クリスマスシーズン、今年もたくさんのイルミネーションが街を灯しました。2024年も、残すところ数日となりました。今回は、アーティストや建築家が手がけたクリスマスツリーやインスタレーションをピックアップしました。来年も、みなさまにとって、デザインとアートが溢れる年になりますように。
今年オープンしたKITTE大阪で行われている「KITTE OSAKA FIRST CHRISTMAS」では、クリエイティブユニットSPREADによるインスタレーション「Linear Symphony」が登場しました。
1Fアトリウム広場に、吹き抜けの天井から大きなドレープが垂れ下がる「Linear Symphony」。生命のエネルギーが集まり、交わり、つながり、活動的に動き自然な流動が起きている様が表現されています。吹き抜けの約1万㎥という広大な空間に展開されていますが、ファブリックは巻き取るととてもコンパクトに収納されます。構成した空間に対して少量の材料で、かつ使用された素材はリサイクル可能な素材となっています。
さらに、「愛」のエネルギーを込めたハートのモニュメント「Merging Hearts」も登場。3色のファブリックが混じりあい編み込まれたハートのモニュメントは、感情や生命のエネルギーの集合を表現しています。
クリエイティブユニットSPREAD
山田春奈と小林弘和によるクリエイティブ・ユニット。長い時間軸で環境と記憶を捉えるランドスケープデザインの思考と、鮮烈な印象を視覚に伝えるヴィジュアルデザインの手法を融合させ、「SPREAD=広げる」クリエイティブを行う。生活の記録をストライプ模様で表す「Life Stripe」を2004年より発表。すべて異なるグラデーションを空間に配置した「Much Peace, Love and Joy」、世界中の政府へ繋がるQRコードを集合した「Different Worlds」など、色の表現を追求した作品をミラノ、バーゼル、マイアミ、シンガポール、東京など国内外で展開。
主な実績に、東京ミッドタウン「Color Jungle」、バーバリー「The Burberry Trench」、ミッフィー展「The Story Is Inside You」、ジャパン・ハウスロンドン「Living Colours」、JR東日本「Yamanote Line Museum」、「国立新美術館開館10周年」記念ビジュアル、ビューティーブランド「Celvoke」、工場見学イベント「燕三条 工場の祭典」など。2年連続のRed Dot Design Award グランプリ、DezeenAward、Pentawards、グッドデザイン賞など国内外のアワードやノミネーションを獲得。シンガポール教育省、国立新美術館、ミラノ大学、広州美術学院などで教育プログラムを実施。
https://spread-web.jp
KITTE OSAKA FIRST CHRISTMAS クリスマスインスタレーション
期間:11月22日(金)~12月25日(水)
会場:KITTE大阪 1階アトリウム広場
アートワーク:SPREAD
制作:大脇千加子(WONDER FULL LIFE)、ノムラメディアス、NBCメッシュテック
東京エディション虎ノ門と東京エディション銀座にて、両ホテルのデザインを手がけた建築家・隈研吾氏によるサステナブルをテーマにした2つのクリスマスツリーが展示されました。
ツリーに使用されている国産材を中心とした木材(ナラ・セン・ホオ・クルミ・イタヤカエデ・ウォールナット)の調達から加工、ツリーの製作を担当したのはカリモク家具。また、ツリーは展示後、隈研吾デザイン・カリモク家具製作のテーブルへと生まれ変わり、オンラインでの販売も予定されています。虎ノ門と銀座、それぞれの街からインスピレーションを受け、サステナビリティへ想いを込めてデザインされたクリスマスツリーの今後も楽しみです。
隈氏コメント
2020年にオープンした東京エディション虎ノ門と、2024年にオープンした東京エディション銀座のロビーに、クリスマスシーズンを華やかに彩る、木でできたツリーをデザインしました。どちらのツリーも、小さな木のユニットを積み上げてつくり、それぞれの街の特色を表現します。また、複数の樹種を使うことで森の循環・育成に貢献します。クリスマスシーズンが終わった後も、ツリーのユニットは家具に転用され、違う場所に生まれかわります。そんなサステナブルで、永遠を生きるクリスマスツリーが生まれます。
隈研吾|建築家
