AXISギャラリーでは、10月11日(金)~10月15日(火)まで、粉末に着目したエキシビション「WONDER POWDER」展を開催しました。
「WONDER POWDER(ワンダーパウダー)」とは、分析計測機器メーカーの島津製作所とコンテンポラリーデザインスタジオのwe+が共同で2022年から行ってきたリサーチプロジェクトのこと。今年4月のミラノデザインウィーク2024では研究成果として、リサーチの一部とインスタレーションが展示され、「Fuorisalone.it」主催の「Fuorisalone Award」で"mention interaction"を受賞しました。本展は、その展示を日本で再構築したものです。
人類にとって最も原始的な加工方法のひとつとして知られる粉末化。島津製作所とwe+は粉末の可能性に魅力を感じ、様々な素材を粉末化し、水中での動きの観察や科学的分析を通して、芸術的かつ科学的な美しさを探究しています。
開催初日に行われたレセプションパーティにはShimadzu Designの竹川諒氏・杉江智哉氏、we+の安藤北斗氏・林登志也氏が登壇しました。
本展は、粉末化された素材と水を入れた什器を中心に構成されており、アルミニウムや木などの身近な素材から雲母やタイガーアイなどの鉱物まで、全15種の粉末の流動を観察できます。什器は自動で回転するものと、人の手で回転させるものの2種類がありました。
入口近くに設置された什器では、クロマシャインというアルミニウム顔料の流動を見られます。細かい粒子が水中いっぱいに広がり、什器が自動で回転するたびに立体的な模様を描きます。正面から見ると金色に輝いて見える粒子が、光の反射によって青緑色にも見えて神秘的でした。
上画像は、木を粉砕したものが入れられた什器。こちらは手動で、細長い什器を横や縦に回転させたり、ひっくり返したりして楽しめます。什器を逆さにすると、中の粉末がゆっくりと沈下し、だんだんと全体に広がっていきました。
アルミニウムが入った什器は、什器を前後左右に動かし空気が干渉することで模様が浮かび上がります。白銀にきらめく液体に空気が通って、波のような模様になるのが不思議でした。
会場奥には、岩絵具の粉末が正方形の什器に入れられ展示されていました。他の展示と異なり、横に回すことで生じる遠心力によって模様を作り出します。赤色と黄色のコントラストや、それが混ざりオレンジ色になるなど、美しい色合いが特徴的でした。
会場中央のスペースでは、分析結果や考察を展示。科学的な観点から粉末の魅力が綴られています。15種類の素材が粉末化される前の状態も展示され、それぞれの特徴を見ることもできました。回転によって異なる姿を見せる粉末の美しさに、心奪われる展覧会でした。
編集部 佐賀
「WONDER POWDER」
会期:2024年10月11日(金)~10月15日(火)
会場:AXISギャラリー
東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 4F
主催:株式会社島津製作所
リサーチ&デザイン:安藤北斗・林登志也・青木陽平・関口愛理・猪上気広・黄綺樺(we+)、竹川諒・杉江智哉・長谷部臣哉(Shimadzu Design)
素材分析:株式会社島津テクノリサーチ
テクニカルデザイン:日下部理
エンジニアリング:佐藤駿次
グラフィックデザイン:庄司竜郎
写真:林雅之
動画:村瀬健一
コーディネーション:金森裕貴子、合田紘子
協力:AXISギャラリー、HAKUTEN、東洋アルミニウム株式会社、三井化学株式会社
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.axismag.jp/posts/2024/09/613925.html