2020年11月26日(木)六本木ヒルズ内66プラザに、現代美術アーティスト・村上隆による高さ約10mの金色に輝く《お花の親子》が登場しました。本作は、コロナ禍にあっても、文化都心・六本木からアートの力で「元気」や「希望」を世界に届けようという思いから、設置された巨大彫刻です。
設置当日にはユニークな衣装に身を包んだ村上氏が登壇。「新型コロナウイルス感染症の影響で会社の倒産劇の最中にも関わらず、プロジェクトを止めずに、支払いを続ける判断をしてここまで漕ぎつけることができました。これまで、彫刻を作る際は彫刻家の方にお願いしていたのですが、今回の作品は我々の工房で初めてゼロからつくりました。
設置にあたり、アメリカと日本のレギュレーションの違いに苦戦しながら、現場で溶接をしたり構造を変えたり...。このつるんとした金箔の中には様々な葛藤が詰まっています。今日を迎えられたことが信じられないくらいの大変なプロジェクトでした」と制作期間を振り返りました。
正面からのインパクトが大きい《お花の親子》ですが、実は裏側から作品を見ると違う顔が姿を現します。親のお花は、穏やかなほほえみをたたえ、子どもはまだ開ききっていない蕾を覗かせています。
「こういった正面性の強い作品は、ぐるりと一周すると死角が出てきてしまうのですが、それをなくすために裏の顔を付けました。僕ら芸術家は建築家とすごく似ていて、どうやったら人々が絵や彫刻の世界に入っていけるのかを、テクノロジカルに考えています」と村上氏。
また、「僕のポジションは西洋の現代美術の世界ではアウトサイダー。不利な点もありますが、逆にターゲットの自由度があります。僕はお子さんのオーディエンスをたくさん持っているので、どうしたら子どもが親と一緒に見に来て、色々なことを発見できるか、という点に注力しています。これを見てどんなコミュニケーションが行われるのか、ある程度シナリオを書いて作品を作りました」と明かしました。
村上氏の作品と言えば、ビッグスマイルが特徴の1つとしてあげられますが、これについて氏は「僕の作品はハッピーなキャラクター達がニコニコしているので、僕の人格や制作現場も朗らかなハッピーなモノと勘違いしている人が大半。ですが、夢の創造には本当に吐き気を催すほどの苦渋がいつも隣に居ます」と説明。
「僕らアーティストは、現世を忘れてしまうような瞬間を作るのが仕事。この作品には世の中の理不尽や、アートマーケティングにおける歪んだ構造など、僕なりの魂の叫びが込められています。アートはそういった重層的なものがないと、一時だけで廃れてしまうんです。この作品は僕の死後に効果を発揮し、何十年後に紐解かれて教科書に載るような作品であると自負しています」と続けました。
六本木ヒルズでは、プロジェクトの一環として本作展示に加えて期間限定の「お花カフェ」もオープン。「お花カレー(1,800円)」や「お花オムライス(1,900円)」、お花型に型抜きされた海苔を自分の手で自由にレイアウトできる「お花パスタ(1,800円)」など、ユニークなメニューが登場します。外観や内装もお花一色に。楽しみ方は「かわいらしいお花をグサッとフォークで刺して、"にひひ"と笑ってもらえれば」とのこと。
また、六本木ヒルズ内のラグジュアリーホテル、グランド ハイアット 東京では、氏の代表作品「お花」をモチーフにしたデザートを堪能できるアフタヌーンティー(平日:4,800円/土・日・祝日:5,800円 ※グラス シャンパン1杯付き)を2021年1月31日(日)まで提供。自宅でも楽しめる、オリジナルの風呂敷がついたセット(18,000円)も12月10日(木)より毎日数量限定で販売されます。ぜひ手に入れたい一品ですね。
村上氏は来年の1月3日(日)まで森美術館にて開催されている「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」にも出展中。《お花の親子》の写真を撮って #お花親子 #TAKASHIMURAKAMIPROJECT のハッシュタグをつけSNS投稿すれば、お花カフェでの特典だけなく、「STARS展」の入館料も一律で500円割引になるので、ぜひあわせてお楽しみください。
編集部 高橋
六本木ヒルズ「ROPPONGI HILLS TAKASHI MURAKAMI PROJECT」
会場:六本木ヒルズ 66プラザほか
会期:2020年11月26日(木)~2021年5月末頃までを予定
作家:村上隆
観覧料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.roppongihills.com/sp/takashimurakamiproject/