現在、森アーツセンターギャラリーでは、ニューヨーク・ブルックリンを拠点とする稀代のアーティスト、KAWS(カウズ)の大型展覧会「KAWS TOKYO FIRST」が開催されています。国内初の大型展覧会となる本展では、150点を超える作品を展示。制作初期の作品から最新作までの絵画や彫像が並びます。
絵画、壁画、グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、ストリートアート、巨大彫刻など多岐にわたる作品を生み出し続けてきたKAWS。ポップカルチャーのアニメーション作品からインスピレーションを受け、とりわけ、目の箇所に×印を施した色彩豊かなキャラクター作品の数々はKAWSの代名詞となっています。
入口で我々を歓迎するのはブルックリンにあるアトリエの一室を再現した展示です。プライベートコレクションや、KAWSの代表的なキャラクターBFFのぬいぐるみが置かれ、彼が普段どんなものからインスピレーションを受けているのか、その片鱗を知ることができます。
本展は5つのエリアに分かれていて、東京での最初の個展(2001年)で展示したものから、最新作の「FAMILY」や「NEW TURN」など時代を代表する作品が並んでいます。
同展の日本側監修を務めたのは、過去にブログで紹介したANB Tokyoのディレクター山峰潤也。作品の並べ方にもこだわりがあり、それぞれのビジュアル同士が共鳴し合うような配置がなされています。
実は、展覧会名である「KAWS TOKYO FIRST」は、前述した2001年の渋谷PARCOでの自身日本初の個展と同じタイトル。本展には、20年を経ての「原点回帰」の想いが込められているのだとか。
「今こそ過去を振り返り、未来について考える機会だと感じます」と氏。「実をいうと、私の作品はすべて個人的な想いから来ており、『作品は家族だ』とも言えます。私自身の感情を、作品を通して感じてほしいです」と見どころを明かしています。
こちらはまだ準備中の展示土台、と思いきや、こちらも展示作品の一つ。デジタルアートプラットフォームAcute Artと提携した、スマートフォンを使用して楽しむAR作品です。どんな作品が飛び出してくるのか、ご自身のスマートフォンで確かめてみてください。
出口付近には、インタラクティブ展示も。BFFのために絵を描いてあげたり、顔や手といったBFFの体の一部と一体化したり...。KAWSの世界観がより深まること間違いなし。作品とコラボできる仕掛けでとても楽しかったです。
洗練されたユーモアに溢れ、幅広い人々に愛されているKAWSの作品。20年の変遷を知ることで、ユニークな芸術制作の軌跡や、美術史的意義を知ることのできる展覧会でした。公式サイトでは、KAWSのインタビュー動画も公開されています。あわせてご覧ください。
編集部 高橋
「KAWS TOKYO FIRST Sponsored by DUO」
会場:森アーツセンターギャラリー
会期:2021年7月16日(金)~10月11日(月)
時間:10:00~20:00
※9月9日(木)は~17:00
※入館は閉館の30分前まで
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.kaws-tokyo-first.jp/