11月5日(火)、東京ガーデンシアターにて「2024年度グッドデザイン賞 受賞祝賀会」が開催。2024年度の「グッドデザイン大賞」が発表されました。今年度のテーマは「勇気と有機のあるデザイン」です。会場には、受賞された企業・団体の代表者たちが集結しました。
受賞作1,579件の中から大賞に選ばれたのは、障害の有無にかかわらず誰もが楽しめる遊具づくりを実現した「RESILIENCE PLAYGROUNDプロジェクト」でした。
RESILIENCE PLAYGROUNDプロジェクトは、医療的ケア児が持つ「遊びたくても遊べない」という課題に注目。健常とされる子も楽しく遊べるよう並行して検証した結果、誰もが楽しめる遊具の開発を実現しました。多様な個性を持つ子どもたち、医師、ケアスタッフ、遊具デザイナー、地域住民などいろいろな立場の人々が関わって開発されたそうです。
人間の創造力を生み出す源となる「遊び」に注目してアプローチした当プロジェクトは、さまざまな特性を持つ子どもたちと医療・ケア・地域という分野を超えた協働によって具現化された貴重な事例として、高い評価を受けました。
株式会社ジャクエツのスペースデザイン開発課・田嶋宏行氏は「コロナ禍に始まったプロジェクトで、初めはごく小規模なものでした」と開発当時を振り返り、「いろんな人に支えられてここまで来られました。こんなに大きな賞に選ばれることになるとは思わず、本当に驚いています」と感謝の気持ちを述べました。
審査委員長の齋藤精一氏は、「インクルーシブは簡単なものではなく、法律やルールなどたくさんの問題を乗り越えなければなりません」とデザイン開発の難しさに触れたうえで、「医療的ケアが必要な子とそうでない子を分け隔てることなく、一緒に遊べるものを開発したのは、今の時代に必要な発想。こうした取り組みとデザインが融合したからこそ実現できたプロジェクトだと思います」と、これまでの努力を称えました。
また、東京ミッドタウンのデザインハブでは11月1日(金)から11月5日(火)まで、2024年度グッドデザイン賞の受賞作を紹介するイベント「2024年度グッドデザイン賞受賞展」が開催されました。受賞展では、金賞20作品を対象に「みんなの選んだグッドデザイン」を決める来場者投票が行われ、受賞祝賀会での審査委員と受賞者による来場者投票とあわせて、多世代共生の複合型福祉施設「深川えんみち」が選ばれました。
「深川えんみち」は、世代間で分断されがちな福祉の現場を一つの施設内に配置し、多世代の交流を促すために計画。旧斎場建物を改修し、賑やかな街の通りから建物内に引き込んだ道に面して様々な機能を配置することで、豊かな地域づくりの核となるような場所を作り出しました。
高齢者デイサービス・学童保育クラブ・子育てひろばの3つを収容した「ごちゃ混ぜの生活空間」を作り出した革新的なリノベーションと包括的地域社会に対するチャレンジに多くの支持が集まりました。
JAMZA一級建築士事務所の共同代表・長谷川駿氏は、「0歳から100歳まで、幅広い世代がごちゃ混ぜになって過ごせる建物・街を作ることを目的にプロジェクトを立ち上げました。来場者のみなさんが賛同し、投票してくださったことにとても感動しています」と感無量の様子でした。
「勇気と有機のあるデザイン」というテーマで進められた2024年度グッドデザイン賞。今回の受賞作品はまさに、停滞していた現状から一歩踏み出した「勇気」と、組織や地域全体とつながる「有機」とをあわせ持つデザインといえます。
2024年度グッドデザイン賞受賞対象に関する詳しい情報は、グッドデザイン賞のWEBサイト( https://www.g-mark.org)で閲覧可能です。こちらも併せてご確認ください。
編集部 山下
「2024年度グッドデザイン賞受賞展」
会期:11月1日(金)〜11月5日(火)
会場:東京ミッドタウン内各所(東京・六本木)
料金:入場無料・事前予約不要(混雑状況により入場制限を行う場合があります)
主催:公益財団法人日本デザイン振興会
後援:経済産業省、中小企業庁、東京都、日本商工会議所、日本貿易振興機構(JETRO)、国際機関日本アセアンセンター、日本経済新聞社、NHK、World Design Organization、東京ミッドタウン
展覧会HP(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.designhub.jp/exhibitions/2a42535du