1954年生まれ。1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。慶應義塾大学教授、東京大学教授を経て、現在、東京大学特別教授・名誉教授。50を超える国々でプロジェクトが進行中。自然と技術と人間の新しい関係を切り開く建築を提案。主な著書に『隈研吾 オノマトペ 建築 接地性』(エクスナレッジ)、『日本の建築』(岩波新書)、『全仕事』(大和書房)、『点・線・面』(岩波書店)、『負ける建築』(岩波書店)、『自然な建築』、『小さな建築』(岩波新書)、他多数。
『木漏れ日』| 東京エディション虎ノ門
期間:2024年11月20日(水)~2024年12月26日(木)
会場:東京エディション虎ノ門 31階 Lobby Bar
『木組み』| 東京エディション銀座
期間:2024年11月19日(火)~2024年12月25日(水)
会場:東京エディション銀座 1階 Lobby Bar
大阪梅田ツインタワーズ・ノース1階「コンコース」では、アーティストの小松宏誠氏によるクリスマス インスタレーション 「Cosmic Feather ~祈りの翼~」第2章「祈りが煌めく夜空」が登場しました。
2012年から毎年実施されているコンコースでの冬のクリスマスイルミネーション。昨年デザインが一新され、クリスマスに込めた人々の願いを乗せた羽根が大きな「祈りの翼」となり、シンボルとして光を灯し続けています。2024年は、第2章として約7,000もの羽根たちが上空いっぱいに舞い、「祈りの翼」と互いに共鳴しあいながら、幻想的なクリスマスを演出しました。また、本作品には、実質再生可能エネルギー由来のCO2フリー電力が使用されました。
作品名・テーマ・コンセプト
Cosmic Feather ~祈りの翼~
大切な人と過ごしたい、大切な人に想いを伝えたい。
クリスマスに込めた人々の願いを乗せた羽根が
大きな「祈りの翼」となり、シンボルとして光を灯し続けています。
コンセプト 第2章「祈りが煌めく夜空」
人々の願いを乗せた約7,000もの羽根たちが上空いっぱいに舞い、「祈りの翼」と互いに共鳴しあいながら、幻想的なクリスマスの夜空を包み込んでいきます。
小松宏誠|アーティスト
1981年徳島県生まれ。2004年武蔵野美術大学建築学科卒業、2006年東京藝術大学大学院修了後、アーティストグループ「アトリエオモヤ」のメンバーとして自然の物理現象に着目した作品制作を開始。2014年に独立。「浮遊」への興味からはじまり、現在では「軽さ」「動き」「光」に着目した作品を展開中。美術館での作品展示をはじめ、商業施設など大空間での空間演出も行う。2022年武蔵野美術大学建築学科特任准教授着任。光を反射させる軽量モビールなどによる、軽さ・動き・光を組み合わせた浮遊や鳥を感じさせるアートを得意とする。
「Cosmic Feather 〜祈りの翼〜」
第2章「祈りが煌めく夜空」
大阪梅田ツインタワーズ・ノース1階「コンコース」 冬のクリスマス イルミネーション
期間 : 11月22日(金)~12月25日(水)
会場 : 大阪梅田ツインタワーズ・ノース1階「コンコース」
総合プロデュース・施工:
阪急阪神マーケティングソリューションズ株式会社
クリエイティブチーム : 株式会社アーバンプロデュース、BATON INC. (小島靖史)、谷口拓郎
オブジェデザイン : 小松宏誠
照明演出 : Studio exit (杉本雄道)
演出音楽 : Fukagawa
表参道ヒルズ「OMOTESANDO HILLS CHRISTMAS 2024」に登場したのは、建築家 沖津雄司氏による4万枚のレンズを用いた高さ8.4mのクリスマスツリー。1枚1枚、手作業で緻密に組み合わせたレンズの集合体が螺旋を描き、まるで光のオブジェのように吹抜け空間を美しく彩りました。
沖津氏コメント
レンズが織りなす光のクリスマスツリーをデザインするにあたり、大切に考えたことの一つは「体験」です。今はスマートフォンなどの小さな画面で簡単に情報を得られる時代ですが、実物を目の前にすることでしか得られない、エモーショナルな体験があることが表参道ヒルズのクリスマスに相応しいと考えました。4万枚のレンズが作り出す視覚効果は日常にない光景です。
沖津雄司|建築家
