国立新美術館では6月12日(月)まで、「ルーヴル美術館展 愛を描く」が開催中です。ルーヴル美術館とのコラボは、今回で4回目。2018年に開催された「ルーヴル美術館展 肖像芸術――人は人をどう表現してきたか」以来となります。
ルーヴルのスペル「LOUVRE」の中に英語の「LOVE」があることから、本展ではルーヴル美術館のコレクションから「愛」をテーマに73点を展示。今回、案内人として満島ひかりさんが抜擢され、声優の森川智之さんとともに音声ガイドも担当しています。
西洋美術の根幹をなすテーマの一つ「愛」。恋愛だけでなく、誰かを恋しく思うばかりに生まれる苦悩や悲しみ、暴力、さらにはキリスト教における神が人間に注ぐ無償の愛「アガペー」など、さまざまな愛の形が一堂に会します。
会場に足を踏み入れると、まず目にするのはフランソワ・ブーシェの《アモルの標的》。アモルとはヴィーナスの息子である愛の神です。一般的には、キューピッドの名で知られていますね。
本展では、アモルを描いた絵画が多数登場します。アモルは、格別の美貌をもつ人間の娘プシュケと、苦難を乗り越えた末に結ばれるのですが、そんな二人の結婚式が描かれた《プシュケとアモルの結婚》は必見です。
苦難こそあれど、二人の物語は祝福と幸せに満ち溢れたエンディングを迎えます。神の愛と人間の魂の結合を描くこのストーリーは、悲劇が多い神話の世界では珍しいといえるでしょう。
また、特に見逃せないのが、26年ぶりに来日した18世紀フランス絵画の至宝、ジャン=オノレ・フラゴナールの《かんぬき》。当時、上流階級の男女が恋の駆け引きに興じる情景が多く描かれました。本作はフラゴナールの代表作で、溢れる情欲と緊張感が伝わってくる名画です。
キリスト教においては、孝心をはじめとする親子愛がしばしば重要視されます。そこで、本展では「ローマの慈愛」や聖母マリアと幼子イエスを中心に据えた「聖家族」などをテーマとした宗教画も選出されています。
最後の章となる「第4章 19世紀フランスの牧歌的恋愛とロマン主義の悲劇」では、身分や家柄を重視した結婚ではなく、愛情に基づく絆を重視した作品が集められています。
クロード=マリー・デュビュッフの《アポロンとキュパリッソス》で描かれているのは、どちらも男性。しかし、肌の色は白く筋肉は控えめに描写されています。このように、性別にとらわれない愛が表現されているものが多く見受けられました。
開催に先駆けて行われた開会式には満島ひかりさんが登壇。「本展に集められた作品には、それぞれ愛にまつわるたくさんのヒントが散りばめられています。描かれた背景を知れば知るほどじっくり鑑賞してしまって、1枚の絵画に対して30分以上は必要に感じました。ぜひ、1度だけでなく何度も足を運んでいただきたいです」とコメントしました。
東京ミッドタウンでは、本展と連動したコラボレーションメニュー「LOVE in TOKYO MIDTOWN 東京ミッドタウンで楽しむ"愛"の逸品」を展開中。ガレリアB1では、キャッチフレーズである"LOVE×LOUVRE"をイメージしたフォトスポットも設けられているので、併せてお立ち寄りください。
編集部 齊藤
「ルーヴル美術館展 愛を描く」
会期:2023年3月1日(水)~6月12日(月)※毎週火曜日休館
※ただし3月21日(火・祝)・5月2日(火)は開館、3月22日(水)は休館
開館時間:10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館 企画展示室1E
主催:国立新美術館、ルーヴル美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社、BS日テレ、ニッポン放送
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
特別協賛:野村證券
協賛:大成建設、DNP大日本印刷
協力:日本航空、NX 日本通運、TOKYO MX、TOKYO FM
企画協力:NTVヨーロッパ
展覧会HP(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.ntv.co.jp/love_louvre/