5月25日(木)、六本木の21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3にて、スイスのローザンヌ美術大学(ECAL)工業デザイン学科と多摩美術大学生産デザイン学科(プロダクトデザイン専攻、テキスタイルデザイン専攻)共同のイベントが行われました。
ECALは、最先端の美術・デザイン分野を学ぶために世界各国から学生が集まる世界有数の美術大学で、著名なデザイナーを多数輩出してきました。また、教育だけに留まらず、国内外の企業とコラボレーションして数多くのプロダクトを生み出してきたことでも知られています。
ギャラリー3では、世界各国の企業やデザイン関係者、教育・研究機関などと連携し、実験的なプログラムに取り組んでいくことを方針として掲げています。今回のプログラムは、その記念すべき第一回目として、大学だけでなく公的機関であるスイス大使館などの協力も得て開催されました。
館内に足を踏み入れてみると、ECALの学生が日本での研修中に取り組んだものづくりの成果として、「UGOKU: Work In Progress」展が開催されていました。重力を表現したモビール作品を中心に、日本で収集した素材を使った作品の展示です。どれも斬新なアイデアではありながら、日本ならではの素材を活かした作品に惹きつけられました。
また、ディスカッションも本イベントの柱で、日本とスイスの美大生が交流し、互いに刺激し合う関係性をつくることを目的として行われました。
ディスカッションのゲストスピーカーとして、ECALの卒業生である、プロダクトデザイナーの熊野亘さんと、デザインディレクターのダヴィッド・グレットリ(David Glaettli)さんが登壇。そこに、ECALにてプロダクト・デザインを教えるステファン(Stéphane Halmaï-Voisard)さんと、多摩美術大学プロダクトデザイン学科長の和田達也さんが加わりました。
学生同士のディスカッションの前に、ステファンさんがECALを、和田達也さんが多摩美術大学を、それぞれ紹介しました。
ECAL、多摩美術大学ともに、様々な企業とコラボレーションしたプロダクトを世に出しており、学内に留まらない活動に驚くばかりでした。
和田達也さんは、多摩美術大学からECALへの留学が決まった3名の学生を紹介。ECALへの留学は、デザインを学ぶ学生にとってなにより素晴らしい経験になると、学生を激励しました。
熊野亘さんは、海外での活動経験から再認識した日本の職人技の魅力について、『Japan Creative』のプロジェクトなど、自身が手掛けた実際の取り組みを例に紹介してくれました。
いよいよ学生同士のディスカッションのスタートです。ECAL、多摩美術大学の学生が登壇。
「自分のつくったものを誰かに使ってもらえることで、誰かの生活に関与できることがモチベーションになる。」
「自分のデザインをどうやって人に体験してもらえばよいのか。」
など、デザインの存在価値を自分の中だけで完結させず、社会との関わりのなかで発揮させる方法について語る学生たち。そこには、デザインと社会がより密接に結びついた未来を担っていく自信が伺えました。
プログラム終了後は、交流会に移りました。
今回のイベントは、日本とスイスの学生双方にとって、デザインについてより深く考える機会になったのではないでしょうか。
今後も様々な展示やイベントが開催される21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3の動向にも注目です。
ギャラリー3がオープンする際に行われた、プレスプレビューの様子はこちらからどうぞ。
http://6mirai.tokyo-midtown.com/blog/201704/07/1935.php
現在、ギャラリー3では、5月30日(火)〜6月4日(日)まで東レ株式会社主催の「ストレッチ!展 - TOREX Primeflex -」が開催されています。東レのテキスタイル開発に込められた技術とその世界観が体感できます。ぜひ足を運んでみてください。
また、21_21 DESIGN SIGHTでは、6月23日(金)から「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」を開催。本展では、既存の表現方法の垣根を超えた大胆な発想を実現するクリエイターたちによる「壮大なプロジェクト」を紹介します。こちらもどうぞお楽しみに。
編集部 西田