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INTERVIEW
73
野田秀樹演出家 Hideki Noda / Director
Hideki Noda / Director

『オリンピック後まで残る「遺産(レガシー)」をつくるために』【後編】

突然やってきて夢のように消える「文化サーカス」を東京から。

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  • NO73 野田秀樹 『オリンピック後まで残る「遺産(レガシー)」をつくるために』【後編】
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update_2016.11.09 photo_tsukao / text_kentaro inoue

「NODA・MAP」を率い、数々の話題作を発表、国内外で活躍する劇作家であり演出家・役者の野田秀樹さん。「六本木アートナイト2016」に合わせて、多種多様なアーティストが出会い"文化混流"する新たなムーブメント「東京キャラバン in 六本木」を同時開催しました。東京キャラバンのリハーサル真っ只中の野田さんが語る未来の街、そして未来の文化のつくり方とは?

前編はこちら

嫌いなところばかりだけど一番好きな街、東京。

 僕、長崎で生まれて4歳で東京に出てきて、それから55年ずっと東京にいるから、文句を言いながらも、この街が好きなんでしょうね。いいところ? うーん、嫌いなところはいっぱい浮かぶけど......。たとえば、ファーストフードの店の前を通ったときの匂い。みんなタバコはあんなに嫌っているのに、なんでファーストフードの匂いは嫌わないの?

 街で大音量で音楽をかけられるのも嫌だし、「◯◯セール」なんて書いてあるノボリも嫌い。あれ台無しにするじゃない、街並みを。東京オリンピックにしてもなんにしても、すぐノボリ。でも、外国人はノボリがブワーって並んでいるのを見ると喜ぶんだよね。あとは、居酒屋の提灯も(笑)。だから一概に悪いとも言えないんだよなあ。

 東京は好きだし面白い、それは自分が育ったから。結局、当たり前なんだけども、根性が日本人なんです。もちろんヨーロッパの街もすごくすてきだし、ロンドンやパリにしても、よくこれだけ建物を守れるなっていつも感心します。だって、新しいものをつくろうとしたら、色合いから何から全部、寄ってたかって周囲が文句を言うんだから、すごいですよね。じゃあ何も新しいものをつくらないほうがいいのかっていうと、そうとも言えないから、また難しい。

かつて六本木は、新劇の中心だった。

 六本木ヒルズができてからはあんまり行かなくなったけど、六本木には俳優座があって、かつて新劇の中心のひとつだったんです。そういえば学生のとき、俳優座劇場の舞台に1日だけ立ったことがあるのを思い出しました。ひどいアングラ劇団の公演で、なぜか街宣車が来ちゃって、企画したわけでもないのに一番先頭に立たされて、街宣車からかんしゃく玉を投げつけられた(笑)。

俳優座劇場

1954年、戦災で消失した新劇の拠点「築地小劇場」に代わる劇場を、という演劇人の要望を受け、六本木交差点にオープン。総席数は300席で、自主プロデュース講演のほか講演会などにも使われている。

 まだ無名の風間杜夫さんや大竹まことさんが出ている好きな劇団があって、その公演を手伝ったこともありました。雪を降らせる仕事だったんだけど、やったことがないから下手くそで、演出家からすごい怒鳴られて。他にも、今はなき自由劇場で、橋爪功さんと二人芝居をやったこともあったし、実は六本木にはいろいろ思い出がありますね。

 若いときには勘三郎なんかと飲み歩いたりもしたし、北京ダックを初めて食べたのも六本木通り沿いの中国飯店。あとは、なんといってもアマンド、あの交差点のあたりが僕にとっては永遠の六本木です。

六本木のほかの場所でも、転々とキャラバンを。

 やっぱり六本木って、みんなが圧倒的に「現象の最先端」であると思っている街だし、外国人の友だちに聞いても名前を知っている。文化的な意味においても、とてもいいポジショニングの街だと思うんです。

 その一角を使って、今回キャラバンができるのは楽しいし、(福島県の)相馬市のあとが六本木っていうのもギャップがあって面白い。やってみて反応がよければ、来年以降いろんなところを転々とできたら。それこそ六本木のほかの場所、東京ミッドタウンの芝生なんかでもやってみたいですね。ま、貸してくれたらの話だけれども。

野田秀樹(演出家)

アートナイトに来る人は、日本代表が好き!?

