PROJECT REPORT インタビューで得たクリエイターのアイデアを、リアルな場で実現する「アイデア実現プロジェクト」

六本木未来会議 アイデア実現プロジェクト#10「六本木未来会議BOOKキャラバン by 服部滋樹」

update_2016.4.20 / photo_chikako murabayashi / text_yosuke iizuka

移動式本棚がつないで紡ぐ、未来を生き抜くキーワード。

「森の学校のときにつくった黒板と本棚が好評だった? それなら、六本木のエリア外にももっと出て行ったらいいんじゃない?」。今年2月、服部滋樹さんクリエイターインタビューで話してくれたこのアイデアが、アイデア実現プロジェクト第10弾「六本木未来会議BOOKキャラバン by 服部滋樹」として動きはじめました。上のデザイン画は、服部さんによる「移動式本棚」のスケッチ。これからどのように完成し、どう活用していくのか? そのお話をうかがいました。

「未来」はみんなに関係があること。だからみんなで考える。

「『六本木未来会議』っていうけど、未来のことだったら誰にでも関係があることですよね。だから、みんなで考えたほうがいい。今まで登場したクリエイターの考えやおすすめ本から未来を考えることもできるだろうし、そのきっかけを六本木発信ではじめて、飛び火させていけるといいんじゃないかな。渋谷に行って『六本木未来会議です』って言っていたら、それだけで、なんかいいでしょう?」

そもそも今回の「移動式本棚」のアイデアの元になったのは、屋外教室「森の学校」で使用した本棚と黒板を、服部さん率いるクリエイティブ集団「graf」が製作したこと。先生のひとりとして授業を受け持つことになった服部さんが「数十メートルの幅の黒板をつくったら面白い」と話したことがきっかけでした。

graf製作の本棚は2014年2015年の「森の学校」のほか、昨年9月の「六本木ブックフェス」でも使用。当初は、この本棚のデザインに合わせて設計を進めていたそう。

「最初は森の学校の本棚と並べて使う想定だったからウッドのフレームにしていたんだけど、移動式となると軽く持ち出せるほうがいい。スチールパイプとウッドの棚板で、一輪車でいこうと思っています。人が集うことを想定するとスツールとかベンチもあったほうがいいね。車輪を付けた黒板を連結させて、二両編成で走っても面白い(笑)。あとは『六本木未来会議』のフラッグもつけたいね。あったほうがかわいいでしょう?」

コミュニケーションの種を、移動式本棚が街中に蒔いていく。

「二宮金次郎みたいに、本を背負って移動するのもいいかも」と、アイデアをその場でどんどんスケッチしていく服部さん。ページ最初のデザイン画も、その場で描いてくれたもの。発想はとどまるところを知らず、こんな活用のアイデアも話してくれました。

「本を補充する場所がどこかにあって、F1のピットインみたいに、街を巡っては補充したりね(笑)。きっと、最初は六本木のエリア内を移動して、そこに集まった人が1冊手に取っては、ベンチで読んだまた戻したりするんでしょうね。本って、読んでいる間はパーソナルなものだけど、読み終わって本棚に戻した瞬間、コミュニケーションが生まれるんですよ。人と人、過去と未来をつなぐ要素が本にはある。そういうきっかけが街にたくさん散らばっていたら、めっちゃ面白いですよね」

たとえば、本に付けたポケットにメモを入れて戻したり、気になったページに透明の付箋を貼って感想を直接書いたり。それが繰り返されることでコミュニケーションが生まれ、アーカイブされたり、レイヤーになって、また新しい何かを生み出していく。人と人、過去と未来をつなぐとは、そういうこと。

「本は物理的な、古典的なメディアではあるけど、扱い方によっては新しいメディアになっていくし、人がつながっていくきっかけになっていくなっていう気がしているんです。移動式本棚があれば、どこにでもコミュニケーションの種を蒔くことができますよね。人力ならなおさら、建物の館内でもどこへでも行ける。そこで、みんなで未来のことを考えることができたらいいなって」

「どこの街でやってもいいけれど、六本木が未来の暮らしを模索する場所だよっていうふうになったらいい。ここには、新しい未来像を描こうとしている人が多いと思うんです。たとえばサントリー美術館は古い作品をセレクトしているけれど、編集者の松岡正剛さんの言葉を借りれば『歴史は未来をつくるためにある』だし、その一方で21_21 DESIGN SIGHTっていう未来志向型のデザイン施設もある。こんな場所ってそうそうないから、『未来』っていう言葉が、すごくフィットすると思うんです」

毎月第3水曜日更新!六本木をデザイン&アートで変えていくヒントがたくさんつまっています。

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