六本木で働く・住む人に、街についてのインタビューをし、リレーでつなげる当企画。今回は、六本木で会社員として働いている杉本浩一さんです。「どうしてこんなに好きになったかは分からないけど、すごく好きなんです」と笑顔で六本木への愛を語ってくださった杉本さん。その目に映る六本木の魅力とは?
Q 01
六本木といえば_________。(一言で表すと?)
A
「遊び心のある大人の街」
その時代を象徴するビジネスパーソンたちが集まっている六本木ですが、私は仕事と遊びが別物であると思っていなくて。むしろ、一緒のものじゃないかと考えています。自分達のしている仕事を労働ではなくて、クリエイティビティを発揮するものとして楽しんでいる。
そういう人が一人いると、自分も刺激を受けてそういう風になりたいと思いますし、今度は私が周りにいる誰かに影響を与えて...。そんな風にどんどん洗練されたセンスのある、お互いが高め合っていけるような場所が六本木なのではないでしょうか。
Q 02
あなたがオススメする、六本木のベスト3は?(飲食店を含む、あらゆるお店でOK)
A
1位 ザ・バー
ザ・リッツ・カールトン東京の45階にある、大人が楽しめる王道のバーです。お洒落で洗練された六本木のイメージがぎゅっと詰まっていて、ビジネスの付き合いはもちろん、友人や恋人同士でもオススメ。夜の演奏時間には曜日により様々なヴォーカルやバンドのエンターテイメントが堪能できますし、何より45階という高層から眺める都会の夜景には、特別なものを感じます。私のイチオシは、一番端にあるテーブル席。東京タワーとスカイツリーを同時に見ることができる、贅沢な席です。
2位 アンダンテ
六本木駅すぐのイタリアン ダイニングバー。どのメニューも全部美味しいですが、あえて挙げるとしたら、飲み物ならレモンサワー(ウオッカベースで、レモンの産地にもこだわりが!)、料理ならボロネーゼと、季節のフルーツを使ったと生ハムのサラダが絶品です。何より、マスターである新井さんの人柄が素晴らしい。僕は浅草出身なのですが、下町育ちということもあって新井さんの"べらんめえ口調"がすごく好きで。六本木にあるお洒落なバーの中に、下町の雰囲気が漂っている、その絶妙なバランスもこのお店の魅力です。六本木の人は、全員が全員お高く気取った人ばかりではないことを体現している場所ですね。
3位 六七
閑静な住宅地にあるマンションの一室を改造した、隠れ家バーです。お店の中はすごくシックで、まさに"大人の隠れ家"。屋上はルーフトップになっていて、そこから六本木ヒルズを見上げることができます。お店は3階にあるのですが、周りの建物もそこまで高くはないので景色が開けています。帰り際に、お店の名前が入ったあぶらとり紙をくれることでも有名なんですよ。
Q 03
六本木にある、お気に入りの景色は?
A
オススメの場所でも少し触れたのですが、やはり六本木の夜景です。夜景って、命の灯だと思っていて。働いている人、住んでいる人、遊びにきている人...すべてに灯りが必要で、そんなみんなの命の集まった場所からはエネルギーを感じることができます。落ち込んでいる時には励まされますし、疲れた時には癒してくれる。そこに美味しいお酒やお料理、心を許した友人や恋人がいればなおさらです。不思議な力をくれる夜景は、好きな方が多いのではないでしょうか?
Q 04
六本木のアフター5の過ごし方は?
A
友人と飲みに行くことも多いですが、文喫やアカデミーヒルズに行って一人で過ごすこともしばしば。もともと本が好きで、アカデミーヒルズには会員制ライブラリーができたすぐの頃から通っています。ライブラリーにはビジネス書だけでなく、アートや建築など幅広いジャンルの本があり、自分だけでは発見できないようなものに出会える喜びがありますね。入会したのは社会人5年目くらいの頃で、当時の自分としては会員費を少し高く感じましたが、それ以上に得られるものの方が多かったので、迷いはありませんでした。
Q 05
六本木ならではのリフレッシュ方法は?
A
誰かとのお酒や夜景もリフレッシュになりますし、自分自身のこれまでを振り返ったり、考えを整理するために一人でバーに行ったりもします。ひとしきり一人で過ごして、喋りたくなったらマスターに声をかけて、いい距離感で近しい人には話せないようなことを話したりしますね。この街は一人で過ごすのに最適な場所でもあると思います。
また、最近では新型コロナウイルス感染症の影響で在宅勤務が増えたので、運動を兼ねて散歩もしています。私は旅に出ても、公共の交通機関を使わずに街中を歩いて周るほど散策が好きで、なじみの場所も少し目線を変えたり、一本奥の通りに進むだけでこんなに違うんだ、と新たな気付きを得ています。
Q 06
身の回りのお気に入りのデザインは?
A
コードバンの財布と名刺入れです。ブランドにこだわりはありませんが、この素材が好きで使い続けています。普通の革と比べて上品な光沢がありますし、使えば使うほどその美しさが際立ちます。メンテナンスのために馬油で磨くと、使っているうちについた小さな傷が、ぼんやりと妖しい光を放ってくれるんです。今使っているこの財布と名刺入れは10年以上前に購入したものですが、これも実は2代目。
馬の臀部から採ったコードバンは「革のダイヤモンド」と呼ばれるほどの一級品で、年代が上の方も広く使ってらっしゃいます。知り合った相手がコードバンの小物を使っていると、「あなたもこの良さが分かるんですね!」と嬉しくなって、素材へのこだわりの話で盛り上がることもあります。
ずっと同じものを使い続けているのは、コロコロと替えないこと自体が、大人の主義主張と言うか、大人になったからには変えられないものがある、という心を表してくれるからなんです。変えられない心情を持つことは大人の責任だと思っているので、好きになったこのコードバンの財布と名刺入れは、使うたびに自分を原点に立ち返らせてくれます。
Q 07
六本木をもっと良い街にするには?
A
すでに良い街ではありますが、欲を言うなら、若い人に六本木ならではの静かなバーやお洒落なレストランに来てもらいたいですね。クラブなどの歓楽街と比べて、「大人の世界だな」と一歩引いてしまう気持ちも分かるのですが、六本木は受け入れる器はもちろん、架け橋になれるような場所としてのポテンシャルが間違いなくあります。
もう一つ言うと、六本木を中心とした人と人とのコミュニティの場所を作れたら素敵ですね。この連載もそうですが、飲食店、会社員、アーティストなど普段は接点のない人たちが、六本木を通じて一つに結ばれる。そういう企画があれば、新しい発見も生まれますし、ますますおもしろい街になるのではないでしょうか?
Q 08
前回出演した方(新井さん)とのつながりを教えてください。
A
私も入っているオンラインサロン「田端大学」の新入生歓迎会がいつもアンダンテで、さらに新井さんも「田端大学」の一員だったので、それがきっかけで仲良くなりました。今では完全に"行きつけ"になっています(笑)。また、僕も新井さんも落語が好きという共通点があり、新井さんがお店で一席披露する際には駆けつけたりもします。新井さんのざっくばらんとした人間性がとても好きですね。
no.071
杉本浩一さん
40代・会社員
六本木歴10年