先日、国立新美術館で7月3日(水)より開催されている「アンドレアス・グルスキー」展のプレスプレビューにおじゃましました。
アンドレアス・グルスキーはドイツの現代写真を代表する写真家の一人。これまで何度か日本でも展覧会に作品を出していたことがあるそうですが、個展という形では今回がはじめてのこと。国立新美術館というかなり広い展示空間での写真展ということで、かなり楽しみにしていました。
なんといっても、ポスターになっているインパクト満点の作品<カミオカンデ>。ぱっと見たところ金色が目に入ってくるので、勝手に中近東やその周辺の外国で撮影されたものというイメージを抱いてしまうのですが、これは岐阜県飛騨市神岡鉱山内の地下1000mにあるニュートリノ検出装置のスーパーカミオカンデで撮影されたもの。
《カミオカンデ》
2007年 タイプCプリント
228.2×367.2×6.2cm
© ANDREAS GURSKY / JASPAR, 2013
Courtesy SPRÜTH MAGERS BERLIN LONDON
写真ひとつひとつもかなり見ごたえがあり、どの作品の前でも見入ってしまうのですが、いくつか気になるポイントがあったので、ご紹介します。
①作家自身がどの写真をどの場所に設置するかを決めている
今回、展示空間はグルスキー氏がキュレーションを手掛けています。どの大きさの写真をどのように配置するのか。写真も年代順ではなく、独自の方法で構成されています。撮影者である作家が自ら配置までを決定しているのはとても面白いと思います。また、日本での個展なので、日本でみせるべき写真を約65点、グルスキー氏自身が選定しています。
②グルスキー氏が写真にあった音楽を選曲している
これは展覧会入口でオーディオガイドを借りると(500円)、展示をしている作品に合う曲が特別収録されています。写真とあわせてチェックするとより一層作品が楽しめますね。オーディオガイドは借りたり借りなかったり、ですが、作品の背景を知ったりするには、とてもよいツールです。
③圧倒的にクリアな写真作品
前知識がなく写真を見てすごく驚いたのですが、すべての写真の細部までかなりクリアに見えます。視力が急に良くなったような錯覚に陥る感じなのです。写真であるのに、絵画のような写真。デジタル技術を駆使して風景の細部を何枚もの写真に収め、それをつなぎあわせることによってスーパー解像度ともいえる鮮明さを実現しているのです。
《99セント》
1999年 タイプCプリント
207×325×6.2cm
© ANDREAS GURSKY / JASPAR, 2013 Courtesy SPRÜTH MAGERS BERLIN LONDON
あまり写真に詳しくはないけれど、何かがとにかく凄い!と本能的に反応してしまう作品群。猛暑の中、夏バテになりそう、という方はぜひひんやりと涼がとれる美術館空間に足を運んでみてはいかがでしょうか。
プレスプレビュー当日は展覧会の記者発表会も開催されていました。写真がグルスキー氏。今夏も六本木は様々なアートで埋め尽くされます。これからも積極的にレポートしていきますのでぜひ遊びにきてください。
編集部 井上
【展覧会名】
アンドレアス・グルスキー展
【会期】
2013年7月3日(水)~9月16日(月・祝)
毎週火曜日休館
【開館時間】
10:00~18:00 金曜日は20:00まで
入場は閉館の30分前まで。
【会場】
国立新美術館 企画展示室1E
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
【主催】
国立新美術館、読売新聞社、TBS、TOKYO FM
【後援】
ドイツ連邦共和国大使館、 東京ドイツ文化センター、 InterFM
【協賛】
大日本印刷
【特別協力】
ぴあ
【協力】
全日本空輸、Sprüth Magers Berlin London
【観覧料】
1500円(税込)
【展覧会ホームページ】
http://gursky.jp