最先端のテクノロジーカルチャーを実験的なアプローチで都市実装するリアルショーケース「Media Ambition Tokyo 2021」が、東京シティビューにて5月12日(水)から 6月8日(火)まで開催されています。
今年で9回目を迎える本展はリアルとオンラインを組み合わせたハイブリッドな展覧会となりました。本レポートでは、会場の様子を写真とともに前後編にわけてお届けいたします。
後編はこちら:【展覧会レポート】「Media Ambition Tokyo 2021」後編
会場で来場者を最初に出迎えるのはシナスタジアラボ feat. evala(See by Your Ears)による共感覚体験装置「シナスタジア X1」。クリエイティブディレクションとして水口哲也氏 (Enhance)も携わっています。44の振動子を組み込んだ装置に身を委ねると、音と振動、光に全身が包み込まれていきます。モチーフに禅や瞑想を据えており、意識が研ぎ澄まされていくフロー状態を体感することができます(※こちらの展示体験には、事前登録が必須です)。
歩を進めると、どこからか「ワッショイ、ワッショイ」とお祭りのような掛け声が聞こえてきました。音の正体は「仮想通貨奉納祭・サーバー神輿」(市原えつこ+渡井大己)。「神事のアップデート」をテーマにした本作は、世界中から仮想通貨を集めてリアルタイムに神輿に反映させ、集まった仮想通貨は「土地の豊穣」のために再分配するという東京の新たな祝祭や伝承をつくるプロジェクトです。左のスクリーンでは、仮想通貨が着金した際に発生する「ワッショイ・セレブレーション機能」とバーチャル担ぎ手の様子を見ることができます。
中村勇吾 +北千住デザイン+JEMAPURによる「HUMANITY - AR EXPERIMENTS -」は、六本木ヒルズ森タワー前広場「66プラザ」で自分のアプリを通して実際に体験できる作品です。
2021年 PlayStation 4・PS VRで発売予定の人間集団シミュレーターゲーム「HUMANITY™」をベースにした実験的なアートプロジェクトで、実際の現実空間に、仮想の群衆がアクロバティックにオーバーラップされていく様子を、リアルタイムで楽しむことができます。52階スペースではARの体験映像が、一本の映像作品として高解像度&高音質音響で上映されています。
ウイルスの感染と増殖をモチーフにした「SOCIAL DISTANCERS -VIRAL INFECTION-」(西條鉄太郎)は、コロナ禍ならではの作品。センサーとプロジェクターを用いたオーディオ・ビジュアル空間で、ウイルスの非生物的ふるまいと、体験者の非線形のふるまいが混沌としたセッションを生み出します。ランダムに出現する注射器を手に入れると、感染者数が低下する、といったゲーム性もありました。
「高校1年の終わりにVRに引き込まれ、高校2年は作品制作の年になりました」と語るのはMayuka Otsuki。出展作「Nether World」はNEWVIEW AWARDS 2020 MAT Prize受賞作でもあります。本作では、ストーリーを通して別の死者の記憶を体験させることで、テーマである「今を生きる人々への愛」をVRを通して伝えています。MAT史上最年少出展者ということです。
このほかにもMESのmeltdown pt.2 "cakeshop"など、何回も見たくなる作品がずらり。レポート後編 では脇田玲氏、落合陽一氏の作品のほか5月19日(水)公開予定のクリエイターインタビュー出演者・会田寅次郎氏ら若手作家の作品も紹介していきます。あわせてお楽しみください。
「Media Ambition Tokyo 2021」公式サイトではアーティストによるライブトークショーのほか、今年だけではなく2019年、2020年の作品アーカイブも観覧することができます。さらにはオンラインコンテンツも配信中。好きな場所で、ぜひ最先端のテクノロジーカルチャーを体感してみてください。
編集部 髙橋
Media Ambition Tokyo 2021
参加アーティスト:シナスタジアラボ、evala (See by Your Ears)、市原えつこ、渡井大己、MES、中村勇吾、北千住デザイン、JEMAPUR、西條鉄太郎、脇田玲、小野澤 峻、落合陽一、板坂諭、xorium、Mayuka Otsuki、笠原俊一、Kezzardrix、比嘉了、笠原俊一 / Superception プロジェクト、Harry Krekoukiotis、KMD Embodied Media & Panasonic AugLab、Danny Hynds、KMD Embodied Media & Geist、会田寅次郎、OPEN MEALS、WOW、チームラボ、ハコスコアーキテクツ、株式会社ハコスコ、三原良太、藤井直敬、中谷健一
会期:2021年5月12日(水)~6月8日(火)
※緊急事態宣言により会期が変更になるおそれがあります。あらかじめご了承下さい。
時間:10:00~20:00(最終入館19:30)
※MATのチケットをご購入の方のみ、入館いただけます
※チケットは東京シティビューのチケットカウンターにてご購入いただけます
場所:東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://mediaambitiontokyo.jp/
【「緊急事態宣言」発出に基づくMAT2021の対応に関して】
Media Ambition Tokyoは、政府による緊急事態宣言発令を 受け、新型コロナウイルスの感染予防および拡散防止のため、 5月11日 (火) まで臨時休館しておりましたが、5月12日(水)より営業を再開いたします。
営業再開にあたっては、 政府および東京都の緊急事態措置等を遵守し、十分な感染予防策を実施しながら、来館者の皆様、 スタッフの健康と安全の確保に努めてまいります。
・開催期間の変更(2021年4月27日(火)~5月23日(日) → 2021年5月12日(水)~6月8日(火))
・営業時間の変更(10:00~22:00→10:00~20:00 <最終入館19:30> )
・トークショーなど会期プログラムの無観客化
・作品のWEB配信など、オンラインコンテンツの拡充
※その他、詳細情報は随時公式HP・SNS等でお知らせ致します