六本木で働く・住む人に、街についてのインタビューをして、リレーで繋げる当企画。映画配給会社で働く櫻糀さんに続き登場するのは、チラシやポスターなど映画の販促ツールのデザインを手がける、森直哉さん。デザイナー目線で見た六本木の姿、そしてデザイナー的六本木の過ごし方とは?
Q 01
六本木といえば_________。(一言で表すと?)
A
六本木って「カオスだな」って思うんです。最近、引っ越してしまいましたが、以前はドンキの近くに職場があったんですよ。ドンキの裏手って、細い路地が入り組んでいたり、螺旋階段のある雑居ビルがあったり、かなりアンダーグラウンドな雰囲気。夜中にコンビニに行ったりすると、こんな風貌をしているからか、よく職務質問をされるんです。悪いことは何ひとつしていないのに、これまで10回以上は呼び止められましたね。顔を覚えた警察官もいたくらい(笑)。
そんな場所がありながら、東京ミッドタウンの周辺なんかはきれいですよね。交差点をどっちに行くかで、ぜんぜん違う光景が広がる。六本木は、いろいろな世界が入り混じって、混沌としているっていう印象があります。
Q 02
あなたがオススメする、六本木のベスト3は?(飲食店を含む、あらゆるお店でOK)
A
1位 ジャスミンタイレストラン 六本木店
ガチなランチ情報からいきますと、AXISの向かいにあるこのお店。ここのグリーンカレーが大好きで、週1ペースで通いたいくらいおすすめです。フジロックにも出店していて、いつも六本木で食べているのに苗場でも食べました。意外とガッツリ系なのもいいんですよ。
2位 ビルボードライブ東京
こないだ初めてライブを観て、ちょっと感動しちゃいました。よく地獄みたいなライブに行っていたので、「こんなに楽をして観ていいんだ」って。似たようなところはありますが、ここは格が違いますね。入り口からずっとスタッフの方がついてきてくれるんですもん。
3位 無国籍料理「トーフステーキ 一億」
外観も不思議なんですが、内装はもっと、なんていうか......神社みたいな......? つかみどころのない、不思議な雰囲気のお店です。お店の見た目はともかく、おすすめはマグロ生姜焼き丼定食。男がグッとくる、パンチのある味でおいしいです。
Q 03
六本木にある、お気に入りの景色は?
A
六本木って、日本一ハロウィンが盛り上がっている街だと思うんです。10月の終わりになると、海賊がコンビニで買い物していたり、ナースのコスプレした人がウロウロしていたり、みんなすごく自然に楽しんでいる。僕も仮装パーティーに参加して、「女王」の格好をしたことがあります。「なんで俺がこんな格好を......」と思いつつ、その格好で会場まで歩いていって。楽しかったですね(笑)。
Q 04
六本木のアフター5の過ごし方は?
A
アフター5って......午前5時のことですよね?(笑) 六本木ロアビルにある「六本木VIVI」のカプセルホテルで3時間くらい寝て、なんとか命をつないでいます。デザイナーですから、仕方ないです(笑)。
Q 05
六本木ならではのリフレッシュ方法は?
A
ふだんは、オフィスのベランダでタバコを吸うくらいですね。ここが六本木かっていうくらい静かな住宅街に会社が移転したので、周りに何もなくて。そのぶん、昼休みは繁華街をウロウロして、ランチを楽しんでいます。
Q 06
身の回りのお気に入りのデザインは?
A
最近、レコードプレイヤーを買ったんです。死ぬほど悩んだ結果、DJが使うようなのじゃなくて、昔ながらのものにしました。レコードをきれいにして、針の先をきれいにして、アームの重りを調節して針を落として......。愛情かけてセッティングしてあげると、ようやく音が鳴るんです。苦労したぶん、じっくり音楽を聴くようになりましたね。アーム周りの無骨で機械的なデザインにもグッときます。
Q 07
六本木をもっと良い街にするには?
A
六本木には、いわゆる「駅前」がないなって思うんですよね。普通、街って駅を中心に発展するものですけど、六本木はメインストリートをちょっと外れると閑散としていたり、地下鉄の駅も「ここがあの六本木ですか?」っていうくらい地味で、中心になる場所がないんです。たとえば、家に帰る前にちょっと駅前でコーヒーでも飲んで、ひと休みしていきたいと思うことってありますよね。でも六本木だと、なかなかそういう気分にはならなくて。
あえて中心を探せば六本木交差点になると思いますけど、今は白い壁面に六本木のロゴがあるだけですから、あそこで何かできたら面白い。あるいは、駅を出てパッとひらけるようなスペースがつくれたらいいですよね。そういう、「駅前」的なパブリックスペースがあれば、アングラなイメージも減るのかなって思います。
Q 08
前回出演した方(櫻糀さん)とのつながりを教えてください。
A
櫻糀さんが宣伝プロデューサーを務める映画のデザイン周りをやらせてもらっています。櫻糀さんは年齢がたぶん近いと思うので、打ち合わせでフランクにやりとりできるのがいいんです。お互いにすごく忙しいのでなかなか実現できていませんが、いつか一緒に飲みに行きたいですね。
no.015
森 直哉さん
30代・デザイナー
六本木歴8年