六本木で働く・住む人に、街についてのインタビューをし、リレーで繋げる当企画。今回登場してくれたのは、六本木未来会議のデザイン&アートツアーでも訪れたことのあるアンティーク家具店「c:hord」を営む瓦吹重人さん。買い付けで世界各地を訪れることも多いという瓦吹さんの、独自の審美眼を通して見る六本木とは。
Q 01
六本木といえば_________。(一言で表すと?)
A
「面白い大人がいる場所」でしょうか。僕、ここで店をはじめて今年で10年になりますが、以前、渋谷でお店をやっていたときとは明らかに出会う人種が違うとつくづく思うんです。渋谷ではファッション関係の方がほとんどでしたが、六本木のお客さんは、それはそれは多種多様で個性的。
別荘を飾るのが趣味の社長さんが来たかと思えば、外国の方がふらりと立ち寄ってくれることもあって。高価なソファを買ってくれた外国人のお客さんに「今から担いで帰るね」と言われたときには、ここはヨーロッパ? と思いました(笑)。そういうのが、この街ならではですね。
Q 02
あなたがオススメする、六本木のベスト3は?(飲食店を含む、あらゆるお店でOK)
A
1位 東京ミッドタウン
建物が少しずつできあがっていく様子はもちろん、人が集まるようになる過程も全部見ているので、すごく親しみがありますね。よく行くのは「リベコホーム」というベルギーのリネンを扱うお店と、無印良品。リベコさんには椅子張り用の生地の仕入れなど仕事関連の用事で行くことがほとんどですが、お洒落な雑貨や小物などもたくさん扱っていておすすめです。無印では、Tシャツとか日用品を買うことが多いかな。あの雰囲気が、昔から好きなんです。
2位 やげんぼり 赤坂店
六本木エリアからは少し外れますが、赤坂見附にある、京都の料亭のような雰囲気のお店です。以前うちのスタッフに京都出身の子がいて、その子にすすめられて行って以来のお気に入り。おいしいご飯が食べたいときに、奥さんとランチに行きます。大きな玉子焼きに漬け物や小鉢が付いた「八坂」という定食が名物ですが、お魚などもおいしいんです。
3位 珉珉
青山一丁目と赤坂の間くらいにある中華料理店です。高校生の頃、ここの向かいのお店でアルバイトをしていて「いつも行列が絶えないこの店、何なんだろう?」なんて思っていました。大人になって行ってみたら、メニューは山ほどあるし何を食べてもおいしい。もしかしたら、人生で一番多く行っているお店かもしれません。店のおばちゃんが「酢とコショウで食べて!」と迫ってくる餃子が有名ですが、僕のイチオシは「ドラゴン炒飯」。ニンニクがたくさん入っていて、食べてしばらくは人に会えません(笑)。
Q 03
六本木にある、お気に入りの景色は?
A
あまり考えたことがなかったけれど......強いていえば、赤坂側から乃木坂トンネルを通り抜けたときに広がる、青山墓地の風景でしょうか。仕事で青山周辺のアパレルショップやヘアサロンを回ることが多いので、しょっちゅう通るんです。戻るときは青山通りからカッシーナの手前を右に入って、消防署の前を通って墓地を抜けるのがいつものパターン。他の道が渋滞しているときでも空いていることが多いのもいいですね。
Q 04
六本木のアフター5の過ごし方は?
A
基本的に、どんなに忙しくても19時には仕事を終わらせて家に帰るようにしているので、これは捏造するしかないかも(笑)。渋谷でやっていたお店にはバーが併設されていて、友人たちとそこで夜中まで飲んでまた仕事をして......みたいな感じでしたが、もともと外で飲むのがそれほど好きではないので。結婚してからは、奥さんと犬と一緒にのんびり過ごす時間を大事にしています。
Q 05
六本木ならではのリフレッシュ方法は?
A
飼っているミニチュアシュナウザーを檜町公園で遊ばせたり、店の近所を散歩したり。車で移動することが多いので、そういう時間がいいリフレッシュになっています。
Q 06
身の回りのお気に入りのデザインは?
A
今年の初めに買い付けてきたペルシアンラグ、中でもとくに、この「トライバルラグ」が気に入っています。
羊を放牧して、食べさせる草がなくなったら移動して、という暮らしをしている現地の山岳民族がテントの中に敷いているもので、商売用に売り買いされることが少なく、日本ではあまり流通していないんです。デザインは、いわゆるペルシャ絨毯よりも民族色が強くて、伝統的な「ハンドノット」という技術で織られています。
Q 07
六本木をもっと良い街にするには?
A
少し前までの六本木は、オフィス街+外食産業という印象でした。平日のランチタイムや夜にはわーっと人が溢れるけれど、それこそ土日は閑散としているような。でも、最近はマンションもどんどん建っているし、この街に暮らす人も増えてきたように感じます。
なので、ここに住んでいる人たちのためのお店がもっと充実していったらいいですね。そういうお店の存在が、街にやわらかさとか楽しさを与えてくれると思うんです。
Q 08
前回出演した方(呉祥維さん)とのつながりを教えてください。
A
1年くらい前、彼がうちの隣にある「点心 新葡苑」に店長として入ってきたのが知り合ったきっかけです。それまで食事に行くことはあっても特別なお付き合いはなかったんですが、持ち前のフレンドリーさで、うちのスタッフにもよく話しかけてくれるので自然と仲良くなりました。
お互いにマネージャー的な立場なので、最近はこのあたりをもっと盛り上げるにはどうしたらいいかな、なんて話もしています。季節がよくなったら僕が植物を仕入れて、店の前の道路に並べてみようか、とか。ちょっとしたアイデアを共有できる仲間みたいな関係ですね。
no.037
瓦吹重人さん
30代・アンティーク家具店経営
六本木歴10年