森アーツセンターギャラリーでは、2月25日(日)まで「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」を開催中です。アイコニックなモチーフから6メートルの大型作品まで、キース・ヘリングの世界観を体現する約150点 が勢揃いしています。
ペンシルベニア州ピッツバーグからニューヨークに移り、スクール・オブ・ビジュアル・アーツに入学したヘリングは、人種や階級、性別、職業に関係なく最も多くの人が利用する地下鉄に注目します。
そして1980年、地下鉄駅構内の空いている広告板に貼られた黒い紙にチョークでドローイングする「サブウェイ・ドローイング」を開始します。本展では日本初公開のサブウェイ・ドローイング作品5点を含む7点が出品されています。
また、エイズによる合併症で亡くなる直前に制作された《フラワーズI》は必見です。大胆な輪郭線とダイナミックな構図から、独自の美学が垣間見えます。
蛍光インクが使用された版画シリーズは、会場内でブラックライトによって照らされています。会場入り口で配布されている作品リストもブラックライトに反応する仕掛けが施されており、遊び心満載です。
黒人歴史月間に行われた『スウィート・サタデー・ナイト』の舞台背景として制作されたセットも再現されています。実際にこの作品の前でダンサーたちが踊ったそうですが、ついその姿を想像してしまいました。
彼は大衆にダイレクトにメッセージを伝えるため、ポスターの制作も積極的に行いました。本展でも、核放棄、反アパルトヘイト、エイズ予防など、さまざまなメッセージを主題としたポスターが集められました。
富裕層だけでなく、アートを大衆に届けたいと考えたヘリングは、自身がデザインした商品を販売するポップショップといったアート活動も行っていました。また、子どもたちのための慈善活動も活発に行っており、その代表作《赤と青の物語》が大々的に展示されています。
1980年12月から翌1月にかけて制作されたドローイングをもとに、亡くなる1か月前の1990年1月に版画で再制作された17点のシリーズ《ブループリント・ドローイング》。その漫画のコマのような画面一つひとつが壁一面に展示された様子は圧巻です。
最後の個展のために制作された逆三角形の大作《無題》は、美術史を研究しつくしたヘリングの集大成ともいえる作品。隣には、5枚組の版画作品が展示されています。どちらも彼らしい色鮮やかな色彩に目を奪われます。
会場併設ショップでは、本展のためだけにデザインされたオリジナルグッズが多数登場! キャップやトートバッグ、Tシャツ、ステッカーなど、実用的なものがたくさんありました。
インターネットやスマートフォンがない時代に生まれたヘリングのアート。現代においても色あせることなく、若い世代にはむしろ新鮮にすら感じるかもしれません。彼のファンはもちろん、あまり知らない人でも楽しめる展覧会となっていました。
All Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation
© Keith Haring Foundation. Licensed by Artestar, New York.
編集部 齊藤
「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」
会期:2023年12月9日(土)~2024年2月25日(日)
※会期中無休
※事前予約制(日時指定券)
開館時間:10:00~19:00
金曜日・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
主催:朝日新聞社、フジテレビジョン、東映
特別協力:中村キース・ヘリング美術館
協力:ぴあ
後援:J-WAVE
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://kh2023-25.exhibit.jp