東京ミッドタウン・デザインハブでは10月25日(金)まで、今年度グッドデザイン賞審査委員が選んだ、私的なお気に入り受賞デザインを紹介する「私の選んだ一品 -2019年度グッドデザイン賞審査委員セレクション」が開催されました。
日本を代表するデザイン賞として広く知られるグッドデザイン賞には、毎年さまざまな分野のデザインが数多く応募され、審査委員がそれぞれの知見に基づいて評価を行い、受賞作品を決定します。今年は国内外から4,772件の応募があり、その中から1,420件が受賞しました。
本展では、今年グッドデザイン賞の審査員を務めた92名が、お気に入りや気になったグッドデザイン受賞作=「一品」を展示。一品ごとに選出した委員のコメントも添えられているため、多角的な目線でデザインを楽しむことができました。
こちらは、着火具がなくてもマッチを擦るように手軽に使えるお香スティック。お香を擦るとそこに火が付き、心地良い香りが続きます。建築家の永山祐子氏が「お香にあるようでなかった。単純で無駄がないアイデアが素晴らしい」と一品に選びました。
デザイナーでありクリエイティブディレクターでもある服部滋樹氏は、公営薬草園を改修して生まれた蒸留所を選出。「閉鎖された薬草園と蒸留家との出会いがそのまま地域や社会が必要としているシンボルのような場に見える」と高く評価しました。
本年のグッドデザイン賞 審査委員長である柴田文江氏が選んだのは、小型軽量・防滴型のトランジスタメガホン。「プロダクトを新たにデザインする時、ほとんどのデザイナーはそれが長く使われてスタンダートになることを願っている。(中略)シンプルに目立たなく日常に馴染むものを作ればそうなるのか? このメガフォンを見るとそうではない気がする」と、本作が現代のユーザーにとって真に求められている機能と価値を提供していると語りました。
同賞の審査副委員長である齋藤精一氏は「ラジオ体操」をセレクト。「日本人であれば誰しもが音楽によって行動してしまう不思議な力があります。まさにロングライフの行動のデザインです」とコメントしています。
10月31日(木)から11月4日(月・振休)の5日間は、東京ミッドタウン各所で、2019年度グッドデザイン賞の受賞作を紹介する「GOOD DESIGN EXHIBITION 2019」が開催されました。2019年度グッドデザイン大賞は富士フイルムの「結核迅速診断キット」。写真の現像プロセスで用いる「銀増幅技術」を応用し、電源や装置を用いない簡単確実な検査を実現しました。
先日公開したブログ記事では、受賞発表会に登壇した柴田文江審査委員長と斎藤精一審査副委員長のコメントも紹介していますので、併せてご覧ください。
編集部 高橋
東京ミッドタウン・デザインハブ第82回企画展
私の選んだ一品 -2019年度グッドデザイン賞審査委員セレクション
会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
会期:2019年10月2日(水)~10月25日(金)※展覧会は終了しました
開館時間:11:00~19:00
観覧料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://designhub.jp/exhibitions/5321/