東京ミッドタウン・デザインハブでは8月7日(木)まで、第115回企画展「日本のグラフィックデザイン2025」が開催されています。
アジア最大級のデザイン団体「日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)」では、所属会員による1年間の優れた仕事や作品をまとめた年鑑『Graphic Design in Japan』を毎年発行。2025年版では、約3,000人にも及ぶ全国の会員から出品された作品のうち、562作品を入選作品として掲載しました。
本展では、その中から約300点を展示。ブックデザイン、パッケージ、ポスター、ロゴ、デジタルメディア、ジェネラルグラフィック、映像、環境・空間、新聞広告など、多様なデザインが並びます。
JAGDAの初代会長・亀倉雄策氏の名を冠した「最も優れたグラフィックデザイン」に与えられる第27回亀倉雄策賞に選ばれた、林規章氏の女子美術大学大学院/3年次編入/短大専攻科 学生募集ポスターも掲出。学校のイニシャル「J」をモチーフに、美大生がデッサンなど造形研究のために向き合う人体のプロポーション等が意識されているそうです。
カテゴリー別に、「特に優れたグラフィックデザイン」へ授与されるJAGDA賞2025を受賞した10作品も展示中。実物だけでなく、木住野彰悟氏がデザインした「平手幼稚園」のサイン計画といった空間デザインなど、会場に持ち込めない作品は映像で紹介されています。
JAGDA賞の一作である山本晃士ロバート氏の算数教科書は、「複合」というカテゴリーで受賞したアイデア満載の作品。2024年度より全国の小学校で使用されている算数の教科書の表紙デザインおよび、その表紙に付属するQRコードから閲覧可能な連動動画を制作しました。親しみやすい立体図形のキャラクターは算数ならではでしょう。
39歳以下の会員の中から選ばれるJAGDA新人賞を受賞したサリーン・チェン、城﨑哲郎、松田洋和の3氏が手掛けた作品も会場の各所に点在。複数の作品を出品している方もいるので、その特徴を見比べてみてください。
ほかにも、選考委員が「これは!」と興味を持った1作であることを示す、「THIS ONE!」と書かれた作品も。西本未祐氏の名刺は、手書きのような文字デザインと真っ白な紙が非常にシンプル。名刺の使用が想定されるかしこまった場面に反し、均整が取れていないデザインが、逆に心に残るインパクトを生むのでしょう。
会場の奥の壁には、新聞広告も展示しています。身近な商品の宣伝ポスターも多く、デザインとの距離がグッと近づくかもしれません。なかでも、玉置太一氏が父の日に合わせて制作したユニクロのキャンペーン広告は、SNSでも大きな話題となり、記憶に新しい方も多いでしょう。3つの国民的漫画『ちびまる子ちゃん』『天才バカボン』『あたしンち』から3人のお父さんが登場しました。
えぐちりか氏が手掛けた、2023年度「Metro Ad Creative Award」の作品募集をPRする中吊り広告も反響は大きかったようです。その色彩の鮮やかさだけでなく、半分に破かれた斬新なデザインに驚かされた方も多いはず。東京メトロの9線で掲出されていた作品が、本展でも紹介されています。
なお、ギンザ・グラフィック・ギャラリーでも、特別展「2025 JAGDA 亀倉雄策賞・新人賞展」を8月27日(水)まで同時開催中。こちらも入場無料のため、本展と合わせて足を運んでみてはいかがでしょうか。
編集部 福島
「日本のグラフィックデザイン2025」
会期:2025年6月27日(金)~8月7日(木)
会場:東京ミッドタウン・デザインハブ(ミッドタウン・タワー5F)
開館時間:11:00~19:00
会期中無休・入場無料
主催:東京ミッドタウン・デザインハブ(構成機関:公益財団法人日本デザイン振興会、公益社団法人日本グラフィックデザイン協会、多摩美術大学TUB)
企画・運営:公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)
メインヴィジュアル:岡﨑真理子
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.designhub.jp/exhibitions/gdj2025