21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3では、4月15日(月)まで「ダニエル・ブラッシュ展 ― モネをめぐる金工芸」を開催しています。本展はレコールがパリ、ニューヨーク、香港で開催したダニエル・ブラッシュの作品に焦点を当てた3つの展覧会に続くものです。
ブラッシュの名は日本ではあまり知られてないかもしれません。彼は、金細工職人、画家、彫刻家、哲学者、エンジニアなどさまざまな顔を持つアメリカの偉大なアーティストです。
第1章では、ジュエリーから芸術作品、オブジェまで幅広い作品の中に見られる、伝統的な芸術のカテゴリーを超えた多様な素材や表現方法が紹介されています。
1993年頃にブラッシュはスチールの探求を始めます。そして宝石に通常使用されることのない、スチール製の宝飾品という斬新な作品が誕生します。ジュエリーに対する先入観を払拭し、見る者に新たな価値観を問いかけました。
ブラッシュにとって、光は最大の関心事の一つでした。フランス印象派の色遣い、特にモネの淡いピンクやセルリアンブルー、カドミウムイエローといった色彩にも強く惹かれ、独特な色遣いを理解するために何度もヨーロッパを訪れたといいます。やがてブラッシュは、金属に刻まれた、光によって反射する色彩や透明感に魅了され、スチール板を削った彫刻作品を生み出すようになります。
第2章では、この連作「モネについて考える」にハイライトを当て、素材の特性を活かした極めて優美なオブジェを生み出す、彼の類いまれな能力を探ります。
会場内では、「モネについて考える」シリーズが細長いショーケース内に並べられています。見る角度によってさまざまな色に移り変わり、思わず見とれてしまいました。
本展では、《山姥》や《小町》、《増女》など能からモチーフを得た絵画作品も展示されています。ブラッシュは能楽に造詣が深く、日本文化への関心が高かったそうです。
出入口付近には、「レコール」が出版した書籍が並びます。ジュエリーと宝飾芸術の世界に興味を持った方は、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
芸術と科学、詩と哲学を融合してきたブラッシュ。3月20日(水・祝)には、「ダニエル・ブラッシュ展と能楽を楽しむ」と題し、日本の能楽の演奏とともに展示を鑑賞するイベントも開催されます。ぜひあわせてチェックしてみてください。
編集部 齊藤
「ダニエル・ブラッシュ展 ― モネをめぐる金工芸」
会期:2024年1月19日(金)~4月15日(月)
主催:レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3
開館時間:10:00~19:00
休館日:3月11日(月)
料金:入場無料/予約不要
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.2121designsight.jp/gallery3/daniel_brush/
https://www.lecolevancleefarpels.com/jp/ja/exhibition/daniel-brush-thinking-about-monet