小山登美夫ギャラリー六本木で、6月8日(土)まで「もの派」を代表する菅木志雄氏の個展「あるというものはなく、ないというものもない」が開催されています。毎年、本ギャラリーで精力的に新作を発表し続けている菅氏ですが、今回で9回目の開催となります。
「もの派」とは、1960年代末~1970年代にかけて行われた芸術運動に参加したグループで、木、石、金属、ロープなどのありふれたものを素材とします。本展では、木材を中心とした約20点の作品が出展されています。
全体的に淡い色で構成されています。木枠の中にさまざまな色や太さの角材が交差している作品群からは、存在感がありながらもどこか透き通ったイメージを受けました。
正面だけでなく、横から見たり、下から覗いたりと、角度によって表情が変わるのもおもしろいです。
新作インスタレーションでは、くしゃっとさせた柔らかい紙をビニール袋に詰めたものが床に配置されています。
2023年の個展でも同じ空間にインスタレーションが展開されました。当時はビニール袋ではなく、半分に折られた四角い白い紙が配置されていましたが、どこかつながりを感じます。
菅氏によると、見どころは「すべて」。出展された作品たちは、晩年の代表作になるかもしれないと自ら語っており、アート史の1ページとなりそうです。
立方体に近い木材同士を、薄紫色の細い角材がつなぐ《深縁》や、長さが少しずつ異なるオレンジの細い角材が絶妙な感覚で枠内にぐるりと配置された《素空》。どの作品も、じっと見つめているとその意味合いを考えさせられます。
国内外で約400回以上の展覧会をおこなってきた菅氏ですが、本展のほか、中国の和美術館で大規模な個展「Corresponding Space」を2024年7月21日(日)まで開催中です。渡中の予定がある方は、ぜひチェックを。
編集部 齊藤
菅木志雄「あるというものはなく、ないというものもない」
会期:2024年4月27日(土)~6月8日(土)
時間:11:00~19:00
休館日:日曜日・月曜日・祝日
会場:小山登美夫ギャラリー六本木
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://tomiokoyamagallery.com/exhibitions/kishiosuga2024/