東京シティビューのスカイギャラリー2では、2025年2月16日(日)まで「YUIMA NAKAZATO展―砂漠が語る宇宙と巨大ナマズの物語は衣服に宿るか―」が開催中です。本展は、ファッションデザイナーの中里唯馬氏が手掛けるファッションブランドYUIMA NAKAZATOの15周年を記念したもので、国内初の単独展覧会です。
2024年の「UTAKATA」「UNVEIL」と、2025年1月に発表されたばかりの最新コレクション「FADE」を中心に、衣装や制作過程、スケッチ、ショーの映像などが展開されています。
「UTAKATA」は、2024年2月にスイスで公開されたオペラ「イドメネオ」と公式に連動したコレクションです。装飾にあえて壊れやすい陶器、ガラス、プラチナを用い、儚い甲冑を表現。「有害な男らしさ(toxic masculinity)」を問いただす、実に現代的なクチュールとなっています。
「UNVEIL」は、「イドメネオ」で得たインスピレーションをさらに突き詰め、纏うことが裸以上に無防備さをさらけ出す行為になる衣服を追求。現代の鎧ともいえるテーラードスーツの合理的な部分をはぎ取り、装飾性だけでデザインしています。
そして、最新の「FADE」では、「機能偏重の衣服を"纏う"」体験ではなく、衣服に潜む物語を"読む"体験を創出すること」をコンセプトに置いています。
ショーにて、砂山の中から登場するという衝撃的な演出で話題の衣服も展示されています。細かく観察すると、表面に砂がついているのがわかります。
昨秋、エジプトを旅したという中里氏。本展では、訪れた砂漠で見つけたものも展示されており、インスピレーションの源に触れることができます。
壁一面を覆いつくすような大量のスケッチは壮観です。ファッションやデザインに携わる人はたまらないことでしょう。
中里氏がケニアから持ち帰った服も展示されています。ケニアでは世界中で捨てられた衣服が集まっていると聞いた中里氏は、実際に訪れた際にゴミと化した衣服の量に圧倒されたそうです。
そして、従来のリサイクルでは再生が困難とされる素材を、セイコーエプソン株式会社のテクノロジーを使って新たなテキスタイル「ドライファイバーテクノロジー(DFT)」として生まれ変わらせました。本展では、アップサイクルの過程や、DFTを活用したブーツやシューズの展示・販売を行っています。
さらに、スカイギャラリー1では、1月22日(水)から「天空を纏う TOKYO CITY VIEW × YUIMA NAKAZATO」を開催中。中里氏がデザインした3着のドレスが東京タワーをバックに登場。フィギュアスケート選手の羽生結弦氏が写真集で着用したもので、背景の写真は写真家・映画監督として活躍する蜷川実花氏が撮影した作品です。
渋谷・新宿方面の眺望が見えるエリア、スカイギャラリー3では、リアル・ファッション・ドキュメンタリー映画「燃えるドレスを紡いで」のトレーラー映像が放映されています。本展と同じく、会期は2月16日(日)までなので、こちらも是非チェックを。
編集部 齊藤
「YUIMA NAKAZATO展―砂漠が語る宇宙と巨大ナマズの物語は衣服に宿るか―」
会期:2025年2月3日(月)〜2025年2月16日(日)
会場:六本木ヒルズ森タワー52F 東京シティビュー・スカイギャラリー2
開館時間:10:00〜20:00(最終入館19:30)
主催:株式会社 YUIMA NAKAZATO
協賛:セイコーエプソン株式会社
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、在日スイス大使館
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://tcv.roppongihills.com/jp/exhibitions/yuimanakazato/index.html