国立新美術館では5月27日(月)まで「マティス 自由なフォルム」を開催しています。
20世紀を代表する巨匠の一人アンリ・マティスは、後半生をフランスのニースで過ごし、そこで「切り紙絵」に取り組みます。本展では、ニース市マティス美術館の所蔵作品を中心に、切り紙絵はもちろん絵画、彫刻、版画、テキスタイルなどの作品および資料約150点を展示しています。
最初のセクションでは、マティスの故郷であるフランス北部で制作された作品が紹介されています。強烈な色彩による荒々しい絵画は、批評家から「野獣の檻」と評され、フォーヴィスム(野獣派)という言葉が誕生しました。
マティスは夜学で彫刻も学んでおり、同じポーズをしたモデルを絵画と彫刻の両方で表現することを試みました。鑑賞の際は、ぜひ見比べてみてください。
1917年のニース滞在をきっかけに、マティスはこの街でアトリエを転々としながら活動し始めます。そして、絵画と彫刻だけでなく、舞台装置や衣装デザイン、さらには壁画などに制作の幅を広げていきます。
会場では、壁画《ダンス》の制作過程の映像が投影されています。この約13メートルを超える巨大な壁画の仕事は、マティスにとって大型装飾に職業的使命を感じる大きな契機となったそうです。
そして1940年代、マティスは80歳にして新たな技法「切り紙絵」を生み出します。このセクションでは、切り紙絵を基にしたステンシルによる図版とテキストで構成される書物『ジャズ』や、タペストリーなどを見ることができます。
特に注目したいのが大作《花と果実》。日本初公開となるこの作品は、本展のためにフランスでの修復を経て展示されています。
1948年から1951年にかけての4年間、マティスは南仏のヴァンスにあるロザリオ礼拝堂の建設を指揮します。本展の最後のセクションでは、この礼拝堂にまつわる作品や資料が紹介されています。
礼拝堂だけでなく、司祭服一式や室内装飾、ステンドグラスなどもデザインし、マティスはこのプロジェクトに心血を注ぎました。
会場の最後には、ヴァンスのロザリオ礼拝堂の内部が再現されています。ステンドグラスを透過して内部に差し込む光は、現地での実際の光を参考にして、複数のプロジェクターで再現されています。
作品だけでなく、マティスの60年以上におよぶ芸術家人生についても深く知ることができる展覧会でした。
編集部 齊藤
「マティス 自由なフォルム」
会期:2024年2月14日(水)~5月27日(月)
休館日:毎週火曜日
※ただし4月30日(火)は開館
開館時間:10:00~18:00(毎週金・土曜日は20:00まで)
※入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館 企画展示室2E
主催:国立新美術館、ニース市マティス美術館、読売新聞社、日本テレビ放送網
特別協賛:キャノン
協賛:DNP大日本印刷
協力:日本航空、日本貨物航空、ヤマト運輸
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、J-WAVE
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://matisse2024.jp