東北エリアの商品のパッケージデザイン案を募集し、優秀な作品の商品化を目指す「おいしい東北パッケージデザイン展」。2年目となる今年は、702点もの応募から選ばれた227点を一挙に展示中です。膨大な作品群は、鑑賞の楽しみ方もさまざま。その展示の一端をご紹介します。
パッケージデザインの募集対象となったのは「花泉産ひとめぼれ」「白石温麺食べくらべセット」「コメーユ」(食用こめ油)など東北地方の既存商品10点。商品の生産者から出された「デザイン要件」を満たした、たくさんのパッケージ案が会場に並びます。
数ある中でももっとも目についたのが、この「たこのやわらか煮」の現行パッケージ(648円)。現状では売り場でイマイチ目立たないのが悩みで、高級感もほしいけど値頃感も打ち出したい、というのが新デザインへの要望。
この「タコ」という、日本人になじみ深いモチーフが応募者の人気を呼んだようで、会場にはキャッチーなデザインがたくさん。イラスト、写真、果てはペーパークラフト的な立体まで、一面タコ尽くし!
「たこのやわらか煮」を題材にして優秀賞を獲得した作品がこちら。「たこのやわらか煮」のおいしさをもっともよく伝えている、既存商品にラベルを貼るだけでコストが低い、デザインデザインしていないのがむしろいいなど、審査委員から高評価。
もうひとつ、似たテーマの「いか三升漬」(300円)という商品も。こちらは八戸産のイカを三升ダレ(しょうゆ、麹、唐辛子を1升ずつ混ぜた合わせ調味料)に漬け込んだ、「おいしいご飯のおとも」。生産者からの要望では、ターゲットはイカの好きな老若男女とのこと。
「イカ」もなかなかの応募数で、擬人化キャラクターや「イカが?」というキャッチコピーで勝負したデザイナー多数。これくらいモチーフがはっきりしていたほうがデザインしやすいのでしょうね。
そのほか、お米のパッケージはスタイリッシュなものが多かったりと、227点の作品は対象商品ごとに傾向があり、もちろんデザイナーの個性もさまざまで見飽きません。
そして今回、全作品からグランプリに選ばれたのがこちら。題材は「盛岡冷麺」で、商品の特徴である「弾力」を訴求するべく生み出したキャラクター「弾力ちゃん」が描かれたパッケージ案です。アイコンとしてわかりやすくキャッチーで、会社のブランディングにもなるというのが選定理由。
ちなみにこれが題材となった商品。元が食品パッケージの王道ともいえるデザインだったからか、商品写真を印刷するパターンの提案が多く、グランプリ作品は「ダントツに審査委員の目を引いた」そうです。
会場内で流れていた映像には、昨年12月に仙台で行われた同展のフォーラムで基調講演を行ったコミュニティデザイナー・山崎亮さんの姿が(今回の展示は、昨年仙台で開催された「おいしい東北パッケージデザイン展2015」の巡回展)。
今年は東日本大震災発生から5年目ということもあり、六本木を代表するパブリックアート・宮島達男さんの「Counter Void」が3日間限定で再点灯されるなど、3.11関連のトピックが多数。この巡回展も4月17日(日)までの開催なので、関心のある方はぜひお早目に。
編集部 飯塚
information
「おいしい東北パッケージデザイン展2015 in Tokyo」
会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
会期:3月9日(水)~4月17日(日)
開館時間:11:00~19:00
入場料:無料
http://designhub.jp/exhibitions/1951/