保浩介さん(右)。インタビューは、この秋の「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」でWOWが手がける、映像インスタレーションのお話からどうぞ。

update_2014.10.1 / photo_hiroshi kiyonaga / text_kentaro inoue

つくりたいものと頼まれるものを、交互にやるのがスタイル。

工場と遊園地

工場と遊園地
現実と空想の境界線をテーマにつくられたWOWオリジナルのインタラクティブな映像インスタレーション。ビジュアルは、認知科学者のとの対話から生まれたもの。2014年のDESIGN TOUCHでは、東京ミッドタウンB1の水が流れる壁(上のメイン写真)に、幅12mにわたる映像を投影する予定。

於保浩介このインスタレーションは、エプソンの「スマートキャンバス」という電子ペーパー腕時計に、「工場と遊園地」という"WOWモデル"があって、その時計の世界観を大きな壁に映し出す映像で表現しようというものです。

高橋裕士そもそも「工場と遊園地」というのは、WOWが2007年に宮城県美術館で行ったインスタレーション。ロシアとか他の国を回っているのを見てくれていたメーカーの人から、腕時計にしたいとオファーをもらったんです。ちなみに、このインスタレーションの難点はすごく大きいこと。横幅40メートルでつくってしまったので、どこの美術館にも入らなくて、泣く泣く展示をあきらめたところも。それがめぐりめぐって、我々の作品の中で一番小さいものになったというのが面白い。

於保今回のように頼まれる仕事の場合、だいたい"箱"の大きさがある程度決まっているので、その規模に合わせて作品を考えます。小さい部屋なのか体育館くらい広いのか、近くで見るのか離れて見るのか、その距離感によってアプローチがまったく違ってくる。今回は、1階の通路を歩いている人と、エスカレーターに乗っているお客さんがメイン。その人たちに見えるように、できるだけ大きく投影する予定です。

高橋「工場と遊園地」は、自分たちがつくりたいからつくった完全なオリジナル作品。自発的につくったものが、たまたまクライアントワークにまでつながりました。自分たちでつくりたいものと、頼まれるもの、その2つを交互に繰り返しながらやっていくというのも我々の特徴的なところかもしれません。

整理されつくしてないのが、六本木の魅力。

ROOFSCAPE

ROOFSCAPE
映像が映し出される筒の大きさは、直径2.5m、高さ7m。キャノピー・スクエアの柱に指向性のスピーカーを仕込み、またノイズを流すことで、筒に近い一部のエリアに入ると急に、映像に合わせた音が聞こえる仕組みになっている。

於保それ以外にも、僕らは意外と六本木との関わりはあって、2010年の六本木アートナイトのときには、東京ミッドタウンのキャノピー・スクエアの下で「ROOFSCAPE」という音と映像のインスタレーションをやらせてもらいました。大きなシリンダー状の筒に、自動販売機がバーッと並んだり、地下鉄っぽいネオンが浮かんだり、夜の六本木をモチーフにしたオムニバス形式の映像を流して。

高橋この間は、21_21 DESIGN SIGHTで「コメ展」にも参加させてもらったし。僕が東京に来たのは2000年だからよく知らないんですけど、於保に聞くと、六本木といえば防衛庁跡のイメージしかないって。昔は全然違ったんですよね?

於保今は東京ミッドタウンもできてきれいになりましたけど、20年くらい前、外苑東通り沿いのメルセデス・ベンツのあたりなんて、もう町外れ。でもひっそりしてていい感じだったんですよ。あの界隈の裏のお店には、よく来てたので、けっこう思い出はありますね。

高橋いい思い出?

於保いろんな思い出(笑)。バブル絶頂から終わりかけみたいな感じで、一番ざわざわしている時期だったと思う。怪しいし、外国人もいっぱいいるし。僕らより少し上の世代が、六本木を遊び場にしているイメージ。世代によってすごく温度差がある、東京の街ってそういう街が多いのかもしれませんけど。

 いろんな要素が雑多に絡み合って、整理されていないのが東京の魅力のひとつですが、とくに六本木は、そういうところが如実に現れている気がします。たとえば新宿というと泥臭すぎて、あんまりオシャレな感じはしない。でも六本木ってヒルズとかミッドタウンのようにすごくすっきりした空間がある一方で、裏に入るとまだざわついているところもある。

高橋やつれたネオンとか、タクシーとか、工事現場の光るパイロンとか。酒を飲んだあとによみがえってくるような、独特な印象がありますよね。

於保映像をつくるときにいつも思うのは、最初から最後までコントロールされたものって意外と魅力がないということ。完璧にコントロールされた映像って、たとえるなら新築のマンション。どこも同じでピカピカしすぎ。そこに、ちょっとノイズとかわけのわからない余白みたいなものが入っていたほうが、いい味付けになる。六本木は整理されてきてはいますけど、まだ整理されつくしてない感じが残っている。それはすごくいいと思うんですよね。