先週の日曜日、上野の不忍池にある上野恩賜公園野外ステージに行ってきました。ここで開催されていたのが、「読書のフェス」。
六本木未来会議でインタビューさせていただいた、江口宏志さん幅允孝さんと、オツタヤミカさんが委員をされている、新しい本の読み方を提案するイベントです。今回で2回目の開催。
半屋外的なステージは、5月の風が吹き込む心地よい空間。大宮エリーさんの朗読。
みんなで声を出して本を読むってことだったのですが、実際は作家さんがステージで朗読をしているのをみんなで聴いているというスタイルです。時折、プチオーケストラなど、朗読に加えて、音楽が流れることもあります。
午後1時からのイベントでしたが、朗読を聴きながら、ドリンクを飲んだり、ぼーっとしたり、聴き入ったり、観客のみなさんはそれぞれ、自由な愉しみ方で時間を過ごしていました。
「実は」魔女の宅急便の作者である角野栄子さん。作家さんご本人の朗読は、言霊が宿る気がします。
本の内容に意識を寄せないと、まるで、朗読がBGMのような感じです。そう、まるで屋外でラジオを聴いているような感覚のよう。または、授業を屋外で受ける、「青空教室」みたいな感じでしょうか。
フェスも終盤。映像作家・音楽家の高木正勝さんの登場です。第1回目に引き続き出演するのは高木さんだけ、とのことでしたが、私は今回初めて参加したので、映像作家であり、音楽家である高木さんが朗読を?とのことで、興味が募ります。
最初は朗読をしながら、簡単な旋律で音楽を即興で奏でていました。ピアノです。朗読と演奏の同時進行は少したどたどたどしい感じでしたが、それが周辺の車や空中のヘリコプターの音などと相まって、自然な感じがして、よかったです。
その後、冒頭で朗読をされた高橋久美子さんが特別参加。高橋さんの朗読と高木さんの音楽という組み合わせ。
ちなみに出演者一人あたり30分の持ち時間ですすんでいったのですが、高木さんの後半でさらにスペシャルなことが起こります。
会場で観客としてきていたのは坂本美雨さん。ということでオンステージ。歌と音楽は坂本さんと高木さん、では朗読は?となって、一般の観客の中から立候補してもらって、こちらも飛び入り参加。3人のこの日だけのユニットが結成されました。
もともと、物語はことばとして音だけが存在していて、その後文字ができて、本になっていき、読書自体は個人的な行為となっていましたが、それを直接肉声で、耳からとりいれていく行為というのは、小さい頃、寝る前にお母さんに聴かせてもらった読み聞かせのような、そしてもっとさかのぼるとすごく原始的な行為なのだな、と改めて気づいた夜でした。
六本木未来会議でも、幅さんが提案していた「読フェス」。六本木で開催するとしたら、どんな形になるのか。想像してみると、わくわくしてきますね。
編集部井上