2023年春に引き続き、多摩美術大学TUBでは2024年3月28日(木)~4月6日(土)まで、アート教育の育む感性や創造性、環境教育についてポケモンを通して学ぶ企画展「ポケモンと考える アート・環境教育展2」が開催されました。今回はその様子をレポートします。
本展では、多摩美術⼤学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻の学生たちが授業プログラムの一環として、身のまわりにある様々なモノを材料に制作したポケモンを「POKÉMON UPCYCLE SCULPTURE」と題し展示。
第2弾となる今回は、昨年展示されたピカチュウ、リザードンなど28体に、パピモッチ、ルギア、コダックなどを加えた計47体のポケモンたちが並びました。
昨年の4月から5月にかけて3週間ほどで作られたのち、秋に改めて作品を見直しブラッシュアップした作品が展示されているとのこと。材料までこだわった作品が多く、水タイプのゲッコウガはフィンやシュノーケルなど海・水に関するもので作られ、パピモッチはパン生地の柔らかさを表現するため、首元や背中部分に触り心地の良いぬいぐるみが使われています。
ベロリンガは、淡いピンクのベビースタイからインスピレーションを受け、ベロリンガらしい色合いのパーツを集めていったそうです。特に頭部は何種類かの子ども用兵児帯(へこおび)から厳選したこだわりの部分だそうです。
昨年の展示会は反響が大きく、生徒にも刺激を与えたようで、今年はポケモンにあまりなじみのなかった生徒や海外からの留学生も参加しています。
こだわりは作品だけではなく、展示の仕方にもあります。まず、親子で来場する人が多いため、子どもの目線で見られる高さになっています。親子でのぞき込むにもぴったりな高さです。
また、この企画展をオーガナイズした多摩美術⼤学の濱田芳治教授と尾形達准教授によると、展示会の主旨でもある環境教育への配慮として、展示台は全て段ボールで作られており、接着剤を使わない組み立て式となっているため、解体すると板状にして保管できるようになっているそうです。前回の展示で利用した段ボールの展示台が、今回の展示でも再利用されています。
さらに、この段ボールで作られた展示台には制作者の名前と共に材料も記載されています。「なんの材料で作られているんだろう?」と考えながら見た後に答え合わせできるのも親子で楽しめるポイントの一つです。
壁には環境問題の今を知ることができるパネルが展示されていました。今回は、地球温暖化をはじめとする環境の変化に目を向け、自然と人々の暮らしを近づけるためのデザインやリサーチ情報がまとめられました。「太陽を浴びないとビタミンDが作られない」など、日常に関連するお役立ち情報かつ環境問題を考える一つのきっかけになる情報も載っています。
また、今年も段ボール古紙を素材とする球状の花火玉皮に水性マーカーでイラストを描く「君だけのモンスターボールをつくる」ワークショップを実施。昨年の好評を受け興味を持った親子は多く、予約制の企画ながら1分でその予約枠が埋まってしまったとか。1時間ほど集中しなければいけない作業でしたが、どの子もしっかりと作業をやり遂げ、自分だけのモンスターボールをゲットして喜んでいたそうです。
「自分も作ってみたい」とアートへの意欲を高めるだけでなく、環境問題への関心をもつきっかけも与えた本展。会場の壁は、展示会やワークショップの感想で埋め尽くされ、今年も大盛況で幕を下ろしました。ポケモンのリクエストも多く、筆者も密かに書き記してきました。今年も同プログラムを授業で実施するそうで、来年の開催に期待が高まります。
編集部 最上
「ポケモンと考える アート・環境教育展2」
会期:2024年3月28日(木)~4月6日(土)
会場:多摩美術大学 TUB(東京ミッドタウン・デザインハブ内)
主催:多摩美術大学 TUB、プロダクトデザイン研究室
協力:一般財団法人 ポケモン・ウィズ・ユー財団
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://tub.tamabi.ac.jp/exhibitions/4433/