未来を創造する技術とアイデアが結合する、都市を舞台にしたテクノロジーアートの祭典「Media Ambition Tokyo 2021」が、東京シティビューにて5月12日(水)から6月8日(火)まで 開催中。本レポートでは、前後編にわけて本展の様子を写真とともにレポートしていきます。
前編はこちら:【展覧会レポート】「Media Ambition Tokyo 2021」前編
展示作品の中でも一段と横に長いこちらは落合陽一氏による「物化する地平線」。六本木ヒルズから見える地平線をトランスフォームするために、線や光のイメージを書き加えた作品です。氏は「毎年同じ場所で作品を展示しているのですが、今回もロケーションを活かした作品を作りました。線が地平線とぴったり重なった瞬間がシャッターチャンスです」と見どころを明かしています。
空間の凛とした空気感に思わず背筋を伸ばしてしまったのは「Holiness」(脇田玲)。人が神聖さを感じるのは、宗教の儀式や様式に対してではなく、記号としての神に対してでもなく、光の反射や屈折など「ある種の光のパターンの勾配」に対してではないだろうか、という仮説のもと本作が制作されました。流れているサウンドは音響・映像分野を中心に活動している瀧本花乃介が手掛けています。
こちらは政府のウェブサイト「e-Gov法令検索」で公開されている日本の全ての法令の文章のうえに、さまざまな挿絵、色、絵文字が描き足された空間を、足で踏むコントローラーを操作して、漂う体験ができる作品「ero法令検索」(会田寅次郎)。
本作では、今回のために中古で購入したという音楽ゲーム「Dance Dance Revolution」の家庭用コントローラーが使用されており、氏の‟作品とゲーム"の繋がりが垣間見えるものとなっています。5月19日(水)には「作品のベースにはゲームで遊んでいる体験がある」と語る氏のインタビューも公開予定。どうぞご期待ください。
出口付近に展示された「サイバー和菓子」(OPEN MEALS)は、気候変動がもたらす未来を、食を通して思索するプロジェクト。「風速・気圧・気温」のデータを、「形状・高さ・色」に変換し、3Dプリンターで実際に食べられる和菓子を出力しています。会場では簡易的な茶室が設けられており、実際に3Dプリンターが和菓子を作る様子を見ることができました。
ここでは紹介しきれなかった作品も、公式サイトにて情報を公開中。歴代の作品や作家情報を振り返る「MAT DIGITAL ARCHIVE」もあるので、ぜひご覧ください。また、アーティストによるライブトークショーの開催スケジュールも公式サイトにてご確認を。
今年で9回目を迎えるMedia Ambition Tokyo。毎回ノンキュレーションで実施され、作家同士の繋がりや所属しているコミュニティから参加アーティストが集結しています。様々な分野が交わる場としてプラットフォームになりつつある、本展。コロナ禍という難しい状況下での開催となりましたが、今回の創造が未来へと繋がるような、興味深いテクノロジーアートの祭典となりました。
編集部 髙橋
Media Ambition Tokyo 2021
参加アーティスト:シナスタジアラボ、evala (See by Your Ears)、市原えつこ、渡井大己、MES、中村勇吾、北千住デザイン、JEMAPUR、西條鉄太郎、脇田玲、小野澤 峻、落合陽一、板坂諭、xorium、Mayuka Otsuki、笠原俊一、Kezzardrix、比嘉了、笠原俊一 / Superception プロジェクト、Harry Krekoukiotis、KMD Embodied Media & Panasonic AugLab、Danny Hynds、KMD Embodied Media & Geist、会田寅次郎、OPEN MEALS、WOW、チームラボ、ハコスコアーキテクツ、株式会社ハコスコ、三原良太、藤井直敬、中谷健一
会期:2021年5月12日(水)~6月8日(火)
※緊急事態宣言により会期が変更になるおそれがあります。あらかじめご了承下さい。
時間:10:00~20:00(最終入館19:30)
※MATのチケットをご購入の方のみ、入館いただけます
※チケットは東京シティビューのチケットカウンターにてご購入いただけます
場所:東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://mediaambitiontokyo.jp/
【「緊急事態宣言」発出に基づくMAT2021の対応に関して】
Media Ambition Tokyoは、政府による緊急事態宣言発令を 受け、新型コロナウイルスの感染予防および拡散防止のため、 5月11日 (火) まで臨時休館しておりましたが、5月12日(水)より営業を再開いたします。
営業再開にあたっては、 政府および東京都の緊急事態措置等を遵守し、十分な感染予防策を実施しながら、来館者の皆様、 スタッフの健康と安全の確保に努めてまいります。
・開催期間の変更(2021年4月27日(火)~5月23日(日) → 2021年5月12日(水)~6月8日(火))
・営業時間の変更(10:00~22:00→10:00~20:00 <最終入館19:30> )
・トークショーなど会期プログラムの無観客化
・作品のWEB配信など、オンラインコンテンツの拡充
※その他、詳細情報は随時公式HP・SNS等でお知らせ致します