Karimoku Commons Tokyoでは10月27日(日)まで、杖の展覧会「walking sticks & canes」を開催中です。本展は、ミラノ・トリエンナーレにて開催され、好評を博した「walking sticks & canes」の巡回展です。世界から集結した18名のデザイナーによってそれぞれ自由に設計された杖が集められました。
本展では杖が秘める無限のポジティブな可能性に着目。ギャラリーのレイアウトはミラノ・トリエンナーレにできる限り近づけているそうで、真っ白な壁に個性豊かな杖が18本並んでいます。
プレス向けプレビューにて、本展を企画したデザイナー武内経至氏は、「杖には長い歴史があるが、ネガティブな印象を持たれることもある。それを、デザインの力で払拭するのに挑戦したかった」と、杖を題材にした理由について語りました。
ギャラリー入り口から左側に目を向けると、3本の杖が展示されています。向かって左側にあるのが、武内氏が制作した杖です。立ち上がる、再び歩き始めるという意味を込めて《Up》と名付けられました。
杖を幸せなものに変えたい、という思いから、素材に桜の木を使用しミラノの人々が好む赤色に装飾されています。グリップが効きやすいペーパーコードという素材が使用されており、シンプルながらも実用性を兼ね備えています。
ヒューゴ・パッソス氏が制作した《Cestino》は、バスケットがついているのが特徴です。中に昼食を入れてピクニックしたり、庭でハーブを摘んだりする生き生きとした光景が目に浮かびます。
会場にはヒューゴ氏が登場。「生活の中で自分がどのような生活をしたいか考えたときに、幸せな手助けがほしいというアイデアのもと制作しました」と、作品への想いを明かしました。
本展はデザイン界でのチャンス、それと同時に、自分の信じることにトライするという発想を次の世代につなげることも趣旨のひとつ。そのため、幅広い世代のデザイナーが参加しています。上の左側の杖は、今回の制作チームの最年少デザイナー、ジュリ・リショズ氏が制作した杖《Small gesture》です。不変的なステンレスに魅力を感じ、道に咲く花を摘み活ける花瓶としても使える杖を制作しました。杖をつくたびに鮮やかな花が視界に入り、幸せな日々を過ごせそうです。
そして、上の画像の杖《Lightwalk》は最年長のアルベルト・メダ氏が制作しました。彼の経験をもとに、一般的にT字型に設計される杖の持ち手を斜めにして握りやすくする工夫が施されています。また、カーボンファイバー・エラストマー樹脂・ナイロンの3つの素材を組み合わせて制作することで、軽くて使いやすい杖になりました。
結び目のようなデザインが特徴の杖《Gianni》は、マリアラウラ・アーバイン氏の作品です。新聞を常に持ち歩く彼女の父から発想を得て、2本の曲木を組み合わせた部分に新聞を差して持ち運べるように設計されました。曲がった部分も含めすべて木製で、美しい曲木の技術に見惚れてしまいます。
ギャラリーの奥では、実際に杖を体験できるコーナーもあり、《Up》《Cestino》を含む7本の杖を持つことができます。杖の多様性を存分に感じられる展覧会でした。
編集部 佐賀
「walking sticks & canes」
会期:2024年10月12日(土)~10月27日(日)
開館時間:12:00~18:00
会場:Karimoku Commons Tokyo 1F ギャラリースペース
入場料:無料
企画・キュレーション:武内経至
展示・グラフィックデザイン:Keiji Takeuchi Design Office
参加デザイナー:Alban Le Henry / Alberto Meda / Anker Bak / Cecilie Manz / Chris Liljenberg Halstrøm / Henri Frachon / Hugo Passos / Jasper Morrison / Julie Richoz / Julien Renault / Jun Yasumoto / Keiji Takeuchi / Maddalena Casadei / Marialaura Irvine / Michel Charlot / Pierre Charpin / Ville Kokkonen / Wataru Kumano
協賛:カリモク家具株式会社
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://commons.karimoku.com/news/detail/240927/