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2018年05月18日

【展覧会レポート】六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」

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現在、森美術館では六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」が開催中です。昨今多くの日本の建築家が世界で活躍し高い評価を得ていますが、そんな彼らを産み出した原点や、古代から脈々と受け継がれてきた日本の建築の技術や心が、圧倒的な量の実物、模型、写真や資料と共に解き明かされています。

この展覧会では、日本の建築を読み解く鍵を9章に章立てし、展示物や説明のレイアウトにも見る人にインパクトを与える工夫を凝らして紹介しています。その9章とは01「可能性としての木造」、02「超越する美学」、03「安らかなる屋根」、04「建築としての工芸」、05「連なる空間」、06「開かれた折衷」、07「集まって生きるかたち」、08「発見された日本」、09「共生する自然」の9つです。

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入ってすぐの場所に聳え立つのは、エッシャーの絵が現実になったような印象を受ける、高さ6メートルの木組の壁。これは北川原温さんによる「ミラノ国際博覧会2015 日本館 木組インフィニティ」です。最初のセクションは「可能性としての木造」と題されて、古代からの建造物の模型や写真と、それらが発展して生まれた現代建築の模型や写真、設計図などが展示されています。

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世界一の自立鉄塔である東京スカイツリーも、何百年もの月日の中で何度も地震にあっているにも関わらず一度も倒れたことがない、地震に強い五重塔の構造を参考にして作られました。その構造が、模型や写真、パネルで表示されています。

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「建築としての工芸」というセクションでは、千利休が作ったと伝えられる茶室、国宝「待庵」が原寸で再現されています。ものつくり大学により製作されたこの茶室は、屋根、壁、窓、にじり口(出入口)、床の間など細部にわたって精巧に再現されており、中に入るとその狭い空間に凝縮された美意識に驚かされます。

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モダニズムの名作家具で構成されたブックラウンジでは、実際に座って、この展覧会をより深く知ることができる書籍を閲覧することができます。写真は、丹下健三研究室による「香川県庁舎間仕切り棚」。展示された書籍もインテリアの一部となり、座ってリラックスができると同時に、ポップな色と形が心を楽しくさせてくれます。

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一際目を引くのは「丹下健三自邸」(現存せず)の、1/3スケールの巨大模型。丹下健三は、日本人建築家として最も早く日本国外で活躍し、認知された一人です。この模型は現代の宮大工がその技術の粋をこらし、最高の木材を使用して製作したものなのだとか。

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齋藤精一+ライゾマティクス・アーキテクチャーによる「パワー・オブ・スケール」は、最新技術のレーザーファイバーと映像を駆使したインスタレーションです。古建築から現代建築まで、様々な日本の建築を印象的な3D映像で見ることができました。

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「発見された日本」のセクションでは、来日した海外の建築家の作品や、海外に建設され国際的な評価を得た日本の建築を紹介しています。写真は、フランク・ロイド・ライトの建築スケッチと、彼が影響を受けたかもしれない浮世絵とを並べ、比較したものです。

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本展を監修した建築家・建築史家で東京大学名誉教授の藤森照信さんは、「とても充実した内容の展示です。建築には理論があり、説明するのは簡単なことではないですが、見て受ける印象に難しい理論などは必要ないです。ぜひ楽しんでいただきたいと思います」と笑顔でコメント。

さらに本展を共同企画した、建築史家で大阪市立大学大学院工学研究科准教授の倉方俊輔さんは、「江戸時代の終わりまで、日本に"建築家"という職業の人はいませんでした。それがわずか150年ほどで、ゼロから世界に名だたる建築家を輩出するまでになったのです。そこで、日本にはそれを可能にする遺伝子があったからではないか、という仮定を基にこの展覧会を企画しました」と、本展のきっかけを話しました。

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安藤忠雄 「水の教会(星野リゾート トマム)」 1988年 北海道
画像提供:星野リゾート トマム

日本人の中に遺伝子として受け継がれてきた自然を愛する心や、日本の建築の作り出す空間や工芸品に見られる独特の美意識。それが未来につながり、世界に広がっていくことが感じられる、見どころいっぱいの展覧会でした。



編集部 石川





information
六本ヒルズ・森美術館15周年記念展
建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの
会場:森美術館
会期:2018年4月25日(水)~9月17日(月・祝)
開館時間:10:00~22:00 (最終入館21:30)
※火曜日のみ17:00まで(最終入館16:30)
※「六本木アートナイト2018」開催に伴い、5月26日(土)は翌朝6:00まで開館延長(最終入館5:30)
観覧料:一般1,800円、大学・高校生1,200円、子供(4歳~中学生)600円、シニア(65歳以上)1,500円
※5月18日(金)「国際博物館の日」のみ一般1,700円(対象は一般のみ)
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/japaninarchitecture/index.html

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