TOTOギャラリー・間では、8月4日(日)まで「魚谷繁礼展 都市を編む」を開催しています。
魚谷繁礼氏は学生時代から20年以上にわたって京都の都市構造を研究しているとともに、これまで京都を拠点に国内各地の町家や長屋、路地などに関連するプロジェクトに取り組んできました。3階GALLERY 1では、魚谷氏が手掛けてきた京都のリサーチと、そこから得られた思想を背景とした完成プロジェクト6件の模型や図面が展示されています。
会場内には縮尺版の模型のほか、構造モデルの原寸大模型も設置されています。展示台の一部には「能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築」で使用されていた木材が再利用されているそうです。
会場内に設置されたモニターには、プロジェクトの進行過程が映されています。どのように都市の風景が変化していったのかがわかりやすく、ついじっと眺めてしまいました。
京都では、日に日に町家のような歴史的建築物が姿を消している現状があるそうです。中庭には、京都・五條地域で取り壊されることとなったお茶屋建築の軸組が展示されています。会期後は、京都・大山崎のショールームに移されるそうです。
4階へと続く階段を登りながら、軸組を見下ろすこともできます。同じ目線の高さで軸組を観察できる、貴重な機会となっています。
4階GALLERY 2内にある4件の模型はすべて、現在進行中のプロジェクトです。
現在と数年後、数十年後の模型が時系列順に並べられており、どのような変化を遂げていく想定なのかが一目でわかります。魚谷氏は内覧会にて「京都は100年前のものがある街なので、100年後のことも考えやすい」と語っていましたが、まさにそれが体現されています。
壁面は国内外のプロジェクト写真約750枚とともに、魚谷氏の言葉が散りばめられています。あなたの胸に突き刺さるメッセージが見つかるかもしれません。
歴史性や地域性を消費するのではなく、未来を見据えた都市空間や都市居住の実現について考えさせられる展覧会となっていました。
編集部 齊藤
「魚谷繁礼展 都市を編む」
会期:2024年5月23日(木)~8月4日(日)
開館時間:11:00~18:00
休館日:月曜日・祝日
入場料:無料
会場:TOTOギャラリー・間
主催:TOTOギャラリー・間
企画:TOTOギャラリー・間運営委員会
特別顧問=安藤忠雄、委員=貝島桃代/平田晃久/セン・クアン/田根剛
後援:
一般社団法人 東京建築士会
一般社団法人 東京都建築士事務所協会
公益社団法人 日本建築家協会関東甲信越支部
一般社団法人 日本建築学会関東支部
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://jp.toto.com/gallerma/ex240523/index.htm