六本木で働く・住む人に、街についてのインタビューをして、リレーで繋げる当企画。前回の八田さんが紹介してくれたのは、元大手新聞記者で現在は広報コンサルタントとして活躍する新田哲史さん。自宅&職場とも六本木の新田さんが、独特の鋭い視点で語ります。
Q 01
六本木といえば_________。(一言で表すと?)
A
歴史にたとえるのが好きなのですが(笑)、六本木は「東京の長州藩」だと思います。
90年代までは歓楽街としての位置づけにあった六本木も、2003年に六本木ヒルズがオープンしてからはビジネスの街としての色合いがぐっと強まりましたよね。そこに集まってきた企業も人材もクリエイティブでイノベーティブなタイプが目立ちます。
幕末の長州藩士もイノベーターのように思います。激動の時代にうまく立ち回った感のある薩摩藩に比べ、長州藩は血みどろの戦いを繰り広げました。古い体制と戦いながら前向きに進んできた長州藩の姿と2000年代の六本木は似ているような気がします。
Q 02
あなたがオススメする、六本木のベスト3は?(飲食店を含む、あらゆるお店でOK)
A
1位 けやき坂イルミネーション
毎年11月頃から点灯が始まると「今年ももうすぐ年末かあ......」と、仕事の追い込みをかける時期が来たことを感じます。プライベートで見にくるのにもいいスポットですよね。
2位 ニコファーレ
ネット選挙の企画の仕事で候補者討論を行ったときに利用した、ドワンゴが運営するライブハウス。ニコニコ生放送の中継基地で、壁一面と天井のLEDディスプレイが圧巻でした! 四方の壁に視聴者のコメントがリアルタイムで表示され、スタジオの中央で候補者が意見発信をする光景はまるでショーのよう。時代の変化を象徴する衝撃的な体験でした。
3位 TOHOシネマズ 六本木ヒルズ
この映画館の特徴は週末のレイトショーをものすごく遅い時間までやっていること。深夜0時からや一番遅いものだと3時に上映開始のプログラムもあります。洋画に関しては、翌日の土曜に封切りされるタイトルを日付けの変わる深夜0時から上映してくれるので、早く観たい作品があると、その時間に合わせてつい観に行ってしまいます。
Q 03
六本木にある、お気に入りの景色は?
A
アークヒルズ裏手にある桜坂です。ホテルオークラとアメリカ大使館に程近く、こんな都心の中にありながら桜並木が楽しめるなんて、すてきですよね。背景にはアークヒルズをはじめとするビル群がそびえたち、人口と自然が融合した感じがたまりません。今はまだこんなさびしい状態ですが(※取材時は2月末)、桜が咲くのが待ち遠しいです。
Q 04
六本木のアフター5の過ごし方は?
A
本屋めぐりが好きで、駅前の「青山ブックセンター」と「あおい書店」によく行きます。仕事の関連本を探したり、趣味の情報収集をしたりと、長いときには1時間、ふだんはだいたい20~30分は滞在します。
買う本が決まっている場合にはアマゾンも利用しますが、リアル書店のいいところは思わぬ発見があるところ。ジャンル問わず「こんな本あるんだ!」と思わず手に取ってしまう本との出会いが楽しいです。
Q 05
六本木ならではのリフレッシュ方法は?
A
六本木界隈をふらっと散歩すること。寒い時期はあまり行きませんが、夏場の深夜など、ちょっと気分転換に周辺をぐるっと一巡りするのが好きです。散歩というよりは人間観察・街観察に近いかもしれません。
怪しそうな人がいたり、若者が騒いでいたり......。話題になっているスポットに行って、「これが噂のアレか」と眺めることもあれば、裏通りに入ってそれまで知らなかったお店を見つけることもあります。メインストリートを車で走るだけでは気づけない、ちょっとした街の変化を感じ取れるのが醍醐味です。
Q 06
身の回りのお気に入りのデザインは?
A
かれこれ12年も愛用しているオメガのシーマスター。実はこれ、大ファンの007シリーズ40周年記念で発売された、世界で10007点しかない限定品なんです! 作中でピアース・ブロスナン扮するジェームズ・ボンドが着用しているのと同じデザイン。さすがに映画のようにレーザー光線は出ませんけど......(笑)。
Q 07
六本木をもっと良い街にするには?
A
仕事も遊びももっと自由奔放に楽しめるようになればいいなあと......。六本木といえばクラブですが、風俗営業法で午前1時を過ぎるとダンス営業は規制されます。一時期、有名店がその時間を超えて違法営業で摘発されていましたが、そういう問題がニュースで伝えられるたびに残念に思います。
治安の問題や地域住民の方からの苦情はもちろん理解できますし、対策をしていかなくてはならないと思います。でも、ダンスそのものが悪なわけではないですよね。都知事選で支援した家入一真さんが "ダンス規制法除外特区"構想を唱えていましたが、私も同じ考え。そのほうが海外の人もどんどんやってきて街が活性化して経済も潤う気がします。
治安と風紀を守りながら、これまでのようにクラブが営業できる方法を議論していく余地はまだまだあるのではないでしょうか。何と言っても六本木は現代の長州藩ですから(笑)、既成概念にとらわれず、新しい都市像を切り開いてほしいと期待しています。
Q 08
前回出演した方(八田さん)とのつながりを教えてください。
A
知り合ったきっかけは、1年半くらい前に企業の広報担当者向けセミナーで講演をしたときに、八田さんが聞きに来てくれていたこと。今では公私ともに交流している友人です。
no.018
新田 哲史さん
30代・広報コンサルタント / ブロガー
六本木歴8年