"鉄道"をテーマに、JR7社と私鉄各社の協力によって実現した貴重な資料展示のほか、「ゲーム」「食」「アニメーション」などさまざまなジャンルをフィーチャーした展覧会「特別展 天空ノ鉄道物語」が、2020年3月22日(日)まで、森アーツセンターギャラリー&スカイギャラリーにて開催されています。
(※新型コロナウイルス感染拡大を抑えるための大規模イベント二週間自粛要請を受け、2月29日(土)~3月13日(金)までの期間は臨時休館となります。詳細については、「特別展 天空ノ鉄道物語」公式ウェブサイトをご覧ください)
本展は、内周・外周、2つの展示コースに分かれています。
内周コースは、前回の東京オリンピックが開催された1964年から2020年までを結ぶ形で、鉄道にまつわるさまざまな歴史的資料が展示されています。入口脇に設置されたこちらのダッチングマシン(日付印字器)は、国鉄時代に駅で使用されていた貴重な物。さらに、入場時に渡される硬券を通すと来場日が印字されるという嬉しい仕掛けも用意されています。
その先で来場者を迎えるのは、1964年の上野駅中央改札を再現した改札口。当時の様子を写した大型の写真パネルも一緒に設置されており、かつての雰囲気をより一層リアルに感じることができます。来場者の中には、懐かしさから涙する人もいたそうです。
改札口を通ると、いよいよ資料展示エリアへ。まず目にとまるのは、たくさん飾られた列車のヘッドマーク(列車の行き先や愛称などが描かれているエンブレム)です。実際に走行していた当時を知らなくても、名称にちなんだ個性的なデザインを見比べたり、金属の色褪せた様子から長い歴史に思いを馳せたりと、眺めるだけでも十分に楽しむことができるでしょう。
数ある展示物の中でも一際大きな存在感を放っていたのが、寝台特急トワイライトエクスプレスの原寸大模型。その大きさも目を引きますが、車両内部の様子まで細部にわたって再現されている点にも注目です。残念ながら中に入ることはできませんが、乗車口や窓から中を覗くことができるので、ぜひ、列車の中とは思えないような豪華な空間を味わってみてください。
これらのほかにも、日本初の新幹線「0系新幹線」のアンテナ部分のみが展示されていたり、1964年から2020年までに発行されたすべての時刻表が並んでいたりと、本展でしか見られないであろう資料が目白押しとなっています。
続いては、外周コースの展示をご紹介。最初に現れるのは本展の大きな目玉の一つ、ビジュアルデザインスタジオ「WOW」による「天空駅」です。ホームの向こう側に大空が広がっていくさまは、まさに「天空駅」の名にふさわしい光景となっています。駅の隣に停まっているのは、150年前にイギリスから輸入された「一号機関車」と呼ばれる蒸気機関車の原寸大模型。こちらは国内に残されていた一枚の図面を基に、段ボールを用いて再現したそうです。
そして、日が暮れた後には「天空駅」のもう一つの顔が。プロジェクションマッピングによって満点の星空が映し出され、昼間とはガラッと雰囲気が変わった幻想的な空間が出現します。また、天井から少し目線を下に向ければ煌びやかな六本木の夜景が広がり、現実と空想の入り混じった不思議な世界を体験することができます。
こちらの「鉄道車両ドアインスタレーション」は、直接触って楽しむことができるインスタレーションです。スクリーン全体には私鉄各社の列車のドアが並んでいて、画面にタッチするとこのドアが開き、さまざまなパターンの映像が流れる仕組みになっています。また時折、列車が走りこんできたりドアのデザインが変わったりと、ユニークな演出がいくつも用意されています。
ほかにも、細田守監督による長編アニメーション映画『未来のミライ』に登場する「黒い新幹線」の座席の模型や、個性的な車両のデザインスケッチが展示されていたりと、鉄道ファンでなくても楽しめる展示が多いのも本展の魅力です。
広い会場を歩き回って疲れたら、佐藤オオキ氏が代表を務めるnendoがプロデュースしたコンセプトカフェ「GACHA GACHA COFFEE」で一息つくのもオススメ。ガチャガチャから出てきたコーヒー豆をセルフで挽き、淹れる、という新しいスタイルのコーヒーが楽しめます。ぜひ、こちらも立ち寄ってみてください。
一人でじっくりと貴重な資料を味わうもよし、友達や家族とワイワイ楽しむもよし。鉄道をテーマとしながらも、さまざまなジャンルの展示が集まったテーマパークのような展覧会。それぞれの楽しみ方を見つけに、訪れてみてはいかがでしょうか?
編集部 森
特別展 天空ノ鉄道物語
会期:2019年12月3日(火)~2020年3月22日(日)
※2月29日(土)~3月13日(金)まで臨時休館
会場:森アーツセンターギャラリー&スカイギャラリー
開館時間:10:00~20:00(但し、火曜日は17:00まで)
※入館は閉館の45分前まで
入場料(当日券):入館料(当日券):一般2,500円、高校生・大学生1,500円、4歳~中学生1,000円
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://tentetsuten.com/