21_21 DESIGN SIGHTでは、「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」が2024年9月8日(日)まで開催中です。
展覧会ディレクターを務めているのは、幅広い工業製品のデザインや、先端技術を具現化するプロトタイプの研究を行うデザインエンジニアの山中俊治氏。本展では山中氏が中心となって生み出してきたプロトタイプやロボット、その原点である山中氏のスケッチを紹介するとともに、専門領域が異なる7組のデザイナー・クリエイターと科学者・技術者のコラボレーションによる多彩な作品を展示します。
開催に先立って行われた内覧会で、山中氏は「知的好奇心と美的感覚のままに作ってみようというのが基本的なコンセプト。それが、未来へのヒントにつながればいい」と本展について説明しました。
会場に入ってすぐ目に留まるのは、大きな骨。2009年に同会場で開催された山中氏による「骨」展を思い出すかもしれません。こちらはnomenaと郡司芽久氏のコラボで、このほかにもさまざまな生き物の骨と模型が展示されています。
ギャラリー1は、千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)と山中氏の展示。「美しいロボットを作りたい」という思いから生まれたロボットたちの模型やスケッチ、図面を見られます。インスタレーションでは、ロボットの裏側も見ることができる、貴重な機会となっています。
ギャラリー2には、宇宙やレアメタル、神経科学、3Dプリンティング、福祉機器など、さまざまな分野の研究者と開発してきたプロトタイプが一堂に会します。
《TYPE-V Nature Architects project》は、A-POC ABLE ISSEY MIYAKEによる熱を加えると布が収縮するスチームストレッチ技術と、Nature Architectsが開発したアルゴリズムにより自動で服の折り目を設計する技術の融合によって生まれた全く新しい衣服。一枚の布がブルゾンになるというから驚きです。
装着型ロボットアームシステム《自在肢》は稲見自在化身体プロジェクトの一つ。4本のアームが加わり6本の腕を持つ姿は、まるでSF映画。夢見た世界に現実が近づきつつあることを、あらためて認識しました。
村松充氏による《場の彫刻》は、人の目には見えない粒子が描く軌跡を立体化した作品。このデザインプロセスを可視化するソフトウェアも体験できます。
作品に触ったり、デバイスを操作したりと、実際に体験できるものも多い本展。子どもから大人まで楽しめること間違いなしです。科学と聞くと堅いイメージを抱くかもしれませんが、本展はその真逆。ぜひ、好奇心の赴くまま楽しんでください。
ギャラリー3では「Focus on STRETCH PLEATS」 が6月23日(日)まで開催されているので、こちらもチェックを。
編集部 齊藤
「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」
会期:2024年3月29日(金)~9月8日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
休館日:火曜日
開館時間:10:00~19:00(入場は18:30まで)
主催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
後援:文化庁、経済産業省、港区教育委員会
特別協賛:三井不動産株式会社
展覧会ディレクター:山中俊治
企画:野村緑(fuRo)、村松充、阪本真
グラフィックデザイン:岡本健(岡本健デザイン事務所)
会場構成:萬代基介(萬代基介建築設計事務所)
テキスト/企画協力:角尾舞
テクニカルディレクション:古田貴之(fuRo)、杉原寛、遠藤豊(LUFTZUG)
参加作家:荒牧悠+舘知宏
稲見自在化身体プロジェクト+遠藤麻衣子
A-POC ABLE ISSEY MIYAKE+Nature Architects
千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)+山中俊治
東京大学 DLX Design Lab+東京大学 池内与志穂研究室
nomena+郡司芽久
村松充(Takram)+Dr. Muramatsu
山中研究室+今仙技術研究所、稲見自在化身体プロジェクト、臼井二美男、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、岡部徹 、河島則天、斉藤一哉、SPLINE DESIGN HUB、鉄道弘済会義肢装具サポートセンター、新野俊樹、マンフレッド・ヒルド 、吉川雅博
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.2121designsight.jp/program/future_elements