サントリー美術館で、1月26日(日)まで「儒教のかたち こころの鑑―日本美術に見る儒教―」が開催中です。
日本美術において、「仏教美術」はなじみ深いですが、今回は「儒教美術」に焦点を当てています。そもそも儒教とは、紀元前6世紀に中国で孔子が唱えた教説と、その後継者たちの解釈を指す思想のこと。孔子の死後に彼の言葉を弟子がまとめた『論語』は、時代を超え現代でも親しまれています。本展では、そんな儒教思想から影響を受けた美術作品が一堂に会しています。
第1章「君主の学問」は、中国から伝来した儒教美術やそれに影響を受けて制作された勧戒画が中心となっています。当時、天皇や公家・武家らは帝王学として儒教を学び、身近なところに儒教を背景にした画題を飾っていたといいます。
13世紀以降になると、禅僧によって儒教思想が広まっていきます。第2章「禅僧と儒教」では、禅僧たちの儒教学習の成果があらわれた名品が並びます。この頃、朱子学や「儒教、仏教、道教の根源は同じ」とする三教一致思想が盛んとなりました。孔子と釈迦、老子が身を寄せ合う《三酸図扇面》(前期展示)は興味深いです。
第3章「江戸幕府の思想」では、江戸幕府によって武士のような支配階級だけでなく、民衆にも朱子学が伝わっていった様子を名品と共に紹介しています。
ここでは、鳳凰を描いた作品が目立ちます。儒教において、鳳凰は優れた君主の出現を意味する象徴とされていました。
江戸時代後半には、儒教を学ぶ機会は充実し、子どもへの教育にも浸透していきます。第4章「儒学の浸透」では、儒教思想が浮世絵や蒲団地など身近なものの題材として扱われている作品を見ることができます。
『論語』にある「温故知新」(ふるきを温ねて新しきを知る)の言葉のとおり、本展で名品に宿る想いを読み解きながら、現代そして未来に想いを馳せてはいかがでしょうか?
編集部 齊藤
「儒教のかたち こころの鑑―日本美術に見る儒教―」
会期:2024年11月27日(水)~2025年1月26日(日)
※作品保護のため、会期中展示替を行います
休館日:火曜日
開館時間:10:00~18:00(金曜日は10:00~20:00)
※1月21日(火)は18:00まで開館
※1月25日(土)は20:00まで開館
※いずれも入館は閉館の30分前まで
主催:サントリー美術館、朝日新聞社
協賛:三井不動産、三井住友海上火災保険、サントリーホールディングス
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2024_5/index.html