 これは偏見かもしれないけど、アートナイトに来る人って、サッカーで日本が勝ったり、ハロウィンのときとかに渋谷に行ったり、騒いだりしてるやつらと同じじゃないかなって。そういう人たちの前ではあんまりやったことがないから、奇妙にも楽しみなんです(笑)。

 そして、そんなことを言いつつ実は僕も、2002年のワールドカップのときには、事務所に内緒で翌日のロンドン行きの予定を航空会社に電話して延ばして、埼玉スタジアムまで日本代表の初戦のベルギー戦を観に行ったんです。日比野克彦さんから「青い服着てないと、絶対浮くよ」って言われだけど、「青い服持ってたって絶対着ないよ」なんて普通の服で行って浮きました。だけど点が入った瞬間、立ち上がって、知らない人とやったー!って抱き合った(笑)。あの内側から湧き出るナショナリズムは、恥ずかしいけれどすごかった。

面白い人間がつくる空間はやっぱり面白い。

 最終的には、場所や空間そのものよりも、人の問題なんじゃないかな。だって、面白くない人間は面白くない空間しかつくれないから。面白さとは、ただ笑えることを言えばいいっていうんじゃなくて、あんまりしゃべらなくても面白い人っているでしょう? 無口で気味悪がらせるだけでもいい。そういう人がつくるものはやっぱり面白い。

 みんなに文化に興味を持ってもらうにはどうしたらいいか? それは教育の問題なんじゃないですか? きっとキャラバンみたいなものがもっと増えて、クオリティが上がっていけば、簡単にそうなると思いますよ。でも、本気でやろうとしたら、文化にはめちゃくちゃお金がかかる。そういうものにちゃんと投資するんだという気持ちがないとできないでしょう。

 最近オリンピックの話になると、なんでそんなに金を使ってるんだ! ってネガティブに言われがちですが、問題は金額の大小だけじゃなくて、それに見合うだけのものをつくれていないこと。そういうときにお金をむしり合うんじゃなくて、ふだんから文化で稼がないといけないですよね、僕らは。

役に立つものだけに価値を求めるな。

 街にしても、言葉にしても、今の時代は、役に立つものにだけ価値を求める方向に戻ってしまっている気がします。1960年代とか70年代には、そういう風潮を壊すためにナンセンス、いわゆる不条理な詩が登場しましたよね。当時は、詩の雑誌なんてものが若い人に売れてたわけだから。それが今、役に立たない言葉とか、お金になりにくい言葉には、みんな価値を求めないじゃないですか?

 かといって言葉は、伝わらないのに使っても仕方ない。昔は、舞台で不条理な詩を使っても伝わりやすかったし、記号みたいなものを面白がって解釈しようとしていた。そういう意味では、演劇は今、言葉の最後の牙城になってはいるんですね。

 だから、子どもと同じくらいの気持ちで、言葉を評価するといいのかもね。子どもなんて一番、ナンセンスな言葉大好きじゃないですか? 「うんち」って言うだけで、ずっと笑ってるわけだから。そういうものが大事な気がするな。だから、うんちを否定しないこと(笑)。

前編はこちら

取材を終えて......
今回のメイン写真は、六本木ヒルズアリーナで行われた「東京キャラバン in 六本木」のリハーサル当日に。名和晃平さんの彫刻「White Deer」や「Ether(エーテル)」、そして前回インタビューに登場してくれたプラントハンター・西畠清順さんが手がけた森をバックに演出する野田さんを撮影しました。(editor_kentaro inoue)

野田秀樹

野田秀樹 / 演出家
野田秀樹 / 演出家

1955年、長崎県生まれ。劇作家・演出家・役者。東京芸術劇場芸術監督、多摩美術大学教授。東京大学在学中に「劇団 夢の遊眠社」を結成し、数々の名作を生み出す。92年、劇団解散後、ロンドンに留学。帰国後の93年に演劇企画製作会社「NODA・MAP」を設立。『キル』『パンドラの鐘』『オイル』『THE BEE』『パイパー』『ザ・キャラクター』『南へ』『エッグ』など次々と話題作を発表。故 中村勘三郎丈と組んで歌舞伎『野田版 研辰の討たれ』『野田版 鼠小僧』『野田版 愛陀姫』の脚本・演出を手がけるほか、海外の演劇人と積極的に作品を創作するなど、演劇界の旗手として国内外を問わず、精力的な活動を展開。09年10月、名誉大英勲章OBE受勲。09年度朝日賞受賞。11年6月、紫綬褒章受章。

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