サントリー美術館では「四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎」が3月24日(日)まで開催中です。
有楽斎こと織田長益は、織田信長の13歳年下の弟として生まれ、乱世を生き抜いた武将です。信長だけでなく、秀吉・家康の三天下人に使える一方、茶の湯を深く愛好し、千利休も一目置く大名茶人として知られています。
本能寺の変で信長が自害、二条御所にこもった信忠も最終的に切腹したなか、生き残った長益は「逃げの有楽」と伝えられてきました。本展は、そんな彼のイメージを今一度問い直すべく発案されたといいます。
「第1章 織田長益の活躍と逸話―"逃げた男"と呼んだのは誰か」では、武将としての有楽斎の実像を、歴史資料を通して見つめなおします。
教科書で見覚えのあるような掛け軸や、焼き討ちにあった本能寺の瓦など、日本の歴史を語るうえで欠かせない数々の貴重な品が展示されています。
「第2章 有楽斎の交友関係」では、茶人としての有楽斎の姿に光を当てます。有楽斎は茶の湯を通して幅広い交友関係を築いていきます。ここでは、その人脈がわかる手紙や、彼が使っていた茶杓などを見ることができます。
正伝院を終の住処とする頃には、茶の湯において重要な役割を果たすようになっていました。「第3章 数寄者としての有楽斎」では、そんな有楽斎がかつて所持した、あるいは好んだと伝わる茶道具の名品から、数寄者としての有楽斎の姿に触れることができます。
正伝院に建てた茶室「如庵」は国宝の一つ。本展では、「如庵」および重要文化財の「書院」の3次元計測データを、裸眼で立体視を可能とする"空間再現ディスプレイ"を使ってジオラマのように立体として表示する3D展示も行われています。
臨済宗建仁寺派の塔頭寺院である正伝永源院の寺宝も多く出展されています。「第4章 正伝永源院の寺宝」は、有楽斎没後の正伝院に納められた寺宝が多く展示されています。
狩野山楽の襖絵《蓮鷺図襖》は圧巻です。描かれた蓮の花は、蕾や咲き始め、満開に咲き誇っているもの、さらには散りかけ、枯れたものなどさまざまです。
最後の章となる「第5章 織田有楽斎と正伝永源院―いま、そしてこれから―」は、正伝永源院と寺号を改めた後に納められた寺宝が中心です。
有楽斎が手作りしたと伝えられている茶碗もありました。戦国の世に生を受け、茶人として大成した有楽斎。そんな彼の生き方や美意識について知ることができる展覧会でした。
編集部 齊藤
「四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎」
会期:2024年1月31日(水)~3月24日(日)
※作品保護のため、会期中展示替を行います。
休館日:火曜日
3月19日(火)は20:00まで開館
開館時間:10:00~18:00(金曜日・土曜日は10:00~20:00)
※2月22日(木)、3月19日(火)は20:00まで開館
※いずれも入館は閉館の30分前まで
主催:サントリー美術館、正伝永源院、読売新聞社
協賛:三井不動産、サントリーホールディングス
特別協力:織田有楽斎四百年遠忌実行委員会、株式会社エリジオン、NTTコミュニケーションズ株式会社、ソニーマーケティング株式会社
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2024_1/index.html