六本木で働く・住む人に、街についてのインタビューをし、リレーで繋げる当企画。今回登場してくれたのは、麻布十番で生まれ育ち、幼少期から六本木に親しんできたという呉祥維さん。移り変わる六本木を間近で見続けてきた呉さんの目に映る、この街の姿とは?
Q 01
六本木といえば_________。(一言で表すと?)
A
「落ち着く場所」ですね。麻布十番で生まれ育って、子どもの頃から六本木を見てきたので、切っても切れない関係というか。20代のほとんどは海外や別の街に住んでいましたが、それでもやっぱり地元なのでちょくちょく戻ってきていました。
子どもの頃は、六本木=カッコイイ大人の街という印象が強かったなあ。当時、WAVEとかに、おしゃれな人がいっぱいいて、これからみんなどこに行くんだろう? なんて想像していましたね。時代が変わったからなのか、あの頃のような独特の空気感こそ薄まってしまいましたが、それでも自分の真ん中にある大きな存在というのは変わりません。
Q 02
あなたがオススメする、六本木のベスト3は?(飲食店を含む、あらゆるお店でOK)
A
1位 国際文化会館
六本木ヒルズから麻布十番方面に進み、鳥居坂を上ったところにある国際文化会館です。建物のデザインもすてきだし庭園もあって、雰囲気がすごくいいんですよ。昔からずっと変わらずに居続けてくれているというのも、好きな理由のひとつ。このあたりは六本木とは思えないほど静かなので、落ち着いてゆったり過ごしたいときによく訪れています。
2位 馬麺(マーメン)
鳥居坂を下りきって道路を渡ったすぐ左手にあるラーメン屋さんです。昔かなりイケてたんだろうなっていう感じの親父さんがひとりでやっているんですが、本当に好きでやっている感じがすごく伝わってきて、なんか居心地がいいんですよね。メニューはオリジナリティがあって、イチオシは「辛醤麺(ラージャンメン)」という黒酢入りのラーメン。暑い季節なら「冷やし納豆麺」もオススメです。
3位 点心 新葡苑
僕が今、店長を任せてもらっているお店です(笑)。東京ミッドタウンの北側、檜町公園を抜けて赤坂へ向かう道の途中にあって、アクセスがいい場所ではないんですが、本場・台湾出身の点心師が、日本のいい食材を使ってつくった"本物"の料理が楽しめます。よろしければぜひ一度いらしてください!
Q 03
六本木にある、お気に入りの景色は?
撮影場所:国際文化会館 http://www.i-house.or.jp/
A
オススメのところでも紹介した、国際文化会館です。庭園越しに建物が見える感じが、すごくいいなって。もちろん講演会やシンポジウムといったイベントにも使われる場所ですが、実は宿泊施設やレストラン、カフェも併設されています。佇まいも料理もクラシカルだけど、すごくきちんとしていて、とにかく落ち着く。ちなみに僕、入籍した日の夜には妻とここに宿泊しました(※宿泊は、会員および会員紹介のゲストのみ)。それくらい好きな場所なんですよね。
Q 04
六本木のアフター5の過ごし方は?
A
仕事、ですね。だいたい朝の8時から、遅いときは23時とか24時まで働いているので。仕事が終わってから、他のお店はどんな感じかなと思ってチラッとのぞくことはありますけど、バーなんかに入ってしまうとずっといたくなっちゃうし......。でも今、自分の生きている価値は店にしかないと思っているので、全然苦じゃないですよ。まあ、夜遊びは高校で卒業しました! ということで(笑)。
Q 05
六本木ならではのリフレッシュ方法は?
A
仕事中、煮詰まったかなと感じたときは、店から歩いてすぐの場所にある「ガザーラカフェ」に行きます。ヨーロピアンな雰囲気なんですが気取ったところがないので、ちょっとコーヒーを飲んでひと息、というときにちょうどいいんですよね。あとは、ときどき行く「赤坂ヒルズ」という整骨院もオススメ。超痛いですけど(笑)。
Q 06
身の回りのお気に入りのデザインは?
A
木彫りの水牛です。僕の実家は新橋で中華料理店を営んでいて、そこの看板にずっと貼られていたもの。あるとき店が移転することになって、取り外して保管していたのを、知り合いのデザイナーさんがまた飾れるように額に入れてくれたんです。今はうちの店に飾っていますが、店の守り神であり、僕の守り神でもあると思っています。
もうひとつは、東京ミッドタウンができたばかりの頃に身内が買って、家で眠っていた器。色も形も独特の味わいがあってかわいいので、とても気に入っています。数が少ないので、お客様にお出しできないのが残念なんですが、たまに店が空いているとき常連さん用に使うことも。「あれ、この器いいね」と言って喜んでくれる方もいるので、うれしいですね。
Q 07
六本木をもっと良い街にするには?
A
六本木って昔からすごくグローバルだし、感度も高い街。ここ15~20年で開発が進んだことで、さらに街はきれいになったし便利にもなりました。ただ、その反面、僕の地元の商店街のように、元気が失われつつあるエリアもある気がして......。いつの時代も六本木は憧れられる場所であってほしいから、大手の商業施設さんにはよりよい街づくりをリードしてもらって、うちの店をはじめ個人店はもっと個性を磨いていかなければいけないと思っています。
そのひとつとして、まずは、うちの店の前のストリートを盛り上げたいですね。ここには、中国料理の「Wakiya」さんとか、うなぎの「勢きね」さん、沖縄懐石の「赤坂潭亭」さんといった飲食店のほか、アンティーク家具の「c:hord」さんなどなど、すてきなお店がたくさん。"裏六本木"じゃないですけど、みんなで何かできないか画策中なんです。
Q 08
前回出演した方(安田光徳さん)とのつながりを教えてください。
A
出会ったきっかけは、安田さんがお客さんとして店に来てくれたこと。お互い近所に住んでいるので、カフェなんかでも偶然会ったりすることが続いて。プライベートでお話させてもらったら、フィーリングが合うというか共感できる部分が多くて、自然と仲良くさせてもらうようになりました。彼はすごく熱い男で、きっと次世代を担うリーダーのひとり。僕も負けないように、といつも思っています。
no.036
呉祥維さん
30代・飲食店店長
六本木歴31年