TOTOギャラリー・間では、2023年3月19日(日)まで「TOTOギャラリー・間 企画展 How is Life ――地球と生きるためのデザイン」が開催されています。
会場では、塚本由晴氏、千葉学氏、セン・クアン氏、田根剛氏ら4名のキュレーターからの問いかけ「How is Life?」に答える古今東西の多彩な事例を紹介。建築やデザインを通して、暮らしの在り方を考えさせられる展覧会となっています。
全部で21のプロジェクトが展示されている本展。開催に先立って行われた内覧会で、塚本氏は「コロナ禍の今だからこそ、建築に何ができるのか今一度議論し合う必要を感じた」と話します。
入口付近には、本展に関わりの深い本が壁沿いに並べられています。実は建築関係の本は少なく、哲学や経済、中には介護問題など、さまざまなジャンルの書籍を用意していると千葉氏は話しました。
現代の技術を考え直すうえで、人間と自然との関わりや社会活動は切り離せないもの。そのため、このように多種多様なラインナップになったそうです。これらは会場内で閲覧可能。同ビルのブックショップでも取り扱われています。
セン氏は、インド・ムンバイで取り組まれている平等かつ公平な衛生を達成する「Community Toilets for SPARC」を紹介しました。
地球上には、やむを得ず野外で排泄する人が10億人以上いると言われています。さらに、その半数以上がインドに住んでいるとか。そこで、この取り組みではトイレの効率を最大化し、数々の課題に対応しているそうです。
パリを拠点に活動する田根氏は、フランス人アーティストのヤン・ケビ氏のドローイングに描かれているパリの未来像について説明。初めてこのドローイングが紹介された展覧会《Capital Agricole》では、19世紀以降、農産業の発達によって森林が破壊されてきたパリを、都市と農業の視点で研究・考察しています。
車の代わりに馬に乗って移動する人がいたり、広場では麦の収穫が行われていたり......。もし、東京がこのような姿になったら? と思わず想像してしまいます。
GALLERY 1(3階)からGALLERY 2(4階)へとつながる中庭には、「茅葺き普請」と「石積み学校」 が登場。どちらも、人々が助け合いながら修繕を重ねることで、長期間の使用を可能にしてきた技術です。
会期中は、本展のテーマを実際の体験を通して考えるワークショップも開催。自分の身体を動かして茅葺きと石積みの技術に触れることができます(事前申し込み制)。
本展で紹介されているプロジェクトには、身近な日用品に関するものもあります。「ReBuilding Center JAPAN」では、解体される民家からちゃぶ台やガラスといった古材・古道具を「レスキュー」して、ペッパーミルやテーブル、ランプなどに再加工しています。
「ごみ」という概念を「資源」に転換させる。サステナブルなだけでなく、思い出のあるものを長く生かし、過去から未来へとつなげる素敵な取り組みです。
各展示の付近には、プロジェクトの概要とキュレーターのコメントが書かれた解説資料が設置されています。廃棄予定の紙を利用したさまざまな色の表紙から好きなものを一枚選び、解説資料を集めていくことで最後には1冊のハンドアウトができあがります。
身近なものから諸外国の大きな取り組みまで、さまざまな「Life」に触れられる本展。生活の新たな可能性を探るためにも、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
編集部 齊藤
「TOTOギャラリー・間 企画展 How is Life ――地球と生きるためのデザイン」
会期:2022年10月21日(金)~2023年3月19日(日)
休館日:月曜・祝日・年末年始休暇(2022年12月26日(月)~2023年1月9日(月))
※2023年2月11日(土・祝)は開館
開館時間:11:00~18:00 入場無料 ※事前予約制
会場:TOTOギャラリー・間(東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F)
キュレーター:塚本由晴、千葉学、セン・クアン、田根剛
アシスタントキュレーター:平尾しえな、アナスタシア・ゴリオミティー(東京工業大学大学院塚本由晴研究室)
展示デザイン:アリソン理恵(ARA)、飯田将平+下岡由季(ido)
主催:TOTOギャラリー・間
企画:TOTOギャラリー・間運営委員会
特別顧問=安藤忠雄、委員=千葉学/塚本由晴/セン・クアン/田根剛
後援:一般社団法人 東京建築士会、一般社団法人 東京都建築士事務所協会、公益社団法人 日本建築家協会関東甲信越支部、一般社団法人 日本建築学会関東支部
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://jp.toto.com/gallerma/ex221021/index.htm