東京シティビューでは、6月4日(日)まで「へザウィック・スタジオ展:共感する建築」が開催中です。
本展はイギリス出身のデザイナー、トーマス・ヘザウィックが1994年に設立したヘザウィック・スタジオの主要プロジェクト28件を一挙紹介する、日本で最初の展覧会です。
まず会場に入ると、プロジェクトの模型やコンクリートやガラス材といったサンプルなどが並びます。
その中の一つ「富士山と中国の山脈の3Dマップ」は、ヘザウィック個人のコレクションだそう。数々のインスピレーションを与えたであろう品々を、一つひとつじっくりと眺めてしまいます。
上記はヘザウィック・スタジオの代表作の一つ《ツリー・オブ・ツリーズ》の模型です。奥へ進むと、プロジェクトの背景や細部に関する説明があるので、それを見た後にこちらへ戻ってきてもう一度模型を鑑賞するのも一興でしょう。
ロンドンといえば、市内を駆け巡る2階建てバスで有名です。2012年にリニューアルされた《新ルートマスター》のデザインも、ヘザウィック・スタジオが手掛けています。本展では、その原寸大模型が展示。内側の階段部分も観察することができます。
先へ進むと、いよいよ最初のセクションが登場。本展は6つのセクションで構成されており、「ひとつになる」、「みんなとつながる」、「彫刻的空間を体感する」、「都市空間で自然を感じる」、「記憶を未来へつなげる」、「遊ぶ、使う」の順に展開されます。
「ひとつになる」で真っ先に視界に飛び込んでくるのは、《上海万博英国館》の模型。アクリル製の6万本の細い棒の先端には、約25万個の種子が埋め込まれています。通称「種の神殿」と呼ばれるこのパビリオンは、同万博で金賞に選ばれました。
ヘザウィック・スタジオといえば、綿密に考案された小さなパーツ一つひとつが集まって一つの大きな構造体を創出するのが特徴。本展では立体模型やサンプルが多数展示されているので、その真髄をたっぷりと堪能できます。
4つ目のセクション「都市空間で自然を感じる」では、2023年秋に完成予定の《麻布台ヒルズ/低層部》を紹介。建物5階分の高低差がある谷状の地形を生かしてデザインされており、主要な要素として植栽が導入されています。都市の中に現れた緑のオアシスというイメージだそうで、完成が待たれます。
会場の壁には、ドローイングが張り出されています。どのプロジェクトのものなのか、想像しながら眺めれば、イメージがより一層膨らむことでしょう。
会場の最後では、ヘザウィック・スタジオが生んだ椅子《スパン》に実際に座ることができます。体重を預けると、不安になるくらい回転しますが、決して倒れることはありません。そのぐらぐらとした感覚に、童心を思い出します。
斬新なアイデアを存分に体感できる本展。建築に興味がある方はもちろん、都市と自然環境の関係性に関心のある方には特におすすめの内容となっています。
編集部 齊藤
「ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築」
会期:2023年3月17日(金)~2023年6月4日(日)
休館日:会期中無休
開館時間:10:00~22:00(最終入館21:00)
会場:東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)
主催:森美術館
協賛:株式会社大林組、清水建設株式会社、三井住友建設株式会社、アラップ、株式会社日本設計、株式会社日建設計、株式会社山下設計、浅海電気株式会社、フジテック株式会社、株式会社関電工、株式会社きんでん、株式会社九電工、斎久工業株式会社、三建設備工業株式会社、三機工業株式会社、高砂熱学工業株式会社、東芝エレベータ株式会社、株式会社雄電社、櫻井工業株式会社
制作協力:KEF
企画:片岡真実(森美術館館長)
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.mori.art.museum/jp/