国立新美術館では12月16日(月)まで「荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ」を開催しています。アメリカ在住のアーティスト、荒川ナッシュ医氏のアジア初となる美術館での個展で、同館においては初となるパフォーマンス・アーティストの個展でもあります。
入ってまず目にするのは、巨大なパフォーマンス・カレンダー。会期中は、荒川ナッシュ氏による約30分の展覧会ツアーや、誰でも自由に展示室の床に絵を描くことができる《メガどうぞご自由にお描きください》など、さまざまなイベントが予定されています。
荒川ナッシュ氏はコラボレーションを活動の基本に置いており、本展でも多数の画家による絵画が9つのセクションに分かれて"登場"します。
セクション名は「絵画と公園」「絵画と即興」「絵画とパスポート」など、絵画+αの名称となっています。セクションを隔てる壁には斜めのものもあり、通常とは異なる表情を見せています。
私生活では、同性のフォレスト氏と結婚をしている荒川ナッシュ氏。代理母出産によって、双子のパパになる目前です。「絵画と子育て」では、ゆくゆくは自身の子に使うタライやベビーカーを中心に置き、子を持つアーティストの作品を展示しています。
荒川ナッシュ氏の出身は福島県いわき市。「絵画といわき」では、東日本大震災、そして福島第一原発事故と、故郷を語るに避けられない出来事に関連する協働作品が展示されています。
「絵画と音楽」では、ユーミンこと松任谷由実氏とコラボ。アンリ・マティスを敬愛する松任谷氏の新曲がマティスのドローイング作品《顔》を展示した空間に流れる、インスタレーション・アートとなっています。
交差点を模した構成になっている「絵画とバレエ」では、哲学者の千葉雅也氏とコラボした戯曲《サマーレンタル》シリーズが展開されています。LED絵画は、ロバート・ラウシェンバーグの4連作に基づいて制作されたもの。4人の登場人物の声を、声優の村瀬歩氏が見事に演じ分けています。
映像作品《モデル(大塚国際美術館、徳島、日本)》には、荒川ナッシュ氏本人が登場するほか、松任谷氏の楽曲「Modéle」を使用。絵画が好きすぎるがあまり、作品に触れてしまう学芸員が主人公です。撮影場所は陶板複製画を中心に展示している大塚国際美術館で、同館では実際に作品に触れることができます。
子どもから大人まで、誰もがアートを全身で楽しめる本展。入場無料ですしイベントも盛りだくさんなので、一度だけでなく何度も訪れてみると、多くの発見が得られるかもしれません。
編集部 齊藤
「荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ」
会期:2024年10月30日(水)~12月16日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
観覧料:無料
休館日:毎週火曜日
開館時間:10:00~18:00(金・土は20:00まで)
※入場は閉館の30分前まで
主催:国立新美術館
協力:タカ・イシイギャラリー
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.nact.jp/exhibition_special/2024/eiarakawanash/index.html