六本木未来会議に登場してくれたクリエイターのみなさまが「クリエイションのスイッチを押してくれる一冊」として推薦してくれた本を紹介しています。紹介した本は、東京ミッドタウン・デザインハブのインターナショナル・デザイン・リエゾンセンター内で不定期開室されているリエゾンセンター・ライブラリーにてお読みいただけます。今回は、松島倫明さんが選んだ『Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章 上・下』(著:ルトガー・ブレグマン/訳:野中 香方子/文藝春秋)。
松島さんのコメント
人類の歴史についての翻訳本です。歴史というと基本的に戦争や自然災害や様々な事件といったネガティブな事象の連なりで記述されてきたし、日々流れるニュースも同様です。そこから僕たちは「万人の万人に対する闘争」に代表されるような人間の「性悪説」に基づいた社会をつくってきました。
でも本書の著者ブレグマンはその前提をポジティブにひっくり返して見せるんです。僕たちはもやもやすると日々の生活の中で近視眼的になっていくので、本書のように視座を広げるものを読んで、全体の解像度を意識的に上げることが大切。その点、翻訳書は「人類」や「ホモサピエンス」といった大きなスケールの主語から文明論を語るようなものが比較的多く、大好物ですね。
"性悪説"で動いてきた近現代の社会思想。そしてそれを裏付けるような、スタンフォード監獄実験をはじめとする、悪名高い心理学実験や人類学の調査。はたしてこれらは本当なのか。著者が世界中を飛び回り、エビデンスを集めて結果に辿り着く、意外な結果とは。
クリエイティブ集団「graf」を率いる服部滋樹さんへのクリエイターインタビューをきっかけに実現した、「六本木未来会議BOOKキャラバン by 服部滋樹」のプロジェクトレポートも公開中。併せてお読みください。
松島倫明さんのインタビューはこちら
クリエイターインタビュー #133
松島倫明(編集者)
https://6mirai.tokyo-midtown.com/interview/133_01/