1983年生まれ、大阪府出身。2009年東京電機大学大学院修士課程(建築学)修了。同年、建築家の中村竜治に師事。2017年YUJI OKITSU を設立。建築、デザイン、アートの領域をボーダレスに考え活動している。作品はコンセプチュアルでタイムレスであり、環境と風景、空間に影響を与える事象、日常に潜む心の琴線に触れる現象に焦点を当てた設計を特徴としている。ミラノサローネサテリテに出展や、海外の照明ブランドとコラボレーションするなど、プロジェクトをグローバルに展開。作品は国内外で評価され、多数のデザイン賞を受賞。
http://www.yujiokitsu.com
OMOTESANDO HILLS CHRISTMAS 2024 クリスマスツリー
期間:2024年11月13日(水)~12月25日(水)
会場:本館 吹抜け大階段
GINZA SIXでは、「HEAVENLY GIFT -宇宙からの贈り物-」をテーマに、アート&カルチャーを中心としたクリスマスプロモーションが展開。
エントランスでは、2人のアーティストが初共演。館内のシンボル・中央吹き抜けアート「BIG CAT BANG」を手掛けるヤノベケンジ氏の最新作が、伊藤桂司氏のグラフィックとともに大通り側のエントランスに登場しました。平和をもたらす「SHIP'S CAT」が宇宙からの贈り物を届けてくれるように、銀座の街を行き交う人々の幸せを見届けました。
ヤノベ氏コメント
館内インスタレーション「BIG CAT BANG」から世界に平和をもたらすべく飛び出した猫たちがサンタとトナカイに扮し、雪の世界に降り立ちました。すべての人々の心に明かりを灯す、宇宙からの幸せの贈り物を届ける思いで制作しました。
ヤノベケンジ|アーティスト
現代美術作家/京都芸術大学教授
1965年、大阪生まれ。1990年代初頭より、「現代社会におけるサヴァイヴァル」をテーマに機能性を持つ大型機械彫刻を制作。ユーモラスな形態に社会的メッセージを込めた作品群は国内外から評価が高い。2017年、「船乗り猫」をモチーフにした、旅の守り神「SHIP'S CAT」シリーズを制作開始。2022年に開館した大阪中之島美術館のシンボルとして「SHIP'S CAT(Muse)」(2021)が恒久設置される。
また、伊藤氏が創り出すコラージュヴィジュアルが彩る作品「HEAVENLY GIFT」もエントランスに登場しました。「天からの」と「すばらしい」の2つの意味を持つHEAVENLYをテーマに、日常を忘れ、今日あることの「かけがえのなさ」に感謝し、祝福するクリスマスを表現、街を彩りました。
伊藤氏コメント
いつもの日常が特別な光を纏い、祝祭的な空間に変わるクリスマス。一説によると、古代ヨーロッパでは太陽が弱まり闇の支配が強くなるこの時期に、死者たちの霊がこの世を訪れたそうです。彼らを歓迎するために贈り物を用意した風習が、クリスマスの原型なのだとか。今回のミッションは、僕にとっての「HEAVENLY GIFT」。幼少期にクリスマスの飾りつけで感じたドリーミーな高揚感に包まれながら臨みました。願わくば、このワクワクが皆さまにも届きますように!
伊藤桂司|アーティスト
UFG代表/京都芸術大学・大学院教授
1958年東京生まれ。広告、書籍、音楽関係のアートディレクション、グラフィックワーク、映像等を中心に幅広く活動。個展「TRANQUILO」(山梨 Gallery Trax)、「VERDE CÓSMICO」(馬喰町 PARCEL)をはじめ数々の国内外展示に参加。作品集に「MOTORWAY」「FUTURE DAYS」(共に青心社)、『LA SUPER GRANDE』(ERECT LAB.)など著書多数。
GINZA SIX XMAS 2024 プロモーション
期間:2024年11月8日(金)~12月25日(水)
会場:
<BIG CAT GIFT>1F エントランス(中央通り正面4丁目側)
<HEAVENLY GIFT>1Fエントランス(中央通り正面7丁目側)
※上記は12月25日(水)で終了しましたが、引き続きご覧いただけるコンテンツもあります。詳しくは公式サイトをチェックしてみてください。
https://ginza6.tokyo/news/206046
GINZA SIXガーデン「Rooftop Star Skating Rink」のリンクの中央に登場したのは、ヤノベケンジ氏の巨大な最新作「SHIP'S CAT(Ultra Muse / Red)。伊藤桂司によるヘヴンリーなグラフィックとともに、宇宙からの贈り物に思いをはせる空間に。こちらの作品は2025年1月26日(日)までご覧いただけます。
編集部